【「小さな声」を探し求める―「個」が躍動する組織のつくり方― 書評】第2回 S1グランプリ 浦嶋 弘実(医療看護事業部)

経験は宝-「小さな声」が教えてくれたこと/浦嶋 弘実(医療看護事業部)

「アントレプレナー大賞受賞」
この文字を見た瞬間、「あれ?」と目が止まりました。

私が大学で学ぶ「地域アントレプレナーシップ」と同じ言葉に引かれ、「どんな本なのだろう」と興味を持ちました。

私は本を読むことが苦手です。「最後まで読めないのでは」と思うほど活字が苦手で、普段は音声アプリで耳から本を聴くことがほとんどです。
今回も真っ先に探しましたが見つかりませんでした。「それでも読みたい・・」そう思ってページを開きました。

ところが、予想は大きく裏切られました。
一つひとつの言葉が心に響き、気づけば夢中になってページをめくっていました。

読み終えたとき、私は本の感想よりも、自分自身の人生を振り返っていました。

本に登場する皆さんには共通点がありました。
それは、決して順風満帆ではなかったということです。

病気や家族との出来事、失敗、葛藤、人生の転機。
それらを経験しながらも、自ら決断し、自ら道を切り開いてきました。

その姿を見て、私は「人が人を呼ぶ」とは、こういうことなのだと感じました。
経験を重ね、挑戦を続けてきた人だからこそ、多くの人がその人についていくのだと思いました。

私はその姿に、自分自身を重ねました。

結婚、出産を経験し、30代になってから私は看護師を目指しました。
学生時代は勉強よりもスキーに夢中だった私が、誰かの役に立ちたいと初めて本気で思えた瞬間でした。

家族からは「看護師?無理でしょ」と笑われましたが、それでも諦めずに挑戦しました。

離婚、生活のために夜働いた日々。
大切な人に裏切られ、人を信じることが怖くなった時期もありました。

そんな私に「人を信じなくなったら、誰があなたを信じるの?」と言ってくれた人がいました。
その言葉に何度も支えられながら、私は少しずつ前を向いて歩んできました。

そして今、母は膵臓がんと闘っています。
余命宣告を過ぎた今も懸命に生きる母は、誰よりも私を応援してくれる存在です。

転職を迷った私の背中を押してくれたのも母でした。
その姿を見るたび、「今日をどう生きるか」を教えられています。

私は失敗ばかりの人生だったのかもしれません。
しかし、この本を読み終えた今、そうは思いません。

失敗も、挫折も、裏切られた経験も、母との時間も、すべてが今の私をつくってくれた「経験」という宝でした。

土屋への転職時、他社の役職者の方々と面談を重ねて悩みましたが、新川さん、小黒さん、高浜さんと実際にお会いし、「この人たちと一緒に働きたい」と自然に思えました。

うまく言葉にはできませんが、そこには温かさと安心感がありました。

本を読み終え、その理由がようやくわかりました。
多くの経験を積み、挫折を乗り越え、人を信じ続けてきた人だからこそ、人の小さな声に耳を傾けられるのだと。

本の中に、「従業員がこの会社で働いてよかった、利用者がこの会社に頼んでよかったと思える信頼の積み重ねが、結果的に会社の未来をつくっていく」という言葉がありました。

これは、私が看護師として大切にしてきた「あなたでよかった」と言っていただける関係性を築くことと、深く重なり合います。
一人ひとりと向き合い、その信頼を丁寧に積み重ねること。それこそが、より良い看護の未来を拓く力になると信じています。

クライアント一人ひとりの背景を理解し、小さな変化に気づき、相手の立場で考える。
仲間と共に現場を歩み、変化を恐れず挑戦し続ける。

その積み重ねが、「個」が躍動する組織につながるのではないでしょうか。

経験は、過去を語るためのものではありません。誰かの未来を支えるためのものです。
この本は、そのことを私に改めて教えてくれました。

私はこれからも、自分の経験を力に変え、小さな声を拾い続けられる組織の一員として、土屋とともに歩み続けます。

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