夫婦のみで暮らす世帯や、共働きの世代が増加傾向にある現代において、食事の準備は負担の大きい家事の一つです。
献立を考えて買い出しに行く手間に加えて、特に食事の内容に配慮が必要な高齢者の場合は、味付けや具材の大きさの調整などに手間がかかってしまいます。
そのため近年急速に人気が高まっているのが、高齢者向け宅配弁当のサービスです。
塩分量や栄養素にこだわった宅配弁当や、介護度が進んだクライアント向けのとろみがついた宅配弁当など様々なものが発売されていますが、高齢者向け宅配弁当を購入する際はどのようなポイントに着目して選ぶとよいのでしょうか。
今回の記事では、高齢者向け宅配弁当を注文する前にチェックしておきたいポイントを3つご紹介していきます。
高齢者向け宅配弁当とは
高齢者向け宅配弁当は、自宅での生活を続ける高齢者や介護が必要なクライアントに対して、弁当スタイルの食事を提供するサービスです。
「筋力が低下し、長い距離を歩いたり重いものを持ったりする買い物が難しい」「認知機能が低下しているので、火や刃物を使って、安全に調理を行うことが難しい」「好きなものや味付けの濃いものばかり食べてしまい、栄養バランスに偏りが生じてしまっている」という悩みをもつクライアントやその家族から、需要が高まっています。
一口に高齢者向け宅配弁当といっても内容や料金は様々で、各社が趣向を凝らしたサービスを提供しています。
クライアントの状況に合わせて適切な宅配弁当を選ばないと、お金が無駄になってしまったり、介護度の進行を早めてしまう可能性がありますので、利用契約前にはしっかりと確認しておきましょう。
高齢者向け宅配弁当の選び方①調理タイプをチェック
高齢者向け宅配弁当は大きく分けて冷蔵タイプと冷凍タイプ、そして常温タイプがあります。
冷蔵タイプと冷凍タイプの場合は電子レンジの使用が必要になってきますので、電子レンジの操作が難しい独居のクライアントに対しては不向きなタイプになってきます。
認知機能の低下によって火を使った加熱調理はもちろん、電子レンジの操作性にも疑問が残る場合は、作りたてのお弁当をそのまま届けてくれる地域密着型の常温タイプがおすすめです。
冷凍と冷蔵の場合では、冷凍の商品の方が日持ちが長くなっており、使い勝手の良さが魅力的です。
ただし冷凍タイプの高齢者向け宅配弁当には白米が付属していないケースも多く、ご飯だけは別に準備する手間がかかることもあります。
また気が付くと冷凍庫がパンパンになってしまい、冷凍の高齢者向け宅配弁当はクライアント本人だけの力では管理しきれなかったという声も寄せられています。
反対に「お米を炊くだけなら、まだまだ自力で行うことが可能」「お米を炊くだけでも、調理をすることが生き甲斐」というクライアントの場合は、認知機能維持の観点からも冷凍タイプがおすすめです。
クライアント本人がどの程度調理器具を扱うことができるのかや、一度に届く宅配弁当の量を管理しきれるのかなどを考えて、候補のサービスを絞り込むと良いでしょう。
高齢者向け宅配弁当の選び方②具材の大きさ・味付けの内容を確認
年を重ねたり、認知機能が衰えてきたりすると、口腔機能が低下して食べ物を上手にかみ砕くことができなくなる・唾液の分泌量が減って、飲み込みに時間を要するなどの症状が表れる場合があります。
そのため高齢者向け宅配弁当を選ぶ際は、食材の形状がクライアントに適しているかをしっかりと見極める必要があります。
近年では通常食や刻み食だけでなく、とろみ食やムース食を提供する高齢者向け宅配弁当も増えてきています。
また食材の栄養と同時にチェックしておきたいポイントが、栄養素です。
特に糖尿病などによる食事制限があるクライアントには低糖質メニュー、高血圧に悩むクライアントには減塩食や低カロリー食などがおすすめとなっています。
栄養バランスに関しては「管理栄養士監修」や「専門医監修」を謳う商品も多く開発されており、持病がある方でも安心して宅配弁当を注文する仕組みが整っていますので、参考にしてみてくださいね。
高齢者向け宅配弁当の選び方③料金
高齢者向け宅配弁当を選ぶ上で最も大切なチェックポイントが、料金となっています。
食事は、生きるために毎日必要になる栄養です。
そのためクライアントが負担なく管理できること・安心できる食材の形状や味付けの内容であることはもちろん大切ですが、家計に負担なく継続することのできる料金であるかも重要なポイントになります。
なかでも注意したいのは、定期購入に関するルールです。
高齢者向け宅配弁当を実際に注文した方から相談の声として「1食あたりの料金が安いと思って選んだが、半年間解約ができなくて困った」「クール宅配便の送料が別であることに気が付かず契約してしまったので、定期購入の料金が思いがけず高くついてしまった」などの意見が寄せられています。
高齢者向け宅配弁当の契約や定期購入を始める際は必ず規約をしっかりと確認し、料金や契約期間に関して納得した上で購入するように注意してください。
高齢者向け宅配弁当は、お試しから始めてみよう
初めて高齢者向け宅配弁当を購入する際や、既存のサービスから契約を切り替えようと思っている際は、いきなり定期購入を始めるのではなく、お試しセットや単品購入から試してみましょう。
実際の商品を注文してみることによって「料金は許容範囲内だが、味が口に合わなかった」「電子レンジでの調理秒数が商品によって異なるので、クライアント本人には温めが難しかった」などといったイメージギャップを防ぐことができます。
特に遠方に住む両親に高齢者向け宅配弁当を頼む際などは、クライアント本人が「本当は違う宅配弁当が良い」と思っていても遠慮から言い出せず、お弁当のストックのみが増えてしまうというケースも確認されています。
食事は自由に出歩いたり頻繁に旅行に行くなどの娯楽が難しいクライアントにとって、1日3回の楽しい時間です。
高齢者向け宅配弁当を注文する際は、本人の意向と介護状態をしっかりと確認し、納得ができてから契約するようにご注意くださいね。