家族が認知症と診断されたら。利用可能な介護施設の種類を徹底解説。

年齢を重ねるとともに発症のリスクが高まると考えられている認知症は、超高齢化社会である日本で非常に身近な問題です。

内閣府の調査によると、2025年には65歳以上の5.4人に1人が認知症と診断されるという推計が出ています。

大切な家族が認知症と診断されたとき、介護施設への入居という形を検討される方も多いかと思います。

そこで今回は、認知症の方が利用することのできる介護施設の種類についてご紹介していきます。

家族と認知症、そして介護と向き合う時に必見の情報となっていますので、ぜひ最後までご確認ください。

【参照】平成29年版高齢社会白書(内閣府)

目次

認知症の方が利用できる介護施設は、大きく2種類

認知症と診断されたクライアントが利用することのできる介護施設は、民営の施設であるか公営の施設であるかという2種類に分けることができます。

民営の施設の場合は各施設ごとにサービスの特色や充実がみられる一方で料金が高額な場合もありますが、公営施設の場合は家計に優しく入居条件が厳しいという特色があります。

クライアントや家族の状況によって最適な介護施設は様々ですので、それぞれの特徴を理解した上でご自身に合った介護施設を選びましょう。

認知症クライアントを受け入れ可能な、公営の介護施設の種類

認知症のクライアントに対応している公営の介護施設は、主に3種類です。

介護度が重いクライアントや医療依存度が高いクライアント、また困窮しているクライアントなどに対しての支援という意味合いが大きい施設ですので、全体的に費用が抑えられているという特徴があります。

入居金が不要という施設も珍しくありませんが、入退去の条件が厳しく、また非常に需要が高いことから地域によっては入居待ち年数が長いという傾向があります。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、食事や入浴・排せつなどの身体介護、清掃・洗濯など含む生活支援だけでなく、リハビリやレクリエーションなどの介護サービスを受けることが可能な施設です。

原則として要介護3以上のクライアントが入居可能な施設ではありますが、認知症のクライアントの場合は要介護1以上から入居を希望することができます。

入居金が不要で月々10万円前後で利用することができるため、とても人気の高い施設です。

入居の申し込み順は先着制ではなく、クライアントの状況を踏まえた上で緊急度が高い方からの入居が認められます。

介護老人保健施設

原則として3カ月から半年程度にわたっての入居が認められる介護施設が、介護老人保健施設です。

病院から退院した直後と自宅の中間に位置するような存在で、在宅復帰を目指した身体介護・医療的管理・リハビリテーションを受けることができます。

利用ができるのは要介護1以上のクライアントで、料金は相部屋の人数にもよりますが10万円前後であることが一般的です。

介護型ケアハウス(軽費老人ホームC型)

60歳以上の高齢者であり、自宅で自立した生活を継続することが困難なクライアントに対する介護施設が、ケアハウスです。

ケアハウスには一般型と介護型の2種類が存在していますが、通常ですと一般型のケアハウスにおいて認知症クライアントへの対応は行っていません。

認知症を患った状態でも入居可能なケアハウスは、介護型ケアハウスという種類になります。

介護型ケアハウスは一般型ケアハウスよりも費用が高額になる傾向にあり、入居一時金は数十万円、毎月かかる費用は20万円前後が一般的な目安となります。

認知症クライアントを受け入れ可能な、民営の介護施設の種類

先にご紹介した公営の介護施設と比較すると、民営の施設は毎月の利用料金平均が少し高くなるという点が最も大きな特徴です。

必要になる費用が高額になる一方で、施設設備や食事内容、リハビリ・レクリエーションなどのプログラムが多彩で充実していることもあり、クライアントによっては自由度が高い民営の介護施設をあえて希望される方も増えつつあります。

介護付き有料老人ホーム

24時間体制でアテンダントが常駐しており、介護度によって異なる定額を支払うことで利用することのできる介護施設が、介護付き有料老人ホームです。

介護保険制度上の特定施設入居者生活介護というサービスを提供する施設であるという認可を受けており、施設によっては要介護5のクライアントの受け入れや、看取りのケアまで対応可能なところもあります。

入居時の費用は数十万円から数千万円と幅が大きいですが、月々の費用は15万円から35万円程度の間で介護度に応じた定額制ということもあり、利用しやすいと人気が高まっています。

住宅型有料老人ホーム

マンション型などの住居施設に暮らしながら必要量の介護サービスを利用することのできる介護施設が、住宅型有料老人ホームです。

介護付き有料老人ホームと同様に身体介護や生活支援、リハビリやレクリエーションなどのイベント開催、医療機関との連携が図られていますが、介護サービスは定額ではありません。

そのため入居時の費用として数十万円から数千万円を支払い、介護サービスは月ごとの利用料に応じて清算となります。

基本的には月々15万円から35万円程度ですが、支給限度額を超えてサービスを利用した場合は費用がさらに高額になることもあります。

グループホーム

共同生活型の介護施設であるグループホームも、認知症のクライアントを対象にした介護施設の一つです。

9人以下の少人数グループで共同生活を行いながら、お互いにできることとできないことを補い合って過ごすスタイルで運営されており、認知症対応型共同生活介護施設とも表現されます。

入居費用は0円から数百万円と幅が広く、月々の支払いの相場は15万円以上となっています。

サービス付き高齢者向け住宅

60歳以上の方であれば入居することができる、バリアフリー構造の賃貸住宅を中心に運営される介護施設が、サービス付き高齢者向け住宅です。

一般的なマンションのような広さがある住宅で自由度の高い生活を送りながら、常駐しているアテンダントによる安否確認と生活相談を利用することが可能です。

入居基準が厳しく、認知症のクライアントにも対応可能なサービス付き高齢者向け住宅は一部に限られますので、入居を希望する際は事前の情報収集が必要です。

入居時に数十万円から数百万円、入居後は月々5万円から30万円程度が相場の費用感です。

シニア向け分譲マンション

サービス付き高齢者向け住宅同様に、バリアフリー構造のマンションで運営される介護施設がシニア向け分譲マンションです。

基本的には要支援認定までのクライアントを対象としていることが一般的ですが、一部では認知症にも対応しているシニア向け分譲マンションも存在します。

家事援助の援助や温泉・プールをはじめとする施設の特色などはありますが、介護サービスは料金に含まれておらず、介護が必要になった場合は在宅介護を利用しなくてはいけません。

全体的にサービス付き高齢者向け住宅よりも高額な費用が発生することになり、入居金は数千万円から1億円程度、月額としては数十万円の支払いが見込まれています。

認知症の介護施設は様々!種類ごとに特徴が違うので、しっかり選ぼう。

認知症のクライアントでも利用可能な介護施設をご紹介いたしました。

3種類の公営介護施設と5種類の民営介護施設を比較するなかでは、クライアントにとって本当に過ごしやすい介護施設、そして家計に大きな負担のない施設を選ぶことが大切になってきます。

介護施設の種類をしっかり確認し、認知症に対応している介護施設をいくつか回ってみることをおすすめいたします。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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