家族による在宅での介護。限界の目安となるのはどんなとき?誰に頼ればいい?

厚生労働省の発表によると、2008年の意識調査において「終末期の療養場所として自宅を希望する(必要になれば医療機関や緩和ケア病棟への入院を選んだ人も含む)」と解答した人は全体の63.3%に達しています。

超高齢化社会に突入し、多くの方が高齢や認知症、もしくは脳卒中の後遺症などを理由に介護が必要な状態で終末期を迎える日本において、終末期までの在宅介護や、終末期の在宅介護の制度整備は大きな課題のひとつです。

特に多くのケースで在宅介護の担い手となるのはクライアントの家族という傾向にあり、家族の介護負担の軽減は早急に対処すべき問題となっています。

今回の記事では、在宅で介護を行う家族にとって限界ラインの目安となるサインや、対処法についてご紹介していきます。

【参照】在宅医療・介護の推進について(厚生労働省)

目次

家族による在宅介護

先ほどご紹介した通り、日本では多くの方ができる限り旅立ちの時、もしくはその直前まで自宅に暮し続けたいという希望を持っています。

家族にとってもクライアントの希望をできる限り尊重したいと考え、在宅介護を頑張ろうとされる方がとても多いです。

しかしながら終末期に向かうにつれて人間は、筋力をはじめとする身体機能や、記憶・言語などに直結する認知機能が徐々に低下し、日常生活のなかで様々な困難が生じます。

はじめは食事の介助や着替えの手伝いなどに限定されていた介護も、徐々に排泄や入浴の介助、体位変換の補助、服薬の管理や容態の見守りのように必要な介護量や時間が増加するのに伴って、家族の自由時間が失われ、肉体的にも精神的にも限界といえる疲労が蓄積してしまうという懸念があります。

在宅介護の限界

在宅介護における限界の目安となるのが、家族の自由時間です。

「頻回の在宅介護で、十分な睡眠時間がとれない」「在宅介護のために、自由時間ややりたいことを全て諦めざるをえない」というように家族自身の生活が尊重されない状態が恒常化してしまっている場合は、在宅介護の限界に近いといえます。

また「家族の誰かが介護離職を余儀なくされた」「介護時間捻出のために、パートに転職した」というような状況も、在宅介護の限界を迎えており好ましくない状態だといます。

金銭的な限界

在宅介護のなかで家族が限界を感じてしまうのは、先ほどご紹介した肉体的・精神的な疲労と時間のなさに加えて、金銭的な問題も大きいと言われています。

終末期を迎えて介護が必要になった状態のクライアントは、それぞれの身体状態に合わせて、介護用おむつの使用・とろみ食やムース食など介護食の手配・家庭内のバリアフリー化を目的としたリフォームといった必要が生じることが珍しくありません。

在宅介護生活という終わりの見えない生活のなかで、金銭的な負担がどこまで必要になるのか、また今後さらなる出費が必要になるのではないかという懸念は、家計はもちろん家族の精神を蝕みかねません。

家族による在宅介護を支える仕組み

自宅での生活を希望しているクライアントと在宅介護を担う家族を支えるために、介護保険制度では様々な介護サービスの拡充に務めています。

例えば、クライアントの自宅を訪問して日常生活の困りごとをサポートする訪問介護、また 日中の一時的な時間を自宅から離れて過ごすための場所を提供するデイサービス、自宅を看護師が訪問して医師の指示に基づいた医療行為を提供する訪問看護などが、その代表例です 。

特に近年では在宅での介護を希望するクライアントに向けて、さらに手厚い介護サービスが拡充されています。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回は、介護保険サービスの中でも特に「地域全体で自宅で暮らすクライアントを支えよう」とする考え方に特化した地域包括ケアシステムに基づく介護サービスの一つです。

年中無休で訪問型の介護サービスや緊急連絡システムを利用できる上に、サービスの利用頻度や理由回数に関わらず、月額固定性での介護報酬の請求となっています。

したがってクライアントにとっては金銭的な負担を極力抑えて利用することが可能であり、介護者の家族としては必要な量の介護サービスをしっかりと利用することができるので、負担を極力減らした在宅介護を実現することができます。

また定期巡回・随時対応型訪問介護看護には訪問看護サービスも含まれており、医療と介護が連携したサービス提供を行っていますので、看取りケアやターミナルケアなど、クライアントの旅立ちに対する不安の軽減という観点からも、メリットの大きな介護サービスといえます。

地域包括ケアセンター

地域包括ケアセンターは、65歳以上の高齢者やその家族から、介護・福祉・医療などの相談を受け付けている窓口です。

クライアントが慣れ親しんだ地域、心が安らぐ自宅での生活を継続することができるように、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様、地域包括ケアシステムの柱として、クライアントとその家族の生活をサポートをしてくれます。

在宅介護に関する相談ももちろん受け付けており、必要に応じて介護を専門とする組織や事業所との調整役を担ってくれますので、在宅介護に限界を感じた時は相談をしてみましょう。

在宅での介護生活。家族だけで限界を感じることなく、支えあう社会の実現を

高齢者や認知症患者を在宅で介護していくなかで、家族が感じる在宅介護の限界と、現在の介護保険制度が行う支援について簡単にご紹介いたしました。

超高齢化社会を迎えている日本において、高齢や認知症などに伴う介護の必要性があっても、クライアントの意思が尊重されることにより「自宅での生活を継続することができる環境」を整えることは、大きな社会課題の一つです。

誰もが自分らしく自立した生活を継続することができるよう、特に株式会社土屋グループでは日本全国でのサービスの提供を目標に、日々努力を重ねております。

今後も家族が限界を感じることなく在宅介護を行うサポートができるよう、日本全国での介護サービスの拡充と、より質の高い介護サービスの提供を目指して、株式会社土屋グループは前進を続けます。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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