【デンマーク研修レポート④】『デンマークレポート』星 敬太郎(ホームケア土屋 スーパーバイザー)

『デンマークレポート』星 敬太郎(ホームケア土屋 スーパーバイザー)

この度はとても貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。
多くの気づきと学びを得ることができましたことに心より感謝いたします。

デンマークは、日本より緯度が高いため訪問した6月は夜10時を過ぎてもまだ太陽は沈むことなく明るく、レンガ作りの建物を多く見かけることからも地震の不安がない国と感じさせられ、都心でカラフルな建物を、地方では広大な緑の平地と丘と時々見られる風車の風景を見て、イメージしていたヨーロッパを体感することができました。

今回はデンマークの福祉を学ぶ研修です。

事前に少しではありますがデンマークの福祉に関する学習準備をし、そして、国民の幸福度の高さと福祉との相関性に関心を持ちながら研修に臨みました。

現地では、行政にて国の仕組みを学ぶことから始まり、身体等にハンディがある方々の通所の場、グループホーム、在宅に位置付けられる集合住宅、そして、教育の場を訪問し、それぞれご説明及び質疑応答の有意義な時を過ごしました。

デンマークの福祉は、主に国営で、民間企業の参入はほとんどありません。そして、国民は日本より多くの税金を納め、国営の福祉にも大きな期待をしています。

政治の投票率が80%を超えるほど高いことからも、民主主義の質が高いという一側面もあり、加えて、小学校教育の早い段階から自己肯定感を高め、自身を表現することを学んでいる国民です。

そして、デンマークは対話をとても大切にしている国です。
自己表現×対話の相乗効果は、研修期間中もポジティブな形で感じられました。

国民約600万人の大家族と思えるほど、国民全員参加型と感じるほどでした。

それは、デンマークの良さとして福祉分野にも見られ、国民の様々な声に応えようとする行政の姿勢が所々で感じられ、応答を超えて国民に対する責任感の強さが表れていました。

デンマークの福祉体制は、国が定める組織と役割が明確化され、伴って責任の所在も明確でした。
訪問先で私たちに説明してくださったリーダーは皆、自身の役割を明確に理解し、国が定める方向性を理念として共有し、同じ方向を向いていました。

そして、皆、誇りを持っているように感じました。
在宅、通所施設、入居施設、教育機関、どこに訪問してもリーダーはそのようで、管理が行き届いた株式会社デンマークという素晴らしい大企業を見学させていただいた感覚でした。

デンマークでの福祉研修では、時々、日本の福祉も思い出しながら臨みました。
日本の福祉は、多くの民間企業が参入し成立しています。

福祉制度のもと保険サービスの提供がなされ、保険外も含めて、サポートが必要な方々の生活を支えています。

企業は、共同し、時に競争し、それぞれ特性があり、向いている方向は?と言えば、同じとは限りません。
株式会社デンマークのしっかり管理が行き届いている一面に触れると、もう一方で日本の福祉には管理の強さは感じられず、むしろ『余白』があるように感じます。

この『余白』が、日本の福祉企業を伸び伸びと発展させているのではないかと感じました。

話は変わりますが、日本のゆとり世代からは、世界で大活躍しているスーパースターも輩出されています。
管理の対極には、個性や特性の幅は広がり、それは下限が下がる一方で、上限をさらに押し上げる世界観があると思います。

デンマーク福祉の良さを知ることで、日本の福祉の良さを知る研修となりました。

私が株式会社土屋での自身の勤めに、研修内容の中から何を持ち帰るかと言えば、対話の重要性です。

加えて、デンマークの組織と役割と責任の所在の明確化です。その明確化をベースとして交わされる対話、それ故に得られる成果は計り知れません。

そして、他にも『余白』がある日本の福祉の良さを知りました。
『余白』が生み出す効果は、人の個性や企業の特性などの幅を広げることに留まらないはずです。

強く管理されない中で生まれるその『余白』には、自由が含まれると思います。決して何でもありではない、国のルールの範囲内での自由は、企業の理念や方向性も各々に任せて、現場では利用者に幅広く徹底的に向き合う姿勢にも繋がる『企業判断』となります。

日本では、2000年に介護保険制度がスタートして以来、高齢者福祉に限らず障害者福祉の分野においても、民間企業の様々な現場の取り組みを耳にしてきました。

認知症の方に対して徹底的に向き合い、自立支援と共生社会を目指す企業があります。

身体拘束についても、その人を尊重し、怪我のリスクやご家族との意見の衝突を乗り越えて、廃止する方向性を保ち、多くの企業が実現しています。

それは、国の方向性のもと『企業判断』としておこなわれている取り組みと感じます。その反面、認知症の方々の行動への対応の難しさから、要因分析ができず、また、ご家族への説明責任を果たしきれず施設入居を選択することも『企業判断』です。

『企業判断』においても、幅が生まれます。
判断するうえで大切なのは、人を尊重し、人に思いやりを持つことです。

これは、日本人の特性であり、強みとも言えるのではないでしょうか。

株式会社土屋は、難病の方、重度障害の方、医療的ケア児、強度行動障害の方など、部分的に他者のサポートが必要な方々の生活を支えています。

『土屋判断』として、社の理念や方向性を鑑み、サポートが必要な方々に対し、難易度が高くても、様々なリスクがあっても、徹底的に向き合う現場を作ることが、自身の担うべき役割の一つであると改めて確認できました。

医療的ケア児に向き合い、継続したサポートと、ご両親の人として当たり前の睡眠の確保を。

難病や強度行動障害など重度障害の方々に向き合い、保険サービスを利用しながら在宅生活を継続できるサポートと、入院や施設入居しかないと思われているご本人ご家族へ、在宅生活が選択できる可能性を。

そのようなサポートの質の向上と体制整備を土屋でも実現すべきと、私自身、身が引き締まる思いになりましたことは研修受講の成果の一つです。

日本中の多くのサービス利用ニーズにお応えし続けることとバランスを取りながら邁進してまいります。

多くの気づきと学びを得ることができたデンマーク研修でした。

関心がある「国民の幸福度の高さと福祉との相関性」については、この期間中には私は学びきれなかったため、今後、書籍やAIに教えていただきながら学びを深めようと考えています。

改めまして、このような機会をいただきましたことに感謝いたします。

株式会社土屋について

株式会社土屋は、高齢者や障がい者の方々がより良い生活を送るための介護サービスを提供し、また、さまざまな社会的ニーズに応えるための事業を展開するトータルケアカンパニーです。

■会社概要

会社名:株式会社土屋
所在地:岡山県井原市井原町192-2久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜敏之
従業員数:2,766名
設立:2020年8月

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