認知症の介護保険サービスとは?介護保険の仕組みとサービス内容を紹介

ご家族が認知症になった時、介護保険サービスの利用を考えるのではないでしょうか。

この記事では、介護保険サービスについて解説しながら、認知症の方が受けられる介護保険サービスを紹介します。

併せて介護保険サービスの上限利用額と自己負担額、要介護区分についても解説していますので、サービスを利用される際に参考にしてください。

目次

介護保険サービスとは

介護保険サービスは、年齢を重ねた方が介護が必要な状態になった時、適切なサービスを受けられるように社会全体で支えることを目的としています。

介護保険サービスが開始となった背景には高齢化や核家族化、介護離職の問題があり、そのような問題を解決するために介護保険サービスが始まりました。

日本では40歳になるとすべての人に介護保険の加入が義務付けられ、毎月介護保険料を支払います。

介護保険サービスの対象者は以下の2通りに分けられます。

  1. 65歳以上の人(第1号被保険者)

寝たきりや認知症、病気などが要因で、介護が必要な状態になった場合。
または日常生活に支援が必要になった場合。

  1. 40歳~65歳までの医療保険に加入している人(第2号被保険者)

若年性の認知症や脳血管疾患など、老化が原因とされる特定の病気になり、介護や支援が必要なった場合。

参考)介護保険の解説>介護保険とは 厚生労働省

認知症の方が介護保険サービスを受けるには

認知症の方が介護保険サービスを受けるには、要介護認定を受けなければなりません。

要介護認定はお住まいの市町村から申し込むことが可能です。

また介護の相談の最初の窓口は、お住まいの地域包括支援センターが行っています。

介護保険サービスを受けたいと考えているなら、まずは地域包括センターへ相談しましょう。

介護保険サービスの利用にあたって担当の職員がつき、認知症の方の状態やご家族の希望をくみ取りながら、利用する介護保険サービスを決定します。

認知症の方が受けられる介護保険サービス

認知症の方が受けられる介護保険サービスを紹介します。

訪問の介護保険サービス

訪問系の介護サービスは、自宅に職員が訪問し介護をするサービスです。

主に訪問介護、訪問看護、訪問入浴の3つがあります。

訪問介護

介護職員(アテンダント)が訪問し、清潔ケアや食事介助などの身の周りの世話や生活支援を行うサービスです。

生活支援は掃除や調理、買い物の付き添いができ、家事ができる同居家族がいない場合に利用できます。

訪問看護

看護師が訪問し、体調確認や医療処置、服薬確認や療養の指導をするサービスです。

リハビリが必要な場合、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリの資格がある職員が訪問するケースがあります。

通所の介護保険サービス

通所の介護保険サービスは、認知症の方が事業所に通い日中過ごせるサービスです。

主に認知症対応型通所介護、デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリ)があります。

認知症対応型通所介護

認知症対応型通所介護は認知症の方に限定した通所サービスで、体調確認や昼食、入浴支援などを行います。

他の通所系サービスと比較すると定員が少ないため、よりきめ細やかなサービスを受けられます。

また認知症の方に特化した支援を行っており、専門的なケアを受けられます。

デイサービス(通所介護)

デイサービスは体調確認や昼食、入浴支援などを行います。

楽しく過ごせるようにレクリエーションや行事も取り入れています。

デイケア(通所リハビリ)

デイケアは身体の機能向上ができるリハビリに特化した事業所で、昼食や入浴の支援も行っています。

医師の指示に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリが受けられます。

施設の介護保険サービス

施設の介護保険サービスは24時間職員がおり、身の周りの世話や生活支援を受けられます。

認知症の方が利用できる施設は、ショートステイ、グループホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設があります。

ショートステイ

ショートステイは一時的に入所できる施設で、ご家族の休息や予定がある時、認知症の方の体調が悪い時などに利用できます。

グループホーム

グループホームは要支援2または要介護1〜5の認知症の方のみが利用できる施設で、少人数で共同生活を送ります。

認知症の方に特化した支援を受けられるのが特徴です。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、自宅での生活が困難な要介護3以上の方が入居できる施設で、施設によっては看取りが可能です。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設は、在宅復帰を目指すリハビリが必要な要介護1以上の方が入居できる施設です。

病院退院後に自宅に戻る前のリハビリ施設として利用されるため、長期療養が必要となる方は利用できないケースが多いです。

介護保険サービスの上限と自己負担額

介護保険サービスは、要介護の区分によって上限が変わります。

要介護認定は要支援1、2、要介護1〜5の7段階に分けられます。

また自己負担額は年間所得によって変わり、1〜3割は支払わなければなりません。自己負担割合が決まるタイミングは、介護認定の判定がおりる時に決定します。

なお第2号被保険者(40歳〜65歳までの医療保険に加入している人)、市区町村民税非課税の方、生活保護受給者は1割負担です。

自宅で生活した場合の介護保険サービスの利用限度額(30日)と、自己負担額(1割の場合)を紹介します。

介護保険サービスの利用限度額(30日)自己負担額(1割の場合)
要支援150,320円5,032円
要支援2105,310円10,531円
要介護1167,650円16,765円
要介護2197,050円19,705円
要介護3270,480円27,048円
要介護4309,380円30,938円
要介護5362,170円36,217円
参考)介護保険の解説>サービスにかかる利用料 厚生労働省

要介護5になるほど介護が必要な心身の状態であるため、介護保険の利用限度額も高くなっています。

要介護区分の詳細

要介護認定の7つの区分(要支援1、2、要介護1〜5)について、どのような身体の状態かを紹介します。

要介護区分身体の状態
要支援1基本的に1人で生活できるが、何かしらの支援が必要な状態。
要支援2基本的に1人で生活できるが、要支援2よりも何かしらの支援が必要な状態。
要介護1日常生活を送る動作が不安定で介助が必要な状態。 要支援2よりも認知力や身体能力の低下がある。
要介護2要介護1よりも認知力や身体能力が低下しており、日常生活に介助が必要な状態。
要介護3食事や排泄、入浴など全面的な介助が必要な状態。 自立歩行が困難で、杖や歩行器、車いすを利用する。
要介護4介助がなければ生活を送れない。 座る姿勢が保持できない、立つこともできない状態。
要介護5コミュニケーションをとることが困難で、ベッドで寝たきりの状態。

介護保険サービスの利用は要介護認定の申請から

この記事では、介護保険サービスの仕組みと認知症の方が受けられる介護保険サービスを紹介しました。

介護保険サービスを利用するには、要介護認定の申請が必要です。まずはお住まいの地域包括センターへ相談しましょう。

申請後に要介護区分が決定し、必要な介護保険サービスが利用できるようになります。

介護保険サービスを利用して、認知症の方とご家族も生活しやすい環境を整えましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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