認知症の方の介護をしているご家族は「疲れた」と感じることはないでしょうか。
介護疲れは誰もが感じやすいことであり、心や体に大きな影響を及ぼすため、少しでも解消できるような方法を取り入れることが大切です。
この記事では、認知症の方への介護疲れを解説しながら、そのままにしておくと起こるリスク、介護疲れを軽減する方法を紹介しています。
介護疲れに悩まれているご家族の参考になりますので、ぜひ最後まで読み進めてください。
なぜ認知症の介護疲れを感じるのか
さまざまな要因が絡み合うことで、認知症の方への介護疲れを感じるようになります。
介護疲れを感じる要因を紹介します。
身体的な介護疲れ
認知症の方は徘徊することがあるため、どこに行くのか目が離せず付き添いますが、何度も徘徊に付き添うと疲れます。
そして日常生活に関わる動作ができなくなると、着替えやトイレなども手伝いが必要になるので、介護する際の負担がさらに増えます。
日々の介護による身体への負担によって、腰や膝、腕などを痛めることがあり、介護だけでなく自分の生活も大変になるでしょう。
精神的な介護疲れ
認知症の方に何度も同じことを聞かれたり、易怒的や悲観的になっている感情の揺れに対応したりしていると疲れてしまいます。
同居家族がいる場合、自分に介護負担が重くのしかかると「なぜ自分だけ」と思うこともあるでしょう。
また介護をしていることを周りに打ち明けることができず、一人で悩みを抱えることにより精神的に辛くなり孤立を感じてしまいます。
経済的な負担による介護疲れ
認知症の方に必要な着替えやすい衣類や紙おむつなど、介護にはお金がかかります。
公的サービスを使っている方の場合、自己負担割合は少ないといえど、たくさんのサービスを利用すると大きな金額になります。
そして介護のため離職に至った場合、収入がないため先のことを考えると不安を抱き、その不安は心身の不調をきたす要因となるでしょう。
介護疲れをそのままにしておくリスク
介護疲れをそのままにしておくと、介護をする方の介護うつ、認知症の方への虐待につながるリスクがあります。
それぞれ詳しく紹介します。
介護うつ
介護者は毎日の介護による心身の疲労、夜間の介護による睡眠不足により、疲れが蓄積されやすいです。
また外出の機会が減り、人と話す機会も少なくなり、気分が落ち込みやすくなってしまいます。
その結果、介護うつとなってしまい、今までどおり自分の生活をおくることが難しくなってしまうのです。
高齢者虐待
高齢者虐待は身体的暴力だけでなく、暴言や無視といった精神的虐待、世話をしない、必要なサービスを受けさせないことも虐待に含まれます。
高齢者虐待は虐待をする人、受ける人の自覚が乏しいのが特徴です。他人事とは思わないようにしましょう。
厚生労働省の調査によると、令和3年度の介護者による高齢者虐待の通報・相談件数は36,378件と平成18年度からの調査で最も多い件数でした。
令和3年度に介護者の虐待と判断された件数は、16,426件と横ばいで推移しています。
介護疲れが軽減できる方法
介護者をするご家族と認知症の方、双方の心と身体を守るには、介護疲れを軽減することが大切です。
介護疲れが軽減できる方法を紹介します。
誰かに悩みを打ち明ける
介護に関する悩みを一人で抱え込むと、どんどん気分が落ち込んでいきます。
自治体にある介護の相談窓口や地域包括センターでは、介護の専門家が話を聞き、アドバイスや必要に応じてサービスを提案してくれます。
担当のケアマネジャーがいる人は、そのケアマネジャーに相談しましょう。
ケアマネジャーとは介護サービスのプランを立案する人で、介護サービスを利用するときに必ず1人は担当につきます。
まだケアマネージャーがいない場合は、お住まいの地域包括センターへ相談しましょう。
主治医に相談する
主治医に相談すると認知症の対応方法のアドバイス、薬剤を調整するなど、医学的な面でのサポートを受けられます。
介護をするご家族は、認知症のどのような症状に困っているのか伝えましょう。
例えば「夜間徘徊して眠れない」「下痢が続いて着替えが大変」など、症状によっては薬剤で対応可能なケースもあります。
また認知症だけでなく、他の病気が伴って何かしらの症状が出現しているかもしれません。
認知症の方の身体の変化、気分の変化なども、受診の際に伝えましょう。
介護保険サービスを利用する
介護保険サービスを利用することで、介護から少しの時間でも離れられ、介護疲れが軽減し気分がリフレッシュできます。
デイサービスを利用すれば、日中は認知症の方がデイサービスで過ごすため、自由な時間が生まれます。
訪問介護を利用すればアテンダントが家に伺い、クライアントの入浴介助や食事介助など身の周りの世話をするため、ご家族の介護負担が軽減できます。
まだ介護保険サービスを受けていない方は、お住まいの地域包括センターへ相談しましょう。
すでに介護保険サービスを利用している方でも、認知症の進行や介護疲れの具合によっては、今までとは違うサービスを検討する必要があります。
担当のケアマネージャーに相談しましょう。
認知症カフェなど交流会に参加する
お住まいの地域によっては、認知症の方やご家族の交流の場を設けていることがあります。
交流の場のひとつである認知症カフェは、医療法人や社会福祉法人が主催でお茶やお菓子を提供し、参加者で交流するサロンのようなものです。
参加費は100円〜200円と参加しやすい価格です。
認知症の方やご家族、地域の人などが参加し、コミュニケーションをとることで、当事者とご家族の孤立を防いだり、情報交換をしたりできます。
認知症カフェはネットで告知していることが多く、ネットで「(お住まいの地域)認知症カフェ」と検索すると開催予定が表示されます。
介護スキルを向上させる
介護スキルを向上させることでも、介護疲れが軽減できます。
介護の資格である「介護職員初任者研修」は、介護の基礎的な知識とスキルが学べます。初任者研修は誰でも取得でき、介護現場で働く人だけでなく、介護をしているご家族も取得可能です。
実際に家族の介護をきっかけに初任者研修で学び、介護に役立てている方がいます。
認知症の知識やコミュニケーション方法、身体の負担が少ない介護方法が習得できます。
株式会社土屋のグループ会社である「土屋ケアカレッジ」は、介護の資格取得の専門スクールで、初任者研修の受講ができます。
興味のある方は、ぜひ土屋ケアカレッジのホームページをご覧ください。
認知症の介護疲れは誰もが感じやすいこと
認知症の介護疲れは、さまざまな要因が重なることで生じ、誰もが感じやすいことです。
介護疲れをそのままにしておくと自分の心身に不調をきたすことや、虐待で認知症の方を傷つける恐れもあるため、解消できる方法を取り入れることが大切です。
この記事で紹介した介護疲れの解消方法を取り入れ、自分の健康にも気を遣っていきましょう。