認知症の家族を在宅で支える在宅介護。介護の限界はどこ?対処法は?

家族に認知症の症状が現れると、介護が突然始まります。

大切な家族が認知症と診断された悲しみと驚きに加え、認知症の症状によって正常な会話が難しくなったり、人格が変わったりしたように感じてしまい、精神的にも肉体的にも追いつめられてしまうご家族は少なくありません。

また介護は終わりが見えず、正解の形もないことから「いつまでこんな生活を続ければいいんだろう」「親の介護が辛いなんて、親不孝すぎて情けない」と限界を感じてしまう家族も大勢いらっしゃいます。

そこで今回の記事では、認知症と向き合うなかで介護の限界を感じやすいポイントや、認知症の介護への対処法をご紹介していきます。

目次

認知症の症状とは

脳細胞の一部にダメージが加わることによって発症するのが、認知症です。

アミロイドβという特殊なたんぱく質が脳の神経細胞を破壊することによって発症するのがアルツハイマー型認知症、レビー小体という構造物が神経細胞に蓄積することで発症するレビー小体型認知症、脳への血液供給が減少することで脳細胞が破壊される血管性認知症など、認知症の原因は様々です。

症状もそれぞれの認知症ごとに特徴がありますが、いずれの認知症の場合も認知機能が低下したり、不安から生じる派生的な症状が出現したりすることで、人間としての社会生活を継続することが困難になっていきます。

認知症に対する介護の限界

認知症は進行性の病気で、例えば初期の段階では時折もの忘れ症状が見られるだけであったクライアントも、徐々に言語力や理解力の低下が進んでいきます。

また認知症の大きな特徴の一つとして、身体が元気で自由に動くことのできるクライアントが多いという点が挙げられます。

そのため徘徊や暴力などの行動・心理症状を発症する方も多く、次第に24時間体制で見守る必要が生じます。

この段階になると家族の誰かが介護離職を検討せざるをえなくなったり、支給限度量を超えて自費での介護サービス利用を検討せざるをえなくなったりという相談が多く寄せられます。

在宅介護の一つの限界は「トイレ」がポイント

特に認知症に対する在宅介護を続けていくなかで限界を感じる一つのポイントがトイレです。

日本泌尿器科学会によると、1日に8回以上の排尿があると頻尿に該当します。

つまり健康な方であっても1日に7回程度までは排尿があり、排便を加えると1日あたり8回前後はお手洗いに行く必要がある計算になります。

認知症の進行によって「尿意を感じる」「トイレに行く」「衣類を脱いで、排泄をする」「清拭をして、衣類を整える」という一連の行動ができなくなってしまうと、1日あたり8回程度の排泄介助が生じることになり、介護者の日中の時間が大きく損なわれることになります。

そのため在宅介護の限界を感じるポイントとしては「トイレが一人で難しくなったとき」が一つのターニングポイントといえます。

【参照】尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~(日本泌尿器科学会)

介護者の生活に支障が生じ始めているのであれば、それは介護の限界を迎えているサイン

トイレに関わらず、「夜間の認知症介護で日中の仕事に支障をきたしてる」「初めて介護で腰を痛めてしまい、自分の生活がままならない」「認知症の介護が中心の生活となり、他の家族に我慢を強いている。家族の関係が悪くなってきた」という場合は、介護の限界に達しているサインです。

認知症の家族を大切に思う気持ちはもちろん尊いものですが、介護者を含めた他の家族の日常も同様に尊いものです。

在宅介護の限界を感じたら、無理をせず次のステップの介護への移行を検討しましょう。

介護の限界。施設入居を視野に認知症と向き合う

家族による在宅介護や訪問型介護、通所型介護の利用のみでは、介護者や他の家族の生活が立ち行かなくなってしまったタイミングは、施設入居への移行を検討するタイミングかもしれません。

認知症のクライアントを対象にした介護施設は民営のものと公営のものが運営されています。

それぞれの介護施設によって費用感や利用できるサービス、また利用のための条件などが細かく定められています。

近年は特に認知症クライアントに対応している介護施設への入居希望が後を立たず、キャンセル待ちや長い入居待ち年数が発生している施設もあります。

施設入居が視野に入った段階で早めの施設見学を行うことがおすすめです。

24時間対応の訪問型介護サービスの検討もおすすめ

またどうしても自宅で認知症の在宅介護を続けたいという方には、24時間365日の介護保険サービスである定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用もおすすめです。

訪問介護に近い介護サービスであるホームヘルパーによる定期巡回サービスが年中無休で利用できる上に、毎月の費用が固定の月額制になっていますので、家計への負担も軽減されるのがポイントです。

必要量と認められれば1日あたり複数回の訪問や、訪問介護の2時間ルールに縛られない利用が可能ですので、在宅介護を継続したい方、入居施設が見つかるまでの在宅介護をサポートしてほしいと考えている方から需要が高いサービスとなっています。

株式会社土屋でも、定期巡回サービス土屋として日本各地で定期巡回事業所を展開しています。

認知症のクライアントを在宅で介護することに限界を感じていたり、なんとか在宅介護を継続したいと考えていたりする方は、どうぞお気軽に定期巡回サービス土屋までお問い合わせください。

認知症の家族と向き合うなかで介護の限界を感じたら、介護保険サービスの見直しを

認知症の介護は肉体的・精神的な負担が大きく、大切な家族であっても次第に介護の限界を感じるのは当然のことといえます。

特に認知症は症状の進行が早いため、必要な介護の内容や時間も短期間で大きく変化していきます。

介護の限界を感じた時は、担当のケアマネージャーや地域包括支援センターに相談を行い、追加で利用することのできる介護サービスの有無や、介護度の再認定、そして施設入居などを検討し、認知症のクライアント本人はもちろんのこと、介護者や家族全員にとって満足のいく形の介護を探していきましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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