
異なる景色を見つめながら、目指す同じ未来
『「小さな声」を探し求める ― 「個」が躍動する組織のつくり方』を読み進める中で、私は自分自身が歩んできた福祉の道と、株式会社土屋が形づくられてきた軌跡を重ね合わせていました。
私が福祉の世界に足を踏み入れたのは、今から約20年前のことです。
ガイドヘルパーやヘルパー2級、介護福祉士などの資格を取得し、移動支援や居宅介護、訪問介護、小規模多機能、デイサービスなど、さまざまな介護現場を経験してきました。
その後、末期がんとなった母を在宅で看取るために一度離職いたしましたが、母を見送った後、再び働き始めるために転職活動をする中で目に留まったのが重度訪問介護の求人でした。
好奇心や興味本位で応募したことがきっかけとなり、前会社に入社することとなりました。
長年介護に携わってきた自負はありましたが、初めて経験する重度訪問介護の現場は、それまでの支援とは全く異なっており、驚きと戸惑いを隠せませんでした。
重度訪問介護は、未経験・無資格の方であっても重度訪問介護従業者養成研修(統合課程)を3日間受講することで現場に入ることができます。
しかし、介護経験のある私自身でさえ難しさを感じた支援であることを考えると、初めて介護に携わる方にとっては、非常に高いハードルの現場じゃないのだろうかと危機感を抱きました。
だからこそ、特に実技を中心とした新人研修の必要性を強く訴え続けておりましたが、当時の環境ではその声が届くことはありませんでした。
それだけに、スピンアウトを経て株式会社土屋となり、研修に関わらせていただく中で新人研修を実施できたときの喜びはひとしおでした。
受講されたスタッフの方々から前向きな感想をいただいた時には、「開催できて良かった」と心から嬉しく思いました。
しかし、課題も残りました。
講師確保の問題から医療的ケアは座学のみとなり、十分な実技を提供できなかったこと、全日程2日間開催で日程調整が難しかったこと、そして会社の成長に伴って地域ごとの状況やニーズにも差が生まれてきたことなど、さまざまな要因が重なり、カレッジ主催の新人研修は幕を閉じることとなりました。
それでも、私が重度訪問介護に初めて携わった時に感じた「この支援の大切さ」と「難しさ」は、今も変わっていません。
だからこそ、現場でクライアントと向き合うスタッフが安心して支援に取り組める環境づくりは、これからも重要であると考えています。
新人研修という形に限らず、教育や相談体制など、さまざまな方法で現場を支え続けることが、クライアントと介助者の双方の安心につながるのではないかと思います。
本書を読んで印象に残った言葉の一つに、大庭さんの「それぞれ求めることが違う場合があります。
お互いに見ている景色が違うので、それは仕方のないことです。」という言葉がありました。
トップの方々の考えや会社の方向性を知ることができた一方で、私には少し難しく感じる部分もありました。
ですが、立場が違えば見える景色も違い、考え方が異なるのは自然なことなのだと思います。それでも、最終的に目指す方向が同じであるなら、その違いはより良い組織をつくるための力になるのではないでしょうか。
現在、私自身は現場の支援業務や研修を執り行うポジションにはおりません。
しかし、この土屋という組織の中で、重度訪問介護にとどまらず、介護全体として前向きに何らかの形で関わり続けていきたいという思いに変わりはありません。
これからも互いの景色の違いを認め合いながら、同じ目標に向かって自分にできる役割を果たしていきたいと改めて感じました。





















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