在宅介護で要注意!褥瘡の見守り方と、訪問介護の活用方法を徹底解説。

体の特定の部分に対して圧力が加わり続けることによって生じる褥瘡(じょくそう)は、介護を行う上で必ず直面するといってもいいほどメジャーな皮膚疾患です。

特に寝たきりやおむつなどを常用しているクライアントによく見られる症状ではありますが、褥瘡が悪化すると細菌感染などを誘発し、最悪の場合は死因へとつながってしまう可能性があります。

そこで在宅介護を行う中では、褥瘡に対する正しい知識をもって介護にあたることと、プロの手である訪問介護を上手に活用することが大切になってきます。

今回の記事では、在宅介護を行う上で必ず知っておきたい褥瘡の基礎知識と、訪問介護のサポートについてご紹介していきます。

目次

褥瘡は、高齢者の命に直結する重大な皮膚疾患

褥瘡、いわゆる床ずれは、寝たきりやおむつなどの常用によって主にクライアント自身の体重が圧力となって生じる皮膚のトラブルです。

初期の段階では血流不全による赤みや内出血のような症状ですが、段階が進行すると水ぶくれや皮膚のただれ、膿、細菌感染などの重篤な症状へと発展します。

細菌感染の段階まで症状が進行してしまうと、免疫が弱く体力も十分でないクライアントの場合は、主な死因が褥瘡となりかねません。

そのため要介護と認定された方を在宅で介護する場合は、褥瘡に注意したケアが必須になってくるのです。

在宅介護で気を付けたい、褥瘡ケアのポイント

在宅で介護を行う際、まずは褥瘡の直接の原因となる体重のかかり方に注意をしましょう。

特に寝たきりの場合は、後頭部や腰、かかとのように常にベッドと接している部分から褥瘡が生じやすい傾向にあります。

見守りと介助を中心に、褥瘡のきっかけを作らせない在宅介護がカギになります。

体圧分散寝具の導入

特に寝たきりの時間が多いクライアントにとって、寝姿勢で特定の部位に体重がかかることは望ましくありません。

そのため近年では体圧を分散させることができる寝具として、二層式や三層式のエアマットレスが広く流通しています。

また低反発を利用した枕やクッションなど、皮下脂肪が失われた要介護クライアントの体を包み込むように支えることのできる商品が、介護用品として人気を集めています。

クライアント一人ひとりの寝姿勢や健康状態を鑑みて適切な体圧分散寝具を導入することで、褥瘡が生じにくい環境を整えていきましょう。

体位変換のサポート

褥瘡の悪化を未然に防ぐためには、物理的に患部への体重圧力を軽減する必要があります。

そのため寝具の見直しと同様に必要になってくるのが、定期的な体位変換のサポートです。

数時間おきに体の向きを変えてあげることは、特定の部分に体重が集中することができますので、褥瘡の予防として最適な方法といえます。

着替えや入浴時のチェック

褥瘡は、内出血や赤みのような初期症状の段階で発見することが悪化を防ぐための重要なポイントになってきます。

そのため着替えを介助する際は、入浴の補助を行う時にはクライアントの体をよく確認することが大切になってきます。

万が一、内出血や赤みのような褥瘡の初期症状を見つけた場合は、患部に負荷のかかりにくい体位への移動をサポートしたり、患部を保護するような手当てを行いましょう。

在宅介護での褥瘡ケアには、訪問介護の力が必要不可欠

在宅介護で気を付けたい褥瘡のケアは先述の通りですが、家族の力だけで褥瘡を未然に防ぐことは非常に困難です。

特に24時間体制での体位変換や、褥瘡の初期段階を見逃さずにケアすることは、介護を初めて経験するご家族の場合は負担が非常に大きくなります。

在宅介護での褥瘡ケアを行っていくなかでは、訪問介護を上手く活用し、介護のプロと一緒に褥瘡悪化のリスクを軽減していきましょう。

褥瘡ケアに対する訪問介護①体位変換

重労働になる体位変換は、褥瘡を防ぐために必要なケアではありますが、慣れるまではなかなか難しい介助です。

また褥瘡が悪化しないように注意する過程では24時間体制で体位変換を管理する必要がありますので、家族だけではなかなか介助が難しい部分があります。

要介護1以上のクライアントに対しては訪問介護の利用や定期巡回・随時訪問対応型介護看護の利用が可能になってきますので、必要に応じて介護保険サービスを利用して、プロの手で正しい体位変換をサポートしてもらいましょう。

褥瘡ケアに対する訪問介護②入浴介助

入浴は褥瘡に気付く重要なタイミングですが、家族で入浴の介助を行う時にクライアントの体をしっかりとチェックする余裕がないという方も多いかと思います。

またすでに褥瘡の症状が出現している場合は、入浴中のケアやその後の消毒が十分ではなく、褥瘡の状態を悪化させてしまうリスクもあります。

褥瘡が懸念されるクライアントの入浴介助に関しては、訪問入浴サービスを利用したり、訪問看護ステーションの担当看護師に内容を相談するなどして、正しい知識を持ったうえで行うことが大切です。

褥瘡ケアに対する訪問介護③栄養管理

褥瘡のリスクを回避するためには、クライアントの基礎疾患や健康状態に合わせた栄養管理が必要です。

低栄養や脱水を防ぎ、体内に必要な栄養を届けることで褥瘡のリスクを軽減させることができます。

必要に応じて訪問介護の食事介助や定期巡回・随時訪問対応型介護看護の調理支援などを利用し、栄養面でもしっかりとプロのサポートを受けると安心です。

在宅介護では褥瘡に細心の注意を。訪問介護をはじめとするプロのサポートも活用しよう。

褥瘡は高齢のクライアントによく見られる皮膚のトラブルです。

床ずれという表現からも分かる通り寝たきりのクライアントに生じやすい皮膚疾患ですが、悪化すると死につながる恐れもあり、非常に危険です。

要介護状態にあるクライアントや寝たきりのクライアントの場合、痛覚が麻痺していたり、痛みを言葉で表現することが困難であったりしますので、褥瘡の悪化に気付くためには家族やアテンダントの目視と、適切な在宅介護の提供が重要になってきます。

家族だけで見守りが難しい部分に関しては積極的に訪問介護などのサポートを活用し、褥瘡によるトラブルを極力防ぐ在宅介護を行っていきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

介護業界で働かれる方や、介護サービスを利用されている方、これから利用を考えている方などへ向けて、介護保険、障害福祉サービス、社会的背景などの制度情報や役に立つ情報を定期的に発信しています。

目次