「休むうえで大事なのは、クライアントとの信頼関係」
土屋の育休プロジェクトとは?
「ワークライフバランスの実現は、社会と個人の幸せにつながる」との思いのもと、2023年から始まったプロジェクト。
- 社内外への宣言
- 対象者は、男女共に育休を1か月以上取得
- 社員への情報発信-を柱に取り組みます
育休中は、国から給与の7割程度しか給付されません。収入面は、特に男性社員が育休を取るうえでハードルになっているのではないかと考え、土屋は育休1か月目の給与を100%補償する制度をスタートさせました。
今回お話を聞いたのは、普段から育児や家事を積極的に担っているという長岡さん。大きな変化はなかったものの、小さな発見はあったようです。
長岡佑樹さん プロフィール
31歳。ストレッチのトレーナー、病院での看護補助を経て、2019年冬に土屋へ入社。
専業主婦の妻と4歳の息子、1歳の娘と4人暮らし。
スポーツ全般が得意で、特にサッカーなど球技はお手のもの。4月中旬から5月中旬まで育休を取得した。
相手がやってほしいことをくみ取る点は、支援と同じ
―育休中は、どのような1日を過ごしていましたか。
上の子に起こされ、だいたいその声で下の子が起きます。時間は7~8時、遅い日は9時ごろ。
一緒に朝ご飯を食べて、雨が降っていなければお散歩へ。買い物は家族みんなで行きました。
夕方に帰ってきて、晩ご飯を食べ、子どもをお風呂に入れます。その後も遊んで、寝る。予定のない日は、こんな感じでした。
―育休を取得して、夫婦関係などに変化はありましたか。
特になかったですね。そもそも「育休だから〇〇をする」という感覚がなくて。普段からやっていることをそのまま1か月間やっている、という感じでした。
妻には「助かった」と言われましたが、こちらは実感がなくて…ただ、「思い出が増えて良かったね」という話はしました。
もう一つ良かったのは、妻の日中の動きが見られたことです。このタイミングで洗濯しているんだなとか、この時間は(夜眠れなくなるため)あえて子どもを寝かさないんだな、とか。
―普段からしっかり家事・育児をしているから、育休に入っても大きな変化がなかったのですね。
家事・育児には積極的なほうだと思います。
相手がやってほしいことをくみ取るという点では、支援の仕事と同じです。家族が円満でいるためのポイントでもあると思います。
育休中は、妻が「せっかく休みなんだから、外でご飯でも食べてきなよ」と言ってくれることもあり、自分なりにストレス発散もできていましたね。
―育児について、夫婦でじっくり話す時間はありましたか。
息子は態度や動きで自己表現することが多いのに対して、娘はつたないながらも言葉で表すことが多いんです。
息子とは走り回って遊びますが、娘はおままごとや人形遊びが中心。妻には「女の子への接し方が下手だね」と言われました(笑)
そういう、夫婦間のちょっとした話題は増えたと思います。長時間一緒にいたので、「この家電を買おうか」といった相談もできました。
会社側からの働きかけがないと、育休は取りにくい
―コーディネーターは利用者さんと密接に接するポジションのため、休みがとりにくい側面もあります。育休前の引継ぎはどうでしたか。
スムーズでしたね。現在担当しているクライアントさんは4人。約3年のお付き合いの方もいます。スタッフさんもクライアントさんも、育休をすんなり受け入れてくれました。
あるクライアントさんは自分しか支援に入っていなかったため、休みの間はご家族にご対応いただきました。ヘルパーの方もカバーしてくれました。別のケースでは、他の事業所が助けてくれました。相談したところ、「1か月ぐらいだったら任せて」とおっしゃってくれたんです。
今回休んでみて思ったのは、クライアント、そして他事業所さんとの信頼関係がいかに大事か、ということでしたね。
―周囲の反応は。
職場の人たちからは直接の言葉はなかったものの、「今、育休取るの?」という雰囲気はありました。僕も「会社から取れと言われたので…」という感じで。
正直、クライアントさんの事情もありますし、僕も「必ずしも取らなくてもいい」という考えでした。
※補足:育休は本来、子どもが1歳になるまでの期間が対象です。長岡さんのお子さんは1歳を超えていましたが、今回は会社の特例で育休を取得しました。
―今回は会社側からの働きかけで育休を取ったわけですが、これまでに取らなかった、または取れなかった理由は何ですか。
そもそもがよく分かりませんでした。そういう制度はあるんだろうな、と思っていましたが、「こちらから申請しないといけないのか…」という感じで。周りにも、男性で育休を取った人はいませんでした。
当時会社から伝えてくれていたら、ありがたかったですね。できれば、子どもが生まれたタイミングで取りたかったです。
上司からのひとこと―中四国ブロックエリアマネージャー・大元克也さん
長岡さんは、現場での信頼関係づくりがピカイチ。育休中も、他のコーディネーターの業務が増えることはほぼなかったので、皆さんやりやすかったんじゃないかと思います。
実は、私たちは子ども同士が同い年。育休の期間も少し重なっているんです。今後は父親同士、困ったときに助け合いたいです。