褥瘡が生じているクライアントに対して、看護師や介護士が担う役割とは。

高齢や麻痺が原因で寝たきりの状態にあるクライアントやそのご家族を悩ませる大きなトラブルの一つが褥瘡、いわゆる床ずれです。

褥瘡は自分の体重が体の一部分に圧力としてのしかかることで生じる皮膚のトラブルで、初期の段階では内出血や赤みが見られる程度のものの、症状が進行すると、皮膚から皮下組織へと組織破壊が進行し、皮膚の一部が壊死してしまいます。

また患部から細菌が体内に侵入することによって引き起こされる感染症に対しても注意が必要で、最悪の場合は死因となる感染を引き起こします。

そのため在宅介護中のクライアントに対しては、訪問型のサービスを通して看護師や介護士などアテンダントが褥瘡に対する正しい処置とケアの役割を率先して担う必要があるのです。

目次

在宅介護の中で褥瘡が生じやすい理由

褥瘡は床ずれという通称の通り、主に寝具と体の間に摩擦が生じる部分に対して自重が加わることで生じます。

特に人間は年齢を重ねると皮下脂肪の割合が減少し、肌そのものがもつ水分や弾力も失われがちになりますので、皮膚が非常に繊細な状態にあります。

そこに摩擦や自重が加わることによって褥瘡が出現してしまう上に、自己再生力や免疫機能が十分ではないクライアントの皮膚では症状の進行が早くなる傾向がみられます。

特に在宅介護中のクライアントの場合は、褥瘡の初期症状である内出血や皮膚の赤み(発赤)に家族が気付きにくい・体位変換やおむつ交換が十分に行われていないなどの特徴が加わることで、症状が進行して悪化しやすい傾向にあります。

在宅介護中のクライアントに対するケア

褥瘡が生じている在宅介護中のクライアントに対しては、ご家族によるケアはもちろんのこと看護師や介護士などのアテンダントが正しくケアを行い、必要に応じて医療機関との連携をサポートする役割を担う必要があります。

褥瘡はただの皮膚疾患ではなく、ケアを怠ることで組織破壊が皮下組織まで影響を及ぼす危険な状態です。

訪問介護や訪問看護を通して正しい知識をクライアントのご家族にお伝えしながら、症状の改善をサポートしていきましょう。

褥瘡に対するアテンダントの役割①初期症状に気付く

看護師や介護士が褥瘡に対して担う最も大きな役割が、褥瘡の初期症状である内出血や発赤に気付くことです。

褥瘡は症状の進行具合から大きく分けて4段階に分類することができますが、ステージⅠの段階では軽い内出血や赤みの症状しか見られず、在宅介護中のご家族が症状に気が付かないことがほとんどです。

看護師や介護士は訪問介護サービスやアセスメントの中でなるべく早期に褥瘡の初期症状に気付き、ご家族にアドバイスやケアの方法をお伝えする必要があります。

褥瘡の初期症状の目安

褥瘡は仰向けが多いクライアントの場合は後頭部・肩甲骨周り・背骨や仙骨部付近・ひじやかかと付近、横向きが多いクライアントの場合は耳介周辺・肩・腸骨部・大転子部・くるぶしなど、寝具と骨が密着する部位で生じやすいという特徴があります。

そのため看護師や介護士はクライアントに対するサービス提供を行う際に上記のような部位を注意深く観察し、内出血や発赤が生じていないかを積極的に確認していきましょう。

特に褥瘡の初期症状としての発赤は、気になった発赤部分を指の腹で優しく押してみたときに、発赤が白くならずに赤いままという特徴を持っています。

上記のような褥瘡が生じやすい部分に赤みが見られた場合はこの方法を試してみて、褥瘡が疑われる場合にはご家族に状況を説明するとよいでしょう。

褥瘡に対するアテンダントの役割②正しい知識やケア方法を伝える

褥瘡の初期症状が見られる場合は、ステージⅡの段階である水ぶくれや皮膚のただれに症状が移行しないように、体位変換に注意を払ったり患部の清拭、医療用の保護フィルムなどを用いたケアなどが必要になります。

看護師や介護士が在宅介護を手伝っていない時間帯であっても褥瘡に対する負荷が軽減するよう、正しい褥瘡ケアの方法を伝えることが看護師や介護士の重要な役割になります。

また体位変換は難しいと感じられるご家族がとても多く、褥瘡への負担を和らげる体位変換はご家族の力だけでは困難なケースが多いとされています。

そのため褥瘡が繰り返し生じていたり、褥瘡の悪化が深刻なクライアントの場合は、ケアマネージャーとの相談や医師の指示に基いて、訪問看護や訪問介護の回数を増やすことが適切と判断されることもあります。

ご家族と相談の上、アセスメントや担当者会議の際に褥瘡の近況を報告し、クライアントにとって必要なケアが届けられるようにサポートするのも、看護師や介護士の重要な役割といえます。

褥瘡に対するアテンダントの役割③寝具やおむつに対する助言

褥瘡の症状が悪化する原因として、今使用している寝具では体重がうまく分散されずに患部に負荷がかかってしまったり、おむつのサイズをはじめとする介護用品や衣服の素材やサイズが適していなかったりという可能性が挙げられます。

そのため看護師や介護士は、介護保険を利用した体圧分散寝具や減圧マットレスのレンタル、またおむつの見直しを助言する役割を担っています。

必要に応じてケアマネージャーとの架け橋になることで、クライアントにとってよりよい褥瘡ケアが届けられるよう、アテンダントとしてしっかりと知識をアップデートしておきましょう。

在宅クライアントの褥瘡ケアは、看護師や介護士に大きな役割が!率先して褥瘡のリスクを減らしていこう。

在宅介護中のクライアントに褥瘡の症状がみられる際に悪化を防ぐ重要な役割を担うのが、訪問看護を担当する看護師や、訪問介護を担当する介護士などです。

褥瘡は看護師や介護士の豊富な知見に基いて早めに気付くことによって、悪化のリスクを軽減することができる症状です。

また初期の段階でご家族と褥瘡ケアについて相談し、普段の在宅介護で注意すべき点について共有しておくことによって、クライアントの負担や痛みを軽減することができます。

必要に応じてケアマネージャーや医師とも密に連携を取りながら、褥瘡のケアを行っていきましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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