初めて向き合う介護の問題。どこに相談すれば味方になってくれるの?

日本では長寿化と核家族化の影響もあり、主に65歳以上の親世代と、自らも家庭をもつ 子供世代が別々に暮らしていることが珍しくありません。

 以前のように三世代や親族も共に暮していた時代からは、介護そのもののあり方が変わりつつあります。

「久々に実家に帰ると、親の様子に違和感を覚えた」「片付けや調理が全くできていないようで、親の老いを感じた」「近所の人から認知症のような言動を指摘された」という時は、介護の問題について向き合うタイミングです。

今回は初めて直面する介護の問題をどこに相談すればよいのかを中心に、介護保険制度などについても詳しくご紹介していきます。

特に核家族化が進むなかで介護と向き合う必要性を感じている方は参考になさってくださいね。

目次

日本における介護保険制度の仕組み

現在の介護保険制度では、65歳になると第一号被保険者に認定されます。

65歳の誕生月の前月に居住する自治体から介護保険被保険者証が届きますので、介護の必要が生じた際にはこの介護保険被保険者証を利用して手続きを行います。

介護保険制度を利用するためには、自治体による介護認定を受けて、非該当・要支援1〜2・要介護1〜5の区分のうち、要介護の認定となることが条件です。

ただし要支援の場合は「介護予防サービス」として、地域や介護とつながる一部のサービスを利用することもできます。

介護保険制度に関する問い合わせは、居住する自治体の福祉課や介護保険課、高齢者支援課と銘打たれた部署に相談する必要があります。

介護保険制度を利用する際の注意点

介護保険制度は、自治体の窓口に申請を行ってから利用開始まである程度の時間が必要になります。

具体的な手続きの流れとしては、申請→居宅を訪問しての現状確認・面談→主治医の意見書の確認→コンピューターによる一次判定→介護認定審査会による介護度の決定という順になっており、手元に認定された介護度の通知が届くまでは1カ月から1カ月半ほどの時間を要します。

さらに実際に介護サービスを利用するためには、認定通知を受け取ってからケアマネージャーとの面談を行って、ケアプランという介護サービスの利用計画を作成してもらう必要があります。

また諸々の手続きと並行して、利用を希望する介護サービスの事業所の見学に参加したり、申し込み手続きを行ったりする必要があります。

介護サービスの利用までにはかなりの日数と労力が必要になりますので、特に遠方に暮らす家族の手続きを手伝う際などは、注意が必要です。

「介護が必要なのかも?」と感じたときはどこに相談?

実際に介護保険制度の利用が必要になった場合の手続き先について前項でご紹介しましたが、「とにかく初めての介護問題で、なにも分からない」「親が居住する自治体の介護の現状について知りたい」という場合は、どこに相談するとよいのでしょうか。

介護の問題の相談先①地域包括支援センター

地域包括支援センターは、市区町村が主体となって地域に暮らす住民の保険医療や福祉に関わる包括的な支援を行う場所です。

全国に4300箇所以上設置されており、介護保険法に基づいて介護予防支援及び包括的支援事業を行っています。

地域包括支援センターには社会福祉士・ケアマネージャー・保健師など介護に携わる資格保持者が配置されていますので、介護の問題や手続きにまつわることなどは、どんなことでも相談に乗ってくれます。

少しでも介護の問題を考えたいと思ったら、地域包括支援センターに問い合わせを行い、必要な行政サービス等との架け橋になってもらいましょう。

地域包括支援センターを利用する際の注意点

地域包括支援センターは高齢者の増加に伴い、相談を利用したいクライアントの数が増加傾向にあります。

そのためまずは居住地域の地域包括支援センターのHP等を確認し、事前予約が必要な場合は必ず予約をしてから訪問すると、比較的少ない待ち時間で対応してもらえます。

また休日に地域のコミュニティセンターなどで出張相談会などを行っている自治体もあります。

予定に合わせて検討してみてくださいね。

介護の問題の相談先②医療機関

家族の様子に異変を感じた場合や違和感を覚えた場合、医療機関に相談することも大切です。

特に介護の問題を考えるなかで、主治医の見解はとても大事になってきます。

「自分はまだまだ大丈夫」「年寄り扱いしないでくれ」といって受診を拒否するクライアントもいらっしゃいますが、事前にクリニックに電話で打ち合わせておき、「健康診断に行こう」などと説明した上で受診するとスムーズです。

特に認知症専門外来などでは地域の窓口とも連携し、スムーズに介護の問題に対応してくれますので、家族の認知能力に不安を感じた場合などは、なるべく早く相談しましょう。

介護を始めたあとの問題は、どこに相談すればいいの?

在宅介護をスタートしたり、介護サービスの利用を始めたりした後に、「在宅介護に限界を感じている」「現在利用している介護サービスの量では足りない」などといった介護の問題が生じた際は、どこに相談すればよいのでしょうか。

実際に介護が始まった後は、まず相談相手となってくれるのは担当のケアマネージャーです。

なにか介護に関係する困り事が生じた場合は、ケアマネージャーに連絡をとると良いでしょう。

また普段から介護サービスを提供してくれているアテンダントや、介護サービス事業所、かかりつけの医療機関なども相談を受け付けてくれます。

介護の問題は積極的に外部への相談を

介護の問題が生じた際はどこに相談するべきなのかについて、簡単にご紹介いたしました。

人々の寿命が長くなり、家族形態が多様化しつつある現代において、介護は誰もが直面する問題です。

しかしながら介護は家族だけで行うことではなく、地域社会・介護サービス・医療サービス・そして行政が一体となって協力することが大切です。

介護の問題や悩みが生じた際は一人もしくは家族のなかで悩みを抱え込んでしまうのではなく、今回ご紹介したような地域包括支援センター、医療機関、自治体の福祉課などに相談し、協力しながら向き合っていきましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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