在宅介護で不安な「家族の負担」。その実態と、解決策をご紹介します。

在宅介護は、要介護と認定されたクライアントが老人ホームなどに代表される入居型の介護施設を利用することなく、心から安らぐことのできる自宅での生活を継続するために必要な介護です。

基本的に在宅介護は、クライアントと同居する家族や、訪問型サービスを提供するアテンダントによって提供されます。

特に介護のプロではない家族が在宅介護を行うなかで懸念されるのが、在宅介護の負担の大きさです。

そこで今回の記事では、在宅介護のなかで気を付けたい家族の負担について、よくご相談をいただく内容や解決策を中心に解説してまいります。

家族の在宅介護でクライアントを支えていきたいと考えている方はもちろん、アテンダントとして家族からの相談を受ける立場にある方にも参考となる内容になっていますので、どうぞ最後までごらんください。

目次

在宅介護で家族の負担が生じる理由

人間は年齢を重ねたり、認知症や脳卒中などの病気を発症すると、心身機能や筋力、認知機能の低下に伴って介護が必要となるリスクが生じます。

特に代表的な症状としては、物忘れに伴う諸症状の出現や自力での入浴・排泄などの動作が難しくなる、歩行困難や寝たきりなどが挙げられますが、必要になる介護は人それぞれです。

介護を必要としている状態にあると認定されたとき、クライアント本人もしくは家族が「住み慣れた自宅での生活を続けたい」「最期まで自宅で、家族揃って過ごしたい」と考えている場合は、在宅介護がはじまります。

介護保険制度では一人ひとりのクライアントが受給できる介護サービスの量は要介護度によって規定がある上に、現在の日本では慢性的な介護人材の不足が続いている状態です。

介護保険の上限もしくはアテンダント・事業所の不足によって十分な介護保険サービスを利用することができずにいると、在宅介護を担う家族の負担はますます増加します。

在宅介護で生じる家族の負担の具体例

在宅介護を担う家族の負担には、どのようなものがあるのでしょうか。

具体例を確認していきましょう。

在宅介護で生じる家族の負担①肉体的・精神的な疲労

まずもっとも多くの声が寄せられるのが、睡眠時間や自由時間の不足です。

クライアントは24時間365日、いついかなる時も介護を必要としています。

そのため在宅介護を担当する家族は、睡眠時間や自身の自由時間を犠牲として介護にあたる必要があり、徐々に肉体的にも精神的にも疲労が蓄積していきます。

特に介護においては「先が見えない」「徐々に介護度が進行する傾向にある」という特徴から、終わりの見えない在宅介護と徐々に増す介護の負担から、辛いと感じるご家族はおおいです。

在宅介護で生じる家族の負担②介護離職

クライアントが介護を必要とする時間が増すにつれて生じる家族の負担が、介護離職です。

介護離職は以下のようなケースで生じることが多くなっています。

  • 十分な介護サービスを利用することができず、家族が家を空けることができない
  • 夜間の介護を担当することで、介護者の昼夜が逆転してしまっている
  • 介護と仕事、そして家庭を両立するだけの時間的余裕がなくなる

介護度の進行や諸症状の悪化により在宅介護の必要量が増すにつれて、家族の負担は時間的な観点からもとても大きなものになります。

特に在宅介護を担当する家族がクライアントから見た子ども世代である場合は、まさに家族が働き世代であることもあいまって、社会的にも働き手の不足という大きな不利益を被ります。

また在宅介護が終わった時には家族自身が50代や60代に突入しており、再就職先が見つからないというデメリットも懸念されています。

在宅介護で生じる家族の負担③経済的な負担

介護サービスを利用する料金は、介護保険制度によって自己負担は1割〜3割となっています。

ただし必要量を超えて利用したサービスに関しては全額自己負担となるほか、介護度の進行によってはおむつなどの消耗品の購入頻度が高まったり、食事もとろみ食やミキサー食のように介護食を購入もしくは調理する必要が生じたりと、介護保険制度を超えた出費が増加する傾向にあります。

クライアントの状態によっては自宅をバリアフリー化するためのリフォームや、通院に必要な介護タクシーの利用など、想定外の出費が生じる可能性もあり、在宅介護を頑張る家族の負担になりかねません。

在宅介護を担う家族の負担を軽減するために

在宅で介護を行う家族の負担は多方面にわたってとても大きく、気力や体力を奪われてしまう人が多いです。

在宅介護で家族の負担にお悩みの方は、以下の解決法を試してみるとよいでしょう。

在宅介護で家族の負担を軽減する方法①ケアマネージャーへの相談

在宅介護に限らず、介護生活の強い味方となってくれるのが、ケアマネージャーの存在です。

ケアマネージャーは担当のクライアントや家族からの相談を受け、介護事業所や医療機関、公的サービスとの橋渡しをしてくれます。

「現状の介護量では、家族の負担が大きすぎる」「介護度の再認定も踏まえて、今後の介護方針を再考したい」という場合は、まずケアマネージャーに相談するとよいでしょう 。

在宅介護で家族の負担を軽減する方法②レスパイトケアの検討

レスパイトケアは、在宅介護を担当する家族の一時的な休息を目的とした、通所もしくは短期入居型で提供される介護サービスです。

クライアントが、通所型の場合は半日から1日程度、短期入居型の場合は数日間から30日間程度にわたって自宅を離れることにより、家族がリフレッシュや休息の時間を設けたり、私用のために時間を使ったりすることが可能になります。

在宅介護のなかで家族の負担が大きくなってきたと感じたら、レスパイトケアを検討してみましょう。

在宅介護で生じる家族の負担を、地域全体で支える社会へ

在宅介護で生じやすい家族の負担について、具体例と解決案をご紹介いたしました。

大切な家族と最期の時まで一緒に過ごしたいという願いは誰しもが抱くものではありますが、 肉体的・精神的に疲労が蓄積しやすい在宅介護は、長期化することによって家族の心身を蝕むことも珍しくありません。

在宅介護を支える家族の負担が軽減され、誰もが自分らしく過ごすことのできる社会を目指して、株式会社土屋グループは様々な介護サービス提供体制の拡充を今後も続けてまいります。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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