褥瘡のケアの方法や処置が知りたい!在宅介護で気を付けたい褥瘡ケアのポイント。

主に高齢や麻痺などが原因で寝たきり状態のクライアントにとって、大きな問題となるのが褥瘡(じょくそう)です。

褥瘡は床ずれという言葉でも表現される通り、皮膚の特定の部分に対して自分の体重が圧力となってのしかかり続けることで生じる皮膚のトラブルです。

早期に適切な処置やケアを行うことで悪化を防ぐことができる褥瘡ですが、誤った認識に基いて対応してしまうと組織欠損が進行し、細菌感染による死因にもつながりかねません。

褥瘡の処置は、医療行為になりますので医師や看護師の分野となりますが、正しい褥瘡ケアの方法や、褥瘡の処置について理解することで、大切な家族を守るための在宅介護を行っていきましょう。

目次

褥瘡の症状

褥瘡は初期症状から深刻な悪化まで、症状が4段階に分類されています。

褥瘡がどの段階にあるかによって必要な処置やケアの方法が違ってきますので、まずは褥瘡のレベルをしっかりと確認しておきましょう。

ステージⅠ

褥瘡の初期症状は、皮膚に圧迫しても消えない赤みである発赤や、内出血などがみられる状態です。

皮膚のめくれや出血などの症状がないことから見落としがちな症状ではありますが、皮膚の赤くなった部分を指で押してみて、そこが白くならずに赤いままであれば褥瘡の初期段階である可能性が非常に高いです。

ステージⅠに対するケアの方法

褥瘡の初期症状とみられる発赤や内出血が確認された場合は、褥瘡の処置は普段の寝姿勢や日中の姿勢のなかで、褥瘡部分に体重がかかっていないかどうかを確認しましょう。

クッションや毛布などで圧力のかかる位置を調整してあげると、現状以上の褥瘡の悪化を防ぐことができる可能性がありますので、クライアントの健康状態や麻痺の状況にあわせてサポートしてみると良いでしょう。

また発赤や内出血部分は清潔に保つことを意識して、毎日洗浄もしくは清拭を行うよう心がけてください。

保湿剤を塗るケアや、これ以上の皮膚ダメージを避けるための医療用保護フィルムを貼るケア等もオススメです。

ステージⅡ

ステージⅡは、皮膚の表面に組織欠損が及ぶことによって、水ぶくれや皮膚のただれが生じたり、一部の皮膚がはがれてしまっているような状態です。

赤やピンク色のくぼんだ潰瘍のようになっていたり、水泡の出現やジュクジュクした患部など、見た目にも痛々しい段階といえます。

ステージⅡに対するケアの方法

水泡や水ぶくれにはなるべく触らず、皮膚潰瘍部分やただれのような部分に関しては消毒と洗浄を行いましょう。

肉芽形成を促進する外用薬の塗布を行ったうえで、なるべく早く皮膚組織が回復するようにシリコンガーゼやポリウレタンフィルムで患部を保護しましょう。

ステージⅢ

ステージⅢの段階になると、組織の欠陥が皮下組織にまで及んでしまっています。

骨や筋肉が露出するほどは皮膚潰瘍が進行していないものの、患部からの膿や液のにじみなど、衛生的にもかなり気になる段階にまで症状が進行していることになります。

ステージⅢに対するケアの方法

基本的にはステージⅡの褥瘡に対する処置と同様の処置が必要となってきます。

皮膚潰瘍の進行度合によっては皮膚切開術を行ったり、皮弁による創閉鎖術を行ったりと、外科的な処置が必要になってくることもあります。

なるべく早く医師や看護師に相談し、処置を行いましょう。

ステージⅣ

組織欠陥が肌、皮下組織に続いて筋肉や骨、腱が見える状態にまで達してしまっている状態です。

傷口が大きく広がり、壊死した組織から腐食がはじまることで、悪臭が発生したりします。

また細菌感染のリスクも高い状態ですので、かなりの危機感をもって行動することが求められる段階です。

ステージⅣに対するケアの方法

基本的にはステージⅢと同様の処置を行いながら、必要に応じて腐骨した部分の切除を行います。

ステージⅢ・ステージⅣの外科的処置はどちらも出血や痛みを最小限に抑えながら、基本的には在宅で行われることが多くなっています。

術後には抗生剤や外用薬の塗布などで、患部の治癒をサポートしていきます。

褥瘡に対する処置

褥瘡は一度出現すると再発を繰り返す症状です。

そのため在宅介護の場合は主にご家族が毎日褥瘡に対する処置を行い、患部の改善をサポートしていく必要があります。

褥瘡の処置に必要なもの

褥瘡の処置をする上では、以下のようなものを準備する必要があります。

  • 外用薬
  • 使い捨て手袋
  • 処置用のシーツ
  • 人肌の温度のお湯を入れたペットボトルと霧吹き
  • ボディソープ
  • ガーゼ
  • 医療用テープ
  • ティッシュペーパー
  • タオル

褥瘡の処置の手順

褥瘡の処置は、以下のような手順で医師や看護師が進めるのが一般的です。

処置①体位変換

褥瘡の患部が見えて、両手で処置ができるような位置にクライアントの体位を変換しましょう。

必要に応じてクッションを使って体位を調整したり、おむつや尿取りパットを用いてベッドが汚れないように準備を行います。

患部の下には処置用のシーツを引くことを忘れないようにしましょう。

処置②患部の洗浄

褥瘡から細菌が体内に侵入しないよう、処置は必ず使い捨て手袋を装着して行いましょう。

患部を覆っている医療用テープやガーゼを慎重に剥がします。

この時にテープやガーゼが傷に癒着しているようであれば、お湯をかけながらゆっくりと剥がしていく必要があります。

テープやガーゼが剥がれたら、患部をお湯とボディーソープを使って優しく洗浄します。

処置③外用薬の塗布

患部の水分をタオルでやさしく吸い取った後は、医師の処方に基づく外用薬を塗布します。

指示された用法や回数を守って塗布することにより、スムーズな治癒へとつながります。

外用薬の塗布後は、ガーゼや医療用テープを用いて患部を保護します。

処置④体位変換

処置が終わったら、患部に負担がかからないような体位へと変換します。

褥瘡部分になるべく体重がかからないように、クッションなどを用いることも大切です。

褥瘡に対するケアの方法や処置を正しく理解して、褥瘡悪化のリスクを軽減しよう。

褥瘡は毎日のケアや処置によって、悪化を防ぐことができる皮膚の疾患です。

そのためなるべく早い段階で褥瘡の出現に気づき、適切なケアの方法に基いた処置を行うことが重要になってきます。

特に在宅介護の場合はご家族がその役割を担いますので、私たち介護士は毎日の介護の中で皮膚をこまめに観察し、褥瘡が発見された場合は圧迫部分を開放し、褥瘡を予防するケアを行っていきましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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