認知症の介護にはコツがある?基本的なこと&症状別の介護を紹介

認知症の方を介護しているとき、どのように対応したらよいのか困ることはないでしょうか。

認知症の方の訴えや行動は日々変わることが多く、昨日できたことが今日はできないということもあります。

この記事では、認知症の介護のコツと症状別の介護方法を紹介していますので、認知症の介護に悩んでいる方は参考にしてください。

目次

認知症の介護のコツ

認知症の介護のコツで基本的なことは、認知症の方と信頼関係を築くことです。

ここでは、どのように信頼関係を築いたらよいのかを紹介していきます。

感情に寄り添う

認知症の方が話すときは耳を傾けて話を最後まで聞き、悩んでいることや楽しいことなど、感情に寄り添いましょう。

また認知症の方が不安そうであれば、こちらから心配ごとがあるのか話しかけましょう。

認知症の初期は、もの忘れや今までできたことができなくなったという自覚があり、認知症の方は不安が募ります。

しかし自尊心から「誰かに頼るのは恥ずかしい」「認めたくない」と思いながらも、「助けてほしい」「気持ちをわかってほしい」とも感じているのです。

認知症に関わらず、誰でも今までと異なる状況が起きたらそのように思うことがあるでしょう。

感情に寄り添うことで「話をすると安心する」「居心地がいい」と思ってもらえ、信頼関係を築けるようになります。

認知症の方のペースに合わせる

認知症の方は行動がゆっくりですので、急かさずご本人のペースに合わせましょう。

例えば着替えに時間がかかっていると、思わず手助けをしたくなることもあります。

そこで手助けをすると、ご本人のできる能力を阻んでしまい「遅い自分はダメなんだ」「自分でできるのに何でやるの」など、自己否定や怒り、申し訳なさといった感情を生むことがあります。

認知症の方の介護のコツは、自分でできることはしてもらうことです。

できることをしてもらうことで自信に繋がり、思考的・心身的なリハビリになるメリットもあります。

否定しない

認知症の方が間違っていることを訴えていても、否定をしてはいけません。

認知症の方にとってはそのように感じていることが事実であり、否定されるとさらに感情が高ぶってしまいます。

その結果「自分のことを信じてくれない」と孤立感を助長し、さらに感情が不安定となってしまうのです。

また認知症の方があなたに悪い感情を残してしまい、その後の関係に影響を及ぼすことがあります。

認知症の方は、過去に起きた事実は忘れていても、感情は覚えているものです。

自尊心を傷つけない

認知症の方を介護するときは、自尊心を傷つけないように関わります。

物忘れの進行やできない日常動作が増えていく認知症の方は、自尊心が低下しやすい傾向にあります。

その中で、できないことを介護者から指摘されると、さらに傷ついてしまい何をするにも自信がなくなってしまうのです。

さらなる意欲の低下に繋がり、何もしなくなると思考力や体の動きも衰えていきます。

認知症の症状別の介護方法

信頼関係を築く方法をもとに、認知症の症状別の介護方法を紹介します。

当てはまる症状がありましたら、参考にしてください。

何回も同じことを聞かれたら

認知症の方に何度も同じことを聞かれるとイライラするかもしれませんが、「また?」「何回も聞いてるよ」とは言わないようにしましょう。

認知症の方は聞いたことを忘れているため、その都度こたえましょう。

また、繰り返す質問に対する答えを、紙に書いておくのもひとつの手段です。

例えば、明日デイサービスがあることを伝えているのに「今日デイサービスはある?」と何度も聞かれることがあります。

「デイサービスは明日です」と紙に書き、認知症の方の目のつくところに置くと、質問する前にご本人が納得します。

攻撃的な口調になったら

認知症の方が攻撃的な口調になったら、目線を合わせてご本人の話を聞きましょう。

また別の方が対応したり、違う環境へ移動したりすると、ご本人の気持ちが落ち着くことがあります。

認知症の方はさまざま感情を抱きますが、正確に表現することが難しく、攻撃的な口調になるケースがあります。

不安や悲しみ、怒りなどのつらい感情を表に出している状態といえるでしょう。

また介護者の言動によって、認知症の方の攻撃性を助長するケースがあります。

認知症の方だけでなく、誰との人間関係にも当てはまりますが、信頼関係を損なうような関わり方をすると不信感や不快感を抱かれます。

食事をしたのに「食事はまだ?」と聞かれたら

食事を終えたのに、認知症の方に「食事はまだ?」と聞かれるのはよくあるケースです。

その時は、フルーツや小さめのおにぎりなど、簡単なものを出すと良いでしょう。

言ってはいけないのが「さっき食べたよ」「まだ食事の時間じゃない」といった否定する言葉です。

認知症の方からすると食事をとっていないのが事実であり、否定すると「自分は食事をとらせてもらえない」と思ってしまいます。

頻繁に食事を出していると、食べ過ぎが気になるかもしれません。

3食の食事量を減らして、希望があるときに食事を出し、1日のトータルの食事量は変えないようにすると良いでしょう。

「財布が盗まれた」と言われたら

認知症の症状には物とられ妄想や被害妄想があります。「財布が盗まれた」と言われたら大変さや困っている気持ちに共感し「一緒に探しましょう」と声をかけましょう。

してはいけない対応は、誰が盗んだのかと妄想を助長することや、誰も盗んでないという盗まれたことを否定する声かけです。

また介護者が財布を見つけると犯人と疑われることがあるため、認知症の方が見つけられるように「カバンの中は確認しましたか?」と上手く誘導することがポイントです。

徘徊するようになったら

認知症の方が徘徊するようになったら、なるべく付き添えるとよいでしょう。

付き添いながらご本人の様子をみて「そろそろ帰りましょう」と声をかけると、納得されることがあります。

また知らない間に徘徊することがあるので、衣類に連絡先と名前のわかるものを縫い付けておくと安心です。

他にも、ご本人がいつも持ち歩くカバンなどに連絡先と名前の書いた紙を入れることや、必ず履く靴にシールを貼っておくのもよいでしょう。

失禁(排尿や排便を失敗)したら

認知症の方が失禁したら「尿で汚い」「間に合わなかったの?」など失禁した事実を伝えないように配慮しましょう。

失禁は認知症の方にとってショックが大きく、指摘されたくないと思っています。

衣類を着替えるときは「新しい衣類に着替えませんか?」と、それとなく遠回しに伝えましょう。

また汚れた場所を片付ける時は「失禁したから」という言葉は口に出さないようにしましょう。

認知症の介護のコツを押さえて関わろう

認知症の方の介護のコツで基本的なことは、信頼関係を築けるように関わることです。

信頼関係を築く方法は、身近な人と人間関係を築くことと同じように、相手に寄り添い尊重することです。

信頼関係を築くことを念頭に置いておけば、認知症の方も介護をする方も気持ちよく過ごせるでしょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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