【「小さな声」を探し求める―「個」が躍動する組織のつくり方― 書評】第2回 S1グランプリ 山根 健((株)のがわ グループホームのがわ)

この本を読んでもあなたの人生は1㎜たりとも変わらない/山根 健((株)のがわ グループホームのがわ)

これは警告だ。
この本を読んでも、あなたの人生は1㎜たりとも変わらない。
「ちょっといい話」を求めて本書を開くのであれば、今すぐページを閉じた方がいい。

読んで、見えてくるものは、成功者の物語である。だが、本書が突きつけてくる真実は、全く別だ。
さて、あなたは、この本を読んで、そこから先に進む覚悟があるだろうか。

私の教訓の一つとして、こんな言葉がある。
「成功しても、そこからの学びが無ければ無価値に等しい。たとえ失敗したとしても、そこから学びがあれば、それはただの成功以上に価値がある」という言葉である。

本書『「小さな声」を探し求める「個」が躍動する組織のつくり方』には、16人の物語が描かれている。
全て、高浜代表と出会い、経験、学びを経て、今後どう生きていくかという「成長の仕組」についてだ。

そして、仕事をする上でのもう一つ大切な「潤滑油」についても描かれている。

これは、マインドセット(能力は後天的に伸ばせると信じ、失敗や変化を恐れない姿勢)やメタ認知(自分を客観的に把握すること)、モチベーション(自分がこうありたい、これが好き等、内側から湧き出る原動力)がこれにあたるであろう。

一見、美談としてこの「成長の仕組」と「潤滑油」について、言わば成功者の物語として描かれているように見える。
だが、その裏には、スポットライトの当たらない、惨めな失敗や後悔、挫折があったはずだ。なぜなら、人は失敗や後悔を通じた「自己の解体」によってしか成長できないからだ。

私にも、当時は思い出したくもない恐ろしい大きな失敗がある。
かつて参加した1年間のビジネススクールでのことだ。

私は、受講生側の委員長をしていた。
経営学を学び、実践レポートを発表し、集大成として卒業論文発表会を企画・運営するプログラムだった。

しかし、受講生の意識のズレ、会場設定の失敗による負債の発生、団結力の欠如、さらには修復不可能なトラブルが重なり、組織は空中分解。ビジネススクールは崩壊した。

経営学の知識もさることながら、この惨めな挫折から得た「失敗からの学びこそが価値になる」という教訓こそが、現在の私の核となっている。

当時は受講生をまとめきれず、巻き込むことができなかった。
負債が発生した途端に周囲が引き、組織が崩れていくのを止められなかった。

だからこそ今の私は、チームビルディングを何より重視し、自社の理念のもとに一人でも多くの従業員を巻き込むことに全力を注いでいる。

本書に登場する16人も、ただの成功者ではない。スポットライトの当たらない暗闇で「自己の解体」を繰り返し、泥をはらって立ち上がってきた人間たちだ。

だからこそ、最後にもう一度言う。
ただこの本を読んだだけでは、あなたの人生は1㎜たりとも変わらない。

ページをめくりながら、あなた自身がこれまで隠してきた「苦い失敗や敗北」を書き出してみてほしい。

その過去と向き合い、自分を解体し、学びへと変える覚悟を決めたとき――本書はあなたの人生を動かす最強のバイブルになるはずだ。

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