「痛感したのは、妻のワンオペの大変さ」
土屋の育休プロジェクトとは?
「ワークライフバランスの実現は、社会と個人の幸せにつながる」との思いのもと、2023年から始まったプロジェクト。
①社内外への宣言
②対象者は、男女共に育休を1か月以上取得
③社員への情報発信-を柱に取り組みます。
育休中は、国から給与の7割程度しか給付されません。収入面は、特に男性社員が育休を取るうえでハードルになっているのではないかと考え、土屋は育休1か月目の給与を100%補償する制度をスタートさせました。
今回は育休から復帰したばかりの大元克也さんにお話を聞いていきます。
大元克也さん プロフィール
28歳。パート勤務の妻、長男(4歳)、次男(3歳)、そして5月下旬に1歳になったばかりの長女の5人家族。
スポーツメーカーの販売、大工見習を経たあと、人と1対1で向き合うことができる介護職を希望し、2020年8月に土屋へ入社。広島県の福山事業所で勤務し、現在広島・山口のエリアマネージャー。
4月27日~5月26日の1か月間、育休を取得。休日の過ごし方は、もっぱら子どもたちと虫とりや公園遊び。
やんちゃな次男。トイレが水浸しに…
―育休中は、どのような1日を過ごしていましたか。
朝は子どもたちの朝食から始まって、食べ終えたら保育園へ送っていき、帰宅したら今度は娘の昼食準備。娘を昼寝から起こし、食べさせて、また寝かしつけて、15時ごろに息子たちを迎えにいき、お風呂に入れていました。ほぼ固定されたルーティーンワークでした。
家事の分担は、厳密に決めていません。妻が掃除や洗濯をしていたら、こちらは子どものことをやろう、といった感じでした。
―育休を取得して、夫婦関係に変化はありましたか。
改めて、ワンオペで3人育てる大変さがわかりました。特に次男はやんちゃで、以前はよく夫婦で叱っていました。でも育休に入ってから夫婦で話し合い、「どちらかが叱り、どちらかがフォローする形にしよう」と決めました。
その後、次男がトイレの洗面所にティッシュを詰め込んで、あたりを水浸しにしてしまって。
最初は「何してんの!」と反応してしまったんですが、気づいた妻がバーッと走ってきて「怒っちゃだめだよ」と声をかけてくれました。そこでいったん落ち着いて、次男に理由を聞いてみたら、「お池を作りたかった」って…(笑)
想像を超える出来事はたくさんありますが、子どもたちとの接し方について改めて夫婦で話し合えたのは、本当に良かったですね。モチベーションを共有したことで、心に少し余裕ができました。
隣県の社員、そして訪問看護師さんの協力が大きかった
―育休取得は今回が初めてとのことですが、今まで取得しなかった・できなかった理由は何でしょうか。
長男が生まれたときはお盆休みのタイミングだったので、5日ほど一緒に過ごせました。次男のときは出産に立ち会ったあと、そのまま仕事の現場へ戻りましたね。育休という概念は頭に無く、「とにかく働かなきゃ」と思っていました。
娘の時も、会社から説明があるまでは特に考えていませんでした。1か月も休んでしまったら、自分の管轄はどうなってしまうのだろうと思っていたからです。周りの方に任せられないということではなく、単にイメージができていませんでした。
もう一点気になっていたのが、僕ひとりで対応していた訪問介護の現場です。介助にコツが必要な利用者さんで、週4回、各1時間ほど訪問していました。「自分しかいないから休めない」「休んだら利用者さんやご家族に迷惑をかけてしまう」と考えていました。普段からひとりで対応していたのも良くなかったんだろうな、と思います。
―育休中は、どのように対応をしたのですか。
過去に利用者さんの対応をしたことがある職員さんと、隣県からの職員さんに駆けつけてもらいました。
あと、普段から入浴介助などで一緒に動いている訪問看護師さんにもご協力いただき、本当に助かりました。
―取得前と取得後で、働き方に変化はありましたか。
取得前は「あれもこれもやらなきゃ」という感じで、帰宅時間はバラバラ。21時を回ることもありました。でも今回育休を取ってみて、改めて「妻ひとりで子ども3人を見続けるのは無理だな」と強く感じたので、あらかじめ帰宅時間を決めて、逆算して仕事するようになりました。
―職場の反応は。
「大丈夫ですからね」と送り出してくれたおかげで、安心して1か月過ごせました。
実は育休を取った時期に、社内でさまざまな方針転換があり、皆さんには負担をかけてしまいました。変更点については、上長が共有してくれました。復帰してからは、各事業所のマネージャーさんに聞きながら対応しています。
―改めて、育休対象の男性へメッセージはありますか。
僕は育休が取れて、本当にありがたかったです。長男と次男が初めて歩いたところは見られませんでしたが、娘のときはずりばいからはいはい、そしてつかまり立ちができるようになるまで、一連の経過を見ることができました。
いくら仕事で活躍できても、そのために家族をないがしろにするのはちょっと違うな、と思います。
対象者の方には、トップダウンでも良いので、絶対に取得してほしいですね。