【デンマーク研修レポート⑤】『デンマーク/ホイスコーレ研修を終えて』~「百聞は一見に如かず」の実感 ~ 新川勝美(取締役)

『デンマーク/ホイスコーレ研修を終えて』~「百聞は一見に如かず」の実感 ~ 新川勝美(取締役)

「たった一週間で何がわかるのか」と問われるかもしれません。

しかし私にとって、このデンマークでの8日間のホイスコーレ研修は、まさに「百聞は一見に如かず」を実感する時間となりました。

これまで書籍やインターネット、メディアなどを通して得ていた知識は、実際に現地に足を運び、生活を共にし、対話を交わす中で、自分の中に生きた学びとして深く根付いたのです。

デンマークという国の中で、私がもっとも心を動かされたのは、人に対する“分けない”という姿勢でした。

ある場面で私はつい「この方は男性ですか?女性ですか?」と何気なく質問してしまったのですが、返ってきたのは「なぜ、それを聞く必要があるのですか?」という一言でした。

その瞬間、私は自分がいかに「区別ありき」の価値観の中で生きてきたかを思い知らされました。

性別や年齢を聞くことが、相手を理解する助けになると思っていたのですが、実はそれが“前提による判断”を生んでいたのかもしれないと気づいたのです。

口には出さずとも、どこかで「分ける」「分類する」ことが自分の中に染みついていた、そのことに恥ずかしさを感じるとともに、改めて「人を人として、そのまま受け止める」という大切さを学びました。

このような気づきの背景には、デンマーク社会が持つ「対話」の文化が大きく影響していると感じます。
彼らは物事を一方的に決めつけず、「なぜそれが必要なのか」「本当にそうなのか」と問いを重ねながら、丁寧に意見を交わしていきます。

今回の滞在中にも、「何らかの問題がある」と思われる状況に対して、感情的にならず、冷静に話し合いによって理解を深め、解決しようとする姿勢に多く出会いました。

この「何か問題があると話し合う」文化は、非常に貴重で学ぶべき価値があると感じました。

また、ホイスコーレでの生活は、自然に囲まれた穏やかな環境の中で、日常の喧騒を離れ、自分と向き合う豊かな時間でもありました。
朝は小鳥のさえずりで目を覚まし、夜は月を見上げながら1日を振り返る、そんな時間が心と身体をじんわりと癒してくれました。

人間関係においても、参加者同士が寝食を共にし、朝から晩まで語り合い、時には議論を交わし、涙を流すことで、表面的な関係を超えた「深いコミュニケーション」が生まれました。

皆さんとずっと一緒に過ごした8日間は、私にとってかけがえのない経験となりました。

特に印象的だったのは、ホイスコーレにおける「学び」が単なる知識の習得ではなく、「自分自身を知る」「社会との関わりを見つめる」「違いを受け入れる」といった“生きる力”そのものを育てていることでした。

講義の中では正解を求めるのではなく、それぞれが自分の考えを言葉にし、他者の考えに耳を傾け、そこから新たな視点を得るというプロセスが繰り返されました。

その柔らかく開かれた空気の中で、私自身も「もっと自由に考えていい」「もっと本音で語っていい」と感じられるようになったのです。

今回の研修を通して、私はたくさんの「問い」を受け取りました。
そして同時に、いくつかの「答え」も自分の中に芽生えました。

それは、今後の仕事や人との関わりの中で、きっと生きてくる学びです。

人と違うことを恐れず、違いを“豊かさ”と捉え、何か課題が起きたときは声を上げ、話し合い、共に解決していく。
そのような組織や社会づくりを、自分自身の手で少しずつ実現していきたいと思っています。

この8日間の経験は、単なる視察や観光ではなく、私の中に確かな「変化」をもたらしました。

そしてそれは、私一人のものではなく、これから出会う仲間や現場に還元していくべきものでもあります。
今回のホイスコーレ研修で得た多くの気づきに、心から感謝しています。

最後になりますが、機会をいただけたことに高浜代表、モモヨさん、斎藤さんありがとうございました。

株式会社土屋について

株式会社土屋は、高齢者や障がい者の方々がより良い生活を送るための介護サービスを提供し、また、さまざまな社会的ニーズに応えるための事業を展開するトータルケアカンパニーです。

■会社概要

会社名:株式会社土屋
所在地:岡山県井原市井原町192-2久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜敏之
従業員数:2,766名
設立:2020年8月

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