―アテンダントからスタートして、今はコーディネーター、そしてこの春から管理者になり、関わり方や見えてくるものも変わってきてるのかなと思います。今はどんなところにやりがいや嬉しさを感じられてますか?
そうですね。
アテンダントの時は対クライアントの関わりだったのが、コーディネーターや管理者になってからは、「対クライアントはもうアテンダントのみなさんに任せて、自分たちは対アテンダントでやらんといかん」って思うようになりました。
クライアントはアテンダントが守る。
だからコーディネーターや管理者がアテンダントを守らないといけん、と。
アテンダントの時は、現場で勤務を交代する時とか、同行研修の時ぐらいしか他のスタッフと会う機会がなかったんです。
でも今は、コーディネーターとして、積極的に自分から現場に行って、クライアントと話したり、アテンダントともコミュニケーションを取るよう心がけてますね。
その中で、アテンダントが抱えるそれぞれの思いや支援現場の課題も知りました。
それをどうにか解消していかないと、と思います。
一方で、お給料をもらって働いている以上は、“介護のプロ”としてアテンダントに求めなければならないこともあります。
その折り合いをどうつけるのか――もちろん、それぞれの思いや希望は叶えてはあげたいんです。
でも限られている選択の中で、現場やアテンダントごとに支援や待遇の差が出てしまうのはいけない。
平等性を保ちながら、それぞれの希望は叶えてあげたい――いつもそこで悩んでますね。
限られた情報から何を読み取ってどれだけの配慮をする必要があるのか。そこを考えるのが難しいな、って思います。
―成田さんが書かれたコラムの中に「単に何かを“やってあげる”のではなく、クライアントの意思を尊重し、その人が「どうしたいのか」「どう生きたいのか」を、心に寄り添い共に考えることが重度訪問介護の核心」という言葉があり、とても心に残りました。その感覚を体現したクライアントとのやり取りや支援の場面があったら伺いたいです。
そうですね――クライアントが「本当は◯◯したいけど、難しいよな」って思ってることっていっぱいあるんですよ。
「制度上、◯◯はアテンダントに頼んではいけない」っていうところも理解してくださってるところもあるので。
あるクライアントが、「父の墓参りに行きたい」と言ってくださったことがありました。「どうにかして行けんかな。
もうちょっとで命日さね」みたいな話をしてくださってーー制度上、支援として実現することの難しさもある中で、その方の思いに触れて「どう生きたいのか」「自分は何ができるのか」を考えるきっかけとして印象に残ってます。
実際には、お墓の環境面の事情もあって、クライアントが希望された形での実現は難しい部分もあったんですがーーでも、それが支援として実現できる・できないに関わらず、“人として”、心の部分で話をし合える関係性は大事にしたいですね。
出会えたことってやっぱり縁なので。
そうそう、野上さんはクライアントインタビューでインタビューをされた立野雄三さん(たちのゆうぞう/ホームケア土屋長崎クライアント)を覚えてますか?
クライアントインタビュー
立野雄三(たちのゆうぞう)さん(ホームケア土屋長崎)
https://homecare-tsuchiya.com/blog/client/13119/
―ええ、覚えてます。やり取りも含め、印象に残るインタビューでした。
私は立野さんの支援に今も入っているんですが、立野さんはボランティア活動をされていて、毎年、イベントをやっているんです。
そこで外部の方を呼んで講演をしてもらったり、話を聞いてもらう機会があって。
ちょうど、先日、イベントで立野さんが「何を話そうかな」ってなった時に、「支えられる側の話だけじゃなくて、支える側の話でもあった方が面白そうだな」って言ってくれて、「成田さん、登壇してくれない?」っていう相談があって、ふたりで話をしました。
立野さんは重訪の制度がまだない頃、障害当事者のところにボランティアに行っていたんです。
だから立野さん自身も支援する立場に立っていた経験があるんですね。
立野さんは、「ヘルパーの研修等で『介助する側は介助される側のことを考えて介助しないといけないよ』っていうことをよく言うけれど、『介助される側も介助する側のことをちゃんと考えないといけないよね』」という考えを持っていて。
介護は――特に重訪は――固定された関係を超えて、対話を重ねながら関わっていかないといけないんじゃないか。
講演ではふたりでそんな話をしました。
だからこそ、クライアントから「難しい」とか「できない」っていう声を聞いた時に、「それは制度上、難しいです」とか「自分はできないです」って言うんじゃなくて、「どうしたらできるかな」を一緒に考えるんです。
「どうしたらいいだろう」って同じ目線に立って考えることで――もしそれが結果としてできなかったとしても――考える過程や時間をともに過ごしたことで、お互いに納得や満足ができるんじゃないかな、とは感じます。
そういったところは意識して関わってましたね。
そのおかげで、(クライアントから)相談やご依頼をいただけることもあったのかな、とも思いますし。
ただ、アテンダントみながそういった要望に積極的に応えられるのかというと、そうではないので――今、管理者になって、自分の関わり方がクライアントにとっては「◯◯さんにはできたけど、△△さんはできない」といった問題も生み出してしまうので、安易にそういうことを引き受けちゃいけないのかな、とも感じてます。
クライアントにも理解していただきながら、でもそこの塩梅は本当に難しいですね。