認知症の介護サービスとは?サービスを受ける流れと種類を詳しく解説

認知症の方は介護サービスが利用できますが、ご家族は「どうやって介護サービスを受ける?」「どんな介護サービスがある?」と疑問に思うのではないでしょうか。

この記事では、認知症の方を介護しているご家族へ向けて、介護サービスを受ける方法と介護サービスの種類について紹介します。

介護サービスを受けることで、認知症の方が過ごしやすくなるだけでなく、ご家族の介護負担が軽減できますのでぜひ最後まで読み進めてください。

目次

介護サービスを利用するには要介護認定が必須

介護サービスを利用するにあたって、「要介護認定」を受けることが必須です。

要介護認定を受けるには、お住まいの市区町村役場の窓口から申請します。

お住まいの地域にある包括支援センターでは、最初の介護相談窓口の役割を担っているため、要介護認定を受けたいと相談しましょう。申請に必要な書類の書き方を詳しく教えてもらえます。

申請後は市区町村の職員などが家に訪問し、認知症の方とご家族に聞き取り調査をします。

聞き取り調査では、認知症の方がどの程度の介護を必要としているかを確認しますので、ご家族は日常の様子を伝えましょう。

市町村または地域包括センターの依頼により、かかりつけ医が認知症の方の病状に関する意見書を作成します。

聞き取り調査の結果と意見書をもとに、コンピューターによる一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て要介護度が決定します。

要介護度は7段階に区分され、要介護度の低い(必要な介護が少ない)区分から要支援1、2、要介護1〜5となります。

介護保険サービスは65歳以上の方が対象ですが、45歳以上65歳未満の若年性認知症の方でも利用可能です。

担当者が介護サービスのケアプランを作成

要介護認定決定後、または並行して、介護サービスのプランを作成する担当者が決まります。

担当者がご自宅へ訪問し、認知症の方のご様子やご家族のご要望をくみ取りながら、介護サービスのプランを作成します。

介護サービスは所得に応じて1〜3割の自己負担がかかります。

また要介護度によって介護サービスを受けられる上限が決まっており、上限を超えると全額自己負担となります。

なお、ケアプランを作成する担当者には費用がかかりません。

認知症の方が利用できる介護サービス

認知症の方が利用できる介護サービスは、大きく分けて3つあります。

  1. 自宅で受けられる介護サービス
  2. 通う介護サービス
  3. 施設で暮らす介護サービス

それぞれの介護サービスを詳しく紹介します。

1.自宅で受けられる介護サービス

自宅で受けられる介護サービスは訪問系介護サービスともいわれ、職員が自宅へ訪問しケアプランにのっとったサービスを提供します。

どのような種類があるのか紹介します。

訪問介護

訪問介護は介護職員(アテンダント)が訪問し、着替えや食事の準備、お風呂の介助など、身の周りの世話をするサービスです。

また家事ができる同居家族がいない場合、掃除や洗濯、調理、買い物のサポートも行っています。

訪問看護

訪問介護は看護師が訪問し、体調確認や医療処置、清潔ケアなどをする介護サービスです。必要に応じてリハビリも行います。

ケアプランによってはリハビリ専門である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問することがあります。

訪問入浴

訪問入浴は、浴槽とポンプを室内に運んで入浴できるサービスです。

介護職員、看護師(または准看護師)が訪問し、入浴と着替えを行います。

自宅での入浴や通所サービスでの入浴が困難な場合に利用されます。

2.通う介護サービス

通う介護サービスは通所系介護サービスともいわれ、事業所へ通って利用できる介護サービスです。

どのようなサービスがあるのか紹介します。

認知症対応型通所介護

認知症対応型通所介護は、認知症の方に限定した通所サービスです。

体調確認や昼食、入浴の支援に加えて、自宅で自立した生活を送れるように、家庭の状況を活かしたリハビリを行っています。

デイサービス(通所介護)

デイサービスは体調の確認、昼食や入浴の支援を行っています。

レクリエーションを取り入れ、楽しく過ごすだけでなく、手や脳の刺激になるような工夫をしています。

デイケア(通所リハビリ)

デイケアは身体を動かす機能と向上を目的としており、昼食や入浴の支援も行っています。

医師の指示に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門スタッフによるリハビリが受けられます。

3.施設で暮らす介護サービス

施設で暮らす介護サービスは、大きく分けて一時的に入所できる施設と、長く暮らせる施設があります。

どのような施設があるのか紹介します。

ショートステイ

ショートステイは一時的に入所できる施設であり、ご本人の体調が悪い時、介護をするご家族の予定がある時やご家族の介護疲れ軽減の目的でも利用できます。

食事や入浴などの日常生活の支援や、リハビリも行います。

グループホーム

グループホームは認知症の方が入居する施設であり、介護職員のサポートを受けながら共同生活を送ります。

グループホームでは5〜9人の認知症の方が過ごしており、少人数で自宅と同じような生活を送れるため、新しい変化が苦手な認知症の方でも過ごしやすい環境となっています。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、自宅での生活が困難なご高齢の方が入居できる施設であり、介護や生活支援を受けられます。施設によっては看取りが可能です。

基本的には要介護3以上の方でないと入居できません。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設は、在宅復帰を目指すリハビリテーションが必要なご高齢の方が入居できる施設です。

基本的には要介護1以上の方が入居でき、長期入院が必要となる場合は利用ができない施設が多くあります。

介護サービスで福祉用具のレンタルも可能

介護サービスでは、必要に応じて福祉用具のレンタルも可能です。

ケアプランを作成する担当者が、認知症の方の歩行の様子や身体の状態をみながら、必要な福祉用具を提案します。

レンタルできる福祉用具の例
  • 歩行器
  • 車いす
  • スロープ
  • 手すり
  • 電動ベッド など


担当者と相談しながら介護サービスを利用しよう

介護サービスは要介護認定を受けないと利用できないため、まずはお住まいの地域包括センターへ相談し、市町村の窓口へ申請しましょう。

認知症の方が利用できる介護サービスの種類には、訪問・通所・施設があり、どれを利用したらよいのか迷うかもしれません。

ご本人のご希望を聞き担当者と相談しながら、介護サービスを利用しましょう。

ご本人とご家族に合った介護サービスを利用することで、より良い生活が送れます。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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