認知症の家族を施設に入居させるお金がない場合の対処法は?施設の種類や費用も解説

家族の認知症が進行して介護がたいへんになった場合、施設への入居を検討したいと考えるのが一般的でしょう。しかし「お金がない」と費用面の心配から躊躇する方はとても多いです。また認知症の方が入居できる施設にはどのようなものがあるのか、施設によって費用の差はあるのかなど、わからないことも多いでしょう。

そこで本記事では、認知症の家族を施設入居させたいけれどお金がない場合の対処法について、また認知症の方が入居できる施設の種類や費用についても解説します。

施設入居を検討したい方、また今後に備えて施設や費用などを知りたい方はぜひ参考にしてください。

目次

認知症の方が入居できる施設は?

施設への入居を検討するためには、実際に費用がどのくらいかかるのか、また入居できる施設にはどのようなものがあるのかを把握することが大切です。

認知症の方が入居できる施設は以下のような施設があります。

  • 特別養護老人ホーム
  • 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅
  • グループホーム

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは公的な施設のため、有料老人ホームなどと比較すると費用を安くおさえることができます。しかし申し込んでもすぐに入居できることはほとんどなく、たいていは順番を待つことになります。順番待ちは申し込み順ではなく、介護度や病気などの身体の状態、またその人の状況(介護する人がいるか、いないかなど)が点数化され優先順位が決まります。

[入居条件]65歳以上、要介護3以上(例外あり)

[初期費用]不要

[月々の利用料]10~16万円前後(介護度や個室か相部屋かなどで差がある)

有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅

民間の企業が運営する施設で、施設により特色や受けられるサービス、費用が大きく異なります。元気で自立している方向けの施設から、24時間介護が必要な方でも入居できる施設など、さまざまあります。有料老人ホームもサービス付き高齢者向け住宅も、空室があればすぐに入居可能です。

[入居条件]施設により異なる

[初期費用]0円~数十万円、施設によっては数千万円から数億円かかる施設もあり

[月々の利用料]15万円~30万円前後

グループホーム

グループホームは、認知症の方のための小規模な施設です。9名を1ユニットとして共同生活を送り、料理や掃除などの家事も協力して行います。役割をもって生活をすることで、認知症の進行を遅らせたり和らげたりする効果が期待できます。

[入居条件]要支援2以上、施設がある市区町村に住民票がある

[初期費用]10万円~20万円程度、施設により差がある

[月々の利用料]15万円前後

施設に入居するお金がない場合の対処法

施設に入居するお金がない場合、また入居後の費用が心配な場合の対処法としては以下のようなものがあります。

  1. 予算に合う施設を探す
  2. 軽減制度を利用する
  3. 生活保護を受給する

1.予算に合う施設を探す

家族が金銭面で余裕がある場合以外は、基本的には入居する本人の年金と貯蓄内で費用をまかなえることが理想です。本人の年金や資産を把握し、月々いくら支払えるのか、その月々の支払いを何年間続けられるのかをしっかり計算しましょう。

民間の老人ホーム紹介会社を利用すると、条件に合う施設を探してくれたり、いろいろと相談にのってもらえたりします。地方のほうが費用が安い傾向にありますが、家族だけで地方の施設まで探すのはたいへんなため、紹介会社を利用するのもひとつの方法です。なお紹介会社を利用しても費用はかかりません。

2.軽減制度を利用する

収入や資産に応じて、負担が軽減される制度があります。制度を利用することで月々の支払い額をおさえられたり、自己負担額が払い戻されたりします。

特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費は、特別養護老人ホームなどの公的施設での住居費や食費が上限額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。住居費や食費は介護保険の対象外で実費負担のため、収入によっては重い負担となります。上限額は年金などの収入や資産により異なるため、収入や預貯金額、資産を証明する書類とともに市役所へ申請すると「負担限度額認定証」が交付され、上限額が決定します。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、介護保険サービスのひと月の自己負担額が上限額を超えると、超えた分が払い戻される制度です。上限額は年金などの収入によって決定します。

上限額を超えた場合、市区町村から申請書が届きます。届いた申請用紙と必要書類を提出すると「支給決定通知書」が届き、申請した口座へ上限額を超えた分が払い戻されます。申請の手続きは一度行えば、その後は不要です。

高額医療・高額介護合算制度

高額医療・高額介護合算制度は、医療保険と介護保険の両方を利用している世帯が、一年間に支払ったそれぞれの自己負担額の合計が上限額を超えると、超えた分が払い戻される制度です。上限額は、高額介護サービス費と同じように年金などの収入によって決定します。

高額介護サービス費と似ていますが、高額医療・高額介護合算制度はひと月ごとではなく一年ごとであること、また介護保険と医療保健の自己負担額の合算であることが違いです。

上限額を超える世帯に申請書が届きますが、市区町村により異なるため、お住まいの役所に確認が必要です。

参考)サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 (厚生労働省)

3.生活保護を受給する

施設に入居するための費用も含めて、先々の生活が困窮する可能性が高い場合は、最終的には生活保護の受給を検討しましょう。

生活保護を受給するためには条件があり、また受給後はさまざまな制約が発生します。

しかし生活保護を受給すれば最低限度の生活は保障されますし、生活保護費の範囲内で入居できる施設を探すこともできるため、制約があっても生活の不安は解消されます。

幸せに暮らせる方法を考えよう

本記事では、認知症の家族を施設入居させたいけれどお金がない場合の対処法について、また認知症の方が入所できる施設の種類や費用について解説しました。

家族を施設に入居させることに負い目を感じる方は多いです。また費用の心配から、そもそも施設入居を検討しない方も多いです。

しかし在宅介護を続けていくには、住環境や家族の状況などさまざまな条件が整わなければ難しく、限界があります。家族とともに自宅で暮らせるのは幸せなことですが、家族の介護負担が重かったり適切なケアが受けられなかったりしては、ゆくゆくは限界が訪れるでしょう。施設で24時間見守りがあり、介護のプロのケアが受けられた方が、クライアントも家族も安心して暮らせる場合も多々あります。

予算に合う施設を探したり、負担が軽くなるように制度を利用したり、お金がない場合でもさまざまな選択肢を検討してみましょう。そして在宅介護だけではなく施設入居も検討して、クライアントも家族も幸せに暮らせる方法を考えていきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

目次