認知症の介護拒否はどうしたらよい?介護拒否に悩まれているご家族へ

認知症の方の介護をしているご家族は、介護拒否に悩むことがあります。

介護をしている立場としては、認知症の方のことを考えて介護をしているのに、自分を否定されたような気持ちになって辛いと感じるでしょう。

この記事では、なぜ認知症の方は介護拒否をするのかを解説しながら、介護拒否をされた時の対応方法についても紹介します。

介護拒否でお悩みのご家族の参考になる内容となっていますので、ぜひ読み進めてください。

目次

なぜ認知症の方は介護拒否をするのか

なぜ認知症の方は介護拒否をするのか、その理由は5つあります。

  1. 必要性がわからない
  2. 自尊心が傷つく
  3. 自分の思い通りにいかずもどかしい
  4. 新たな環境を受け入れるのに時間がかかる
  5. 体調・気分を正確に伝えられない

それぞれ詳しく紹介します。

1.必要性がわからない

認知症の方は認知機能が低下しているので「なぜ介護をされるのか」という必要性がわからないことがあります。

例えば衣類が汚れた時に着替えを提案しても、認知症の方は「なぜ着替えないといけない?」と疑問に思います。

そこで無理に着替えをしてしまうと「無理やり脱がされた」と強く感じてしまい、着替えに強い拒否を覚えるようになるのです。

また認知症の方の耳が遠かったり、言葉の理解ができなかったりすると、必要性の理解がなかなかできません。

2.自尊心が傷つく

認知症の方は今まで自分で行えた日常生活ができなくなっていくため、ご家族の手を借りないと生活が送れない現状に自尊心が傷つくことがあります。

またご家族に介護をしてもらうことによる悲しさや情けなさ、申し訳なさも感じているかもしれません。

3.自分の思い通りにいかずもどかしい

認知症の方は、自立していた時は自分のペースで日常生活を送れましたが、介護をされるようになると介護側のペースで生活を送るようになることが多いです。

着替えたい時に着替えられなかったり、トイレに行きたい時に行けなかったりすることもあります。

しかしご家族の介護の負担を考えて「今すぐしてほしい」という欲求を抑えることもあるでしょう。

そういったストレスが溜まると、自分の思い通りに行かない現状にもどかしさを感じ、介護拒否につながるケースがあるのです。

4.新たな環境を受け入れるのに時間がかかる

認知症の方は新たな環境を受け入れることが不得意なため、環境に馴染むまでに時間がかかります。

例えばデイサービスなど新たな介護サービスを導入すると、始めは拒否することもあるでしょう。

何度もデイサービスに通っていくうちに慣れていき「悪いことをされる場所じゃない」「居心地が良い」と思ってもらえるようになります。

5.体調・気分を正確に伝えられない

認知症の方は自分の体調や気分を正確に伝えることが苦手なため、今は介護をしてほしくないという気持ちから介護拒否に至るケースがあります。

なぜ介護をしてほしくないのか理由を伝えられたら良いのですが、認知症の方は「頭が痛いから」「気分が悪いから」という不快な症状を伝えることが難しいケースがあるため、介護をする側はなぜ介護拒否されたのかわからず戸惑ってしまうのです。

介護拒否の対応方法

介護拒否をされる理由を紹介しましたが、介護をする側の関わり方によっては、介護を受け入れてもらえます。

認知症の方に介護拒否をされた時の対応方法は以下のとおりです。

  • 認知症の方の思いを聞く
  • 普段と違うことはないか観察する
  • ジェスチャーを取り入れて説明する
  • タイミングを考える
  • 介護のプロに力を借りる

それぞれ詳しく紹介します。

認知症の方の思いを聞く

介護拒否はさまざま要因が絡み合って介護拒否に至るケースが多いです。

まずは認知症の方の思いを聞くと、なぜ介護拒否をするのかわかるきっかけになるでしょう。

少しでも介護拒否をする理由がわかれば、ご家族はなぜ介護拒否されたのか納得でき、拒否をされた時に感じた辛い気持ちも軽減します。

認知症の方の思いを聞く時の姿勢は、同じ目線になって焦らせずゆっくり話を聞きましょう。

普段と違うことはないか観察する

認知症の方は新しい環境が苦手だったり、体調不良を伝えることが苦手だったりします。

最近新しく始めたことがあれば、そのことに意識が向いて心が落ち着かないかもしれないかもしれません。

心が落ち着くまで話を聞くことや、少し離れて後から介護の提案をしても良いでしょう。

また体調不良であれば、不快な部分を手でさすっているかもしれないです。

体調不調のようであれば、かかりつけ医や介護サービスの職員に相談しましょう。

タイミングを考える

同じ声掛けや介護の内容でも、タイミングによっては受け入れられたり、反対に拒否されたりすることがあります。

認知症の方の気持ちが落ち着いている時や気分が良さそうな時は、介護を受け入れてくれるケースが多いです。

介護をする時はタイミングを見計らって声をかけてみましょう。

ジェスチャーを取り入れて説明する

認知症の方は、介護の必要性が理解できない認知力の問題や、耳が遠いことによる機能的な問題により介護拒否をされることがあります。

介護の説明をする時に、言葉だけでなくジェスチャーを取り入れると理解しやすくなります。

例えば着替える時は着替える動作、食事の時は食べる動作を取り入れてみましょう。

またジェスチャーで上手く伝わらない時は、絵や画像を見せるのも効果的です。

介護のプロに力を借りる

介護拒否をされてなかなか介護ができない時は、介護のプロに力を借りるのもひとつの手段です。

介護サービスでは介護専門の職員が自宅に伺って介護をしたり、事業所に通って利用する介護サービスもあります。

ご家族だけですべての介護をすることにこだわると、ご家族が体調を崩してしまうかもしれません。

介護のプロに任せられるところはお願いして、ご家族が休息を取り入れることも大切です。

介護サービスはお住まいの地域包括センターが最初の相談窓口の役割を担っていますので、まずは相談してみましょう。

認知症の介護拒否はよくあること

認知症の方に介護を拒否されると辛い気持ちになることがありますが、介護拒否は珍しいことではありません。

「介護拒否をされることもある」と思って対応すると、幾分か気持ちが楽になるでしょう。

また介護拒否はさまざまな要因が絡み合って起こりますが、記事で紹介した要因がわかると認知症の方の新たな一面を知ることができます。

記事で紹介した介護拒否の対応方法を参考に、無理せず認知症の方の介護をしましょう。

また介護のプロに任せられることはお願いしながら、ご家族が休息できる環境を整えることも大切です。

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この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

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