認知症の介護は介護うつになりやすい?症状と要因、治療法も紹介

認知症のご家族の介護をしていると、気分が落ち込むことがあり「介護うつになっているんじゃないか」と悩むことがあります。

この記事では「認知症の介護は介護うつになりやすいのか」という疑問について解説しながら、介護うつの症状と要因、治療法についても紹介します。

併せて介護うつを予防・軽減する方法も紹介しているので、介護によるストレスで悩んでいる人は参考にしてください。

目次

認知症の介護は介護うつになりやすい?

介護うつは、介護に関わるさまざまな要因が絡み合うことで発症します。

認知症の介護をする人が介護うつになるとは一概にはいえませんが、認知症は意思疎通が図りづらかったり、必要とする介護が増えたりするため、ストレスを感じやすいでしょう。

ストレスが蓄積され脳内に変化が起きると、介護うつを発症するのです。

介護うつの症状

介護うつには以下の症状があります。

  • 眠れない、または過剰に眠りすぎる
  • 気分が落ち込みやすい
  • 周囲の物事に無関心になる
  • 疲れやだるさがとれない
  • 食欲がわかない、または食べ過ぎる
  • 周囲への罪悪感がある
  • 集中力がない
  • 動きが遅くなる、または落ち着かない
  • 死にたいと思う

誰でもストレスを抱えると上記の症状が表れることがありますが、症状が改善せず長く続く場合は介護うつかもしれません。

心当たりがある方は、早めに心療内科や精神科といった専門の医療機関を受診することをおすすめします。

医療機関を受診することで治療ができ、介護うつによる辛い気持ちが少しでも軽減するでしょう。

介護うつになる5つの要因

介護うつは介護に関わるさまざまな要因が絡み合うことで発症します。

介護うつになる5つの要因を紹介します。

1.精神的ストレス

認知症の症状には、もの忘れにより何度も同じことを聞くことや、怒りっぽくなり暴力をふるうこと、徘徊などがあります。

繰り返し対応していると、精神的ストレスを抱えやすくなります。

また周囲の人間関係にも気を遣うことにより、ストレスを抱えることがあるでしょう。

2.身体的ストレス

認知症の方は自分でできることが減っていき、着替えやトイレの動作介助、食事介助など身体的な介護が必要になります。

ベッドで寝たきりの場合は、おむつ交換や体位交換が必要です。

介護が増えるにつれて身体的なストレスも増え、その結果腰や膝を痛めてしまうケースがあります。

3.経済的な問題

介護により勤めていた会社を離職した場合、貯金や年金で生活費をまかなうので、経済的な問題が生じます。

また介護用品は費用がかかり、介護サービスを受けるのも費用がかかります。

4.孤立を感じる

介護をする時間が長くなると、周囲との関わりが減り孤立を感じるようになります。

孤立を感じると気分も落ち込みやすくなるため、介護うつになりやすいです。

5.燃え尽き症候群

介護を頑張りすぎると突然やる気を失い、燃え尽き症候群が引き金となって介護うつとなることがあります。

また介護をしている方が亡くなることでも発症するケースがあります。

介護うつの治療方法

介護うつを治療するには、休息することと医療機関を受診する2つの方法があります。

それぞれ詳しく紹介します。

休息する

介護うつは介護によって心身が休息できないことにより発症するため、まずは休息することが大切です。

介護は休息がないと思われるかもしれませんが、介護保険サービスを利用すれば介護から少し離れて休息ができます。

介護保険サービスは日中通って利用するサービスや、自宅に訪問してもらって介護をしてもらえるサービスもあります。

介護保険サービスを調整するケアマネジャーなどの担当者がすでにいる場合は、一度相談しましょう。

介護保険サービスを利用しておらず担当者がいない場合は、お住まいの地域包括センターに相談しましょう。

介護サービスは悪いことではない

責任感が強い人は介護保険サービスの利用に抵抗があるかもしれませんが、サービスを利用することは決して悪いことではありません。

介護をする人の疲労を軽減する目的で介護保険サービスは利用可能であり、サービスを利用することで自身の体調を整えられます。

医療機関を受診する

医療機関を受診すると、医師や看護師、心理士などの専門家に話を聞いてもらえます。

また薬剤による治療や認知行動療法をすることで、症状が改善します。

薬剤による治療は抗うつ薬の処方、眠れない場合は睡眠剤の処方など、症状にあわせて医師が処方します。

認知行動療法は専門家と対話し、ストレスにより狭くなった思考や行動を自分の力で解きほぐし、自由に考えたり行動したりするのをサポートする心理療法です。

現在は精神分野の治療だけでなく、スポーツや教育、ビジネスでも取り入れられてます。

介護うつを予防・軽減する方法

介護うつを予防する、または介護うつを軽減するには以下の方法が有効的です。

誰かに相談する・頼る

介護うつは介護者が介護の悩みを抱え込み、1人ですべての介護をすることにより起きやすいです。

誰かに悩みを打ち明けるだけで心が軽くなるので、まずは相談しましょう。

担当のケアマネジャーに相談しても良いですし、ご家族やご友人など打ち明けられる人に話しても良いです。

またお住まいの地域によっては認知症カフェが開催されていることがあります。

認知症カフェとは、医療法人や社会福祉法人が主催でお茶やお菓子を提供するサロンのようなものです。

認知症の方やその家族、地元の人が交流できるカフェで、当事者と家族の孤立を防ぎ情報交換をする役割を持っています。

頑張りすぎない

介護うつになりやすい人の特徴として、完璧主義や真面目な人、責任感が強い人が当てはまります。

介護は病気を抱える人との関わりのため、すべて完璧にできるわけではありません。

しかし完璧主義な人や真面目な人は、些細な失敗も起こさないよう完璧にしようと考えます。

また責任感が強いと、自分の体調が悪くても無理して介護をすることがあるでしょう。

介護が上手くできない日があっても「これくらいで良い」と自分を許せるようになると、頑張りすぎることなく心が楽になります。

比較しない

他人と自分を比較しがちな人は、上手くいかないと思い悩んだり、自分はダメなんだと思い込んだりします。

家族構成や生活環境は一人ひとり異なり、違いがあるのは当たり前です。

また認知症の症状も人それぞれで、介護者の介護の様子や心身の負担も違います。

比較するとキリがなく悪い方向へどんどん考えることになるので、比較せず自分は自分、他人は他人と割り切ることが大切です。

睡眠時間をつくる

心の病気の症状は、まずは不眠から起きやすいです。

不眠が続くと正常な思考が保てなくなったり、疲れがたまって活気がでなくなったりします。

夜眠ることで心身が休息できその日の疲れが取れるので、睡眠時間を確保することは大切です。

夜間の介護で眠れない場合は、一時的に認知症の方が何日か過ごせるショートステイが利用できることがあります。

介護サービスの担当者へ相談、または担当者がいない場合は地域包括センターへ問い合わせてみましょう。

認知症の介護は自分の健康を保つことが大切

介護うつは、介護をする方なら誰でも起こりうる病気です。

この記事で紹介した症状に心当たりがある場合は、一度医療機関へ受診しましょう。

なぜ自分が辛い症状に悩まされているのか分かり、専門家に話を聞いてもらえたり、適切な治療をしてもらえたりします。

また介護保険サービスを活用しながら休息を取り入れ、誰かに相談したり頼ったりすることも大切です。

介護は介護をする人が健康でないとできないため、自分の心身を気遣っていきましょう。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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