認知症介護研究・研修センターとは何か?概要と取り組み、研修内容を紹介

日本は高齢社会であり、認知症の方を介護する場面が多くなっています。

しかし認知症の方に対する正しい知識や介護技術がないと、介護をする方(アテンダント)の負担が強くなることや、認知症の方へ偏見を持つケースもあるでしょう。

上記の問題を解決するために、認知症介護研究・研修センターは、認知症介護に関するさまざまな取り組みを行っています。

この記事では、認知症介護研究・研修センターの概要と取り組み、研修内容を紹介します。

目次

認知症介護研究・研修センターとは?

日本認知症介護研究・研修センターは、ゴールドプラン21にて認知症がある高齢者の増加に伴う認知症介護が重要視され、2000年に国の補助事業として設立されました。

日本認知症介護研究・研修センターの機能は以下のとおりです。

  • 認知症介護の技術に関する研究
  • 認知症介護の技術に関する国内外の交流
  • 介護指導者の養成研修
  • 虐待防止および介護者に関する調査と研究
  • 認知症地域支援体制構築のための検討など(東京センター)

(参考)
センター情報 認知症介護ネットワーク
認知症介護研究・研修センターの成り立ちと概要

認知症介護研究・研修センターで取り組んでいる内容

認知症介護研究・研修センターでは、具体的に以下の取り組みを行っています。

  • 認知症についての情報発信
    (認知症とは、予防、治療薬、スクリーニング、関わり方、認知症カフェ)
  • 研修情報の掲載、研修の開催
  • 実践に役立つ報告書を掲載
  • 学習、研修用の教材を掲載
  • 研究の報告
  • 相談先の紹介

上の取り組みからわかるように、認知症介護研究・研修センターは、認知症に関わるすべての人を対象とした取り組みをしています。

認知症カフェとは、認知症の方やその家族が集まって交流できるサロンのようなものです。

認知症の方やご家族の孤立を防ぎ、地域住民に認知症を正しく理解してもらう目的があります。

ゴールドプラン21とは

ゴールドプラン21とは、介護保険制度が始まる2000年4月から5年間の高齢者保健福祉に対する施策の充実をはかった計画です。

以下の4つの柱をもとに、高齢者が住みやすい地域の実現に向けて施策を展開しています。

  1. 活力ある高齢者像の構築
  2. 高齢者の尊厳の確保と自立支援
  3. 支え合う地域社会の形成
  4. 利用者から信頼される介護サービスの確立

(引用)今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向~ゴールドプラン21~ 厚生労働省

認知症介護研究・研修センターがある場所

認知症介護研究・研修センターは、全国に3か所あります。

各センターの法人名と住所、担当地域を紹介します。

  • 東京センター
    法人名:社会福祉法人 浴風会
    住所:東京都杉並区高井戸西 1-12-1
    担当地域:関東、新潟、九州、沖縄
  • 大府センター
    法人名:社会福祉法人 仁至会
    住所:愛知県大府市半月町三丁目294番地
    担当地域:近畿、中部
  • 仙台センター
    法人名:社会福祉法人 東北福祉会
    住所:宮城県仙台市青葉区国見ヶ丘6-149-1
    担当地域:北海道、東北、中国、四国

認知症介護研究・研修センターの研修内容

認知症介護研究・研修センターで取り組んでいる介護の研修は以下のとおりです。

  • 認知症介護指導者養成者研修
  • 認知症地域支援推進員研修
  • 認知症ケアマッピング(DCM)法研修
  • 若年性認知症支援コーディネーター研修

各研修の特徴、開催場所、研修期間を紹介します。

認知症介護指導者養成者研修

認知症介護指導者養成者研修は、介護の現場における指導的立場になる人のための研修です。

認知症介護に関する専門的知識・技術を学び、研修プログラムの作成方法や教育する技術、介護の質の改善のための指導方法を習得します。

研修は各センターで原則年3回開催されており、研修期間は9週間、そのうちセンターでの集合研修は15日間です。

スケジュールは前期研修10日間(集合研修)、職場実習6週間、後期研修5日間(集合研修)、修了考査を経て修了します。

研修総時間は308時間と、介護の研修の中では長い時間となっています。

(参考)認知症介護養成者研修 認知症介護情報ネットワーク

認知症地域支援推進員研修

認知症地域支援推進員は2018年から全国の市町村に配置されており、市町村が取り組んでいる認知症施策の推進をしたり、認知症の方の医療・介護のネットワークを整備したりと、地域に応じた活動をしています。

研修は新任者研修と現任者研修の2つがあり、新任者は新たに配置された人(もしくは配置予定の人)、現任者研修は推進員として1年以上活動している人が対象となります。

研修は東京センターで年1回のみ開催されており、日程は全12回(12日間)です。

12回のうちオンライン研修は8回、集合型研修は4回あり、集合型研修の開催場所は福岡と東京となっています。

(参考)推進者研修 認知症介護情報ネットワーク

認知症ケアマッピング(DCM)法研修

認知症ケアマッピング(DCM)法とは、認知症ケアの質の向上をめざす目的でイギリスにて開発されたものです。

6時間以上認知症の方を観察、5分ごとに行動をカテゴリーに分類し、よい状態からよくない状態までのどの段階にあたるのかアセスメントする方法です。

研修は大府センターで開催され、DCM初級コースとDCM上級コースの2つのコースがあります。

DCM初級コースは年4回開催されており、集合型研修(大府センターで開催)のみ、またはオンライン研修のみで受講可能です。

期間は集合型研修は3日間、オンライン研修は4日間です。

DCM上級コースはオンラインで受講でき、期間は3日間となっていますが、2023年度の開催は見送られています。

(参考)認知症ケアマッピング 認知症介護研究・研修大府センター

若年性認知症支援コーディネーター研修

若年性認知症支援コーディネーターは、若年性認知症の方とご家族のニーズに対応した各関係機関・サービス担当者との調整、正しい知識を広める役割が期待されています。

支援コーディネーターが活躍している場所は、各都道府県に設置された若年性認知症の方と家族の相談窓口です。

研修は大府センターで開催されており、初任者研修、フォローアップ研修の2つがあります。

初任者研修はコーディネーターの基本的な知識と視点を学び、配置している都道府県の現状と課題の理解、コーディネーターと都道府県等担当者の関係づくりを促進します。

フォローアップ研修はコーディネーターと都道府県等担当者の基本的な知識と支援方法を学び、他の都道府県の取り組みを通して配置している都道府県の現状と課題を理解します。

初任者研修とフォローアップ研修はどちらもオンラインで受講でき、日程は2日間です。

(参考)若年性認知症支援コーディネーター研修 認知症介護情報ネットワーク

認知症介護研究・研修センターは介護をする人が学べる場

この記事では、認知症介護研究・研修センターの概要と取り組み、研修内容を紹介しました。

介護に関わるすべての方が正しい認知症の知識と技術を身に付けることで、認知症の方が住みやすい地域をつくれます。

認知症介護研究・研修センターから情報を得たり、研修を受講したりして、認知症介護の知識と技術を深めましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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