認知症クライアントにとって、介護の2025年問題とは?新オレンジプランって何?

皆さんは介護の2025年問題という言葉を聞いたことがありますか。

2025年問題は、戦後のベビーブームに誕生した団塊世代である1947年から1949年生まれの人々が後期高齢者と呼ばれる年代に突入することで生じる、介護に関わる諸問題のことを意味する言葉です。

具体的には介護の人材不足・社会保険費の負担が増加・労働者の不足などが危惧されています。

認知症のクライアントにとっても2025年問題は重要な課題の一つとなっており、厚生労働省では「新オレンジプラン」を打ちだして、2025年問題への対策を練っています。

今回の記事では認知症のクライアントにとっての介護の2025年問題と、新オレンジプランを中心にご紹介していきます。

目次

迫りくる2025年問題

2025年問題は、第一次ベビーブームである第二次世界大戦の終戦直後に生を受けた世代が75歳に到達し、これまで以上に介護を必要とするクライアントの人数が増えると予測されることに伴って生じると考えられている問題の総称です。

日本の介護保険制度では、原則として65歳以上の方が介護度認定を申請し、介護保険サービスを利用することができます。

特に年齢を重ねると共に筋力の低下が進行したり、認知症を発症したりすると、要介護度が進行する傾向にありますので、高齢者人口のなかでも後期高齢者の人口比率が増えることは、必要とされる介護量の増加に直結してしまうのです。

また日本では高齢者の人口比率の増加に対し、働き世代の人口減少が大きな問題となっています。

そのため介護を必要とするクライアントは増加する一方で、介護を提供するアテンダントの数が不足するというのが、2025年問題の課題です。

また希望する介護サービスの利用ができず、在宅介護の必要に駆られてキャリアをあきらめざるを得ない方々が増加すると、一般企業においても労働人口が不足することが懸念されています。

認知症介護と2025年問題

2025年問題と認知症介護の問題に関して厚生労働省では「認知症施策推進総合戦略」と呼ばれる対策に沿った、認知症クライアントであっても暮らしやすい社会の実現に向けて動いています。

通称「新オレンジプラン」と銘打たれたこの施策では、「認知症の方=介護施設を利用する方」と区分するのではなく、社会全体で認知症のクライアントが暮らしていきやすい地域環境を構築していくことを目指すことが定められています。

新オレンジプランが目指す、認知症クライアントの意思が尊重される社会の実現に向けた具体策(7つの柱)は以下の通りです。

  • 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  • 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
  • 若年性認知症施策の強化
  • 認知症の人の介護者への支援
  • 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  • 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
  • 認知症の人やその家族の視点の重視

【参照】認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要(厚生労働省)

2025年問題を考慮した、認知症クライアントへの介護のあり方

新オレンジプランでは、認知症を患っていても「自宅で最期まで過ごしたい」「住み慣れた地域から離れたくない」と願うクライアントの意思が尊重されるよう、適切な介護や医療を提供していくことが明記されています。

実際に認知症のクライアントに対して、2025年問題を踏まえてどのような介護が提供されているのかを確認していきましょう。

訪問介護

訪問介護は、介護が必要な状態であると認定されたクライアントが自宅生活で困難に感じていることを手伝うため、ホームヘルパーが自宅を訪れて提供するサービスです。

認知症は進行性の病気ですが、自分でできることや機能が衰えていないことはできるだけ自力で行うことによって、症状が過剰に進行することを防げるのではないかと考えられています。

そのためホームヘルパーは、クライアント一人ひとりの困りごとに合わせて食事や調理のお手伝い、排泄介助、入浴介助といった介護サービスを提供し、認知症を患っていても自宅で暮らし続けることができるよう、サポートしていきます。

デイサービス

デイサービスは、自宅で暮らすクライアントにとって日中の居場所となる、日帰りの通所型施設です。

認知機能や筋力の低下によって自宅に引きこもりがちになっているクライアントが、同じ自治体に暮らす仲間との時間を共にすることで、地域に暮らす喜びを感じたり、気分転換をしたりする場となっています。

また認知機能の低下が進行することを防止するための脳トレやリハビリの時間も充実しているのが特徴です。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、2025年問題を見据え、介護と看護が連携して認知症のクライアントに対するサービスを提供していく、新しい形の介護保険サービスです。

24時間体制で訪問型の介護・緊急時の見守りと訪問・訪問看護という4サービスを利用することができるので、認知症の症状が進行しても自宅や地域での生活を継続することが可能となっています。

施設入居以外の認知症に対する介護の形として急速に需要が拡大しています。

株式会社土屋グループの定期巡回・随時対応型訪問介護看護

株式会社土屋グループでは、迫りくる2025年問題における認知症介護の諸問題への対策として、様々な取り組みを行っています。

そのうちの一つが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の拡充です。

現在株式会社土屋グループでは、定期巡回サービス土屋のサービス提供地域を日本各地に拡充中です。

認知症のクライアントであっても意思が尊重される社会の実現に向けて、一人でも多くのクライアントが自宅での生活を継続することができるよう、株式会社土屋は努力し続けます。

2025年問題に向けて。地域全体で認知症の介護に向き合おう

2025年問題の概要と、認知症の介護に対する新オレンジプランを中心にご紹介してまいりました。

2025年は団塊の世代が後期高齢者世代に突入し、今まで以上に介護の需要が増すこと、また生産人口が減少することが懸念されています。

きたる2025年問題に向けて、認知症のクライアントも含めて全ての方々が希望とする介護保険サービスを利用し、自分らしく暮らすことのできる社会の実現が責務です。

株式会社土屋グループも一丸となって、一人でも多くの方々に質の高い介護を提供することができるよう、引き続き努力してまいります。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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