【イベント】『岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会』発足記念イベント

『岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会』発足記念イベント

株式会社土屋の後援により、岡山の在宅医療・福祉の連携促進を目指す新団体「岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会」(代表:入江真大医師)が2024年11月に設立されました。

同月20日には、岡山県にて発足記念イベントが開催され、登壇者の方より会の概要や、これまでの重度訪問介護の歴史について貴重な話を頂きました。

イベント概要

■開催日:2024年11月20日
■テーマ:岡山の在宅医療と在宅福祉の連携

■登壇者:
入江真大(医師/岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会 代表)
川口有美子(NPO法人さくら会 副理事長)
小森栄作(ももたろう往診クリニック院長)
高浜敏之(株式会社土屋 代表取締役CEO)

■参加人数:会場:約100名、オンライン:約500名

■イベント内容
1.入江真大氏よりご挨拶~発足の目的と背景~
2.川口有美子氏による基調講演 ~ALSの重度訪問介護~
3.高浜代表よりご挨拶

1 入江医師が語る『岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会』

目的:医療と福祉の連携を促進し、在宅療養環境の改善を図る。関係事業所に限らず、サービス利用者やその家族、地域住民を含めた交流を通じて、地域共生社会の実現を目指す。

設立の背景:高齢化が進む日本では、地域包括ケアシステムが整備され、介護予防や生活支援の充実が図られているとはいえ、在宅医療・福祉の現場では、多職種の連携や理解の不十分さより、支援を必要とする方に適切なサービスが届けられていない状況が見受けられます。

多職種が連携できる場の必要性を感じたことから、本会の設立に至りました。

介護離職や、医療的ケア児を育てる親の就労制限に関する課題の解決も含め、今後は関連職種やご利用者・ご家族、地域住民など様々な方が交流し、知識を深め、連携できる場を提供したいと考えています。

そして、障害を持っていても安心して地域で暮らせる場を作りたいと思います。

2 川口有美子氏による基調講演「ALSの重度訪問介護」の概要

当日のイベントでは、ALSのサポートセンター『NPO法人さくら会』の副理事長であり、長らくALSの母親の介護をしてきた川口有美子さんによる基調講演が行われ、日本ALS協会の理事を12年間務めた経験から、呼吸器装着の有無に関する日本と海外の違いや、海外と比べて整備されている日本独自の難病対策についての話がなされました。

現在の日本の優れた難病支援制度は、川口さんの恩師である「さくら会」の初代理事長・橋本操氏や日本ALS協会等の活動により構築されてきたものでもあります。

日本全国で多くの署名を集め、国に喀痰吸引を容認してもらうに至った経緯や、「さくら会」による全国各地での喀痰吸引の研修会、そしてそれら“草の根運動”を通して喀痰吸引が法制化されるに至った歴史は、24時間介護保障を可能とした大きな運動として記憶されています。

川口さんはまた、介護事業を自身で立ち上げ、当事者自らがヘルパーを育成するという「さくらモデル」を橋本氏と共に確立しました。

これは、家族を介護から解放し、単身独居の実現を目的とした革新的なモデルですが、そうした試行錯誤の歩みを通して、川口さんは患者・家族に向け、ご自身が「意思決定」を行うことの重要性について訴えられました。

中でも、医師や事業所等に依頼すべきことを患者自身が把握し、市町村への介護給付の申請書類も自身で作成することで「自分のニーズを知る」ことの大切さ、その上で患者発信により多職種の方それぞれが安心して動ける状況を作ること、またできるだけ在宅介護を用いて家をオープンにし、密室化しないことが大切だとしています。

「自分のもとにあるものを探し出すよりも、自分を囲むものの中にいた方がいい」
(川口さんの恩師・立岩真也氏著『良い死/唯の生』より)

3 高浜代表よりご挨拶

『岡山の在宅医療と在宅福祉を考える会』の設立、おめでとうございます。

本イベントでは福祉の重要性についてお話しいただきましたが、本イベントの開催に当たっては驚くような機縁があります。

私が障害者運動の活動家だった20数年前、重度訪問介護の前進である「全身性障害者介護人派遣事業」を作った脳性麻痺当事者の新田勲氏の部下として、ある会で彼の斜め後ろに立ちながらサポートしていましたが、その時に橋本操氏のサポーターであった川口さんと出会いました。

当時は同じ場所に立っている方として親近感を抱きながらも距離があり、コミュニケーションを取る機会もなく、“近くて遠い方”という思いがありましたが、本イベントを通じて“近くて近い方”になった印象があります。

私たち土屋グループは全国47都道府県で重度訪問介護サービスを提供しており、重訪のご利用者さんは約800名ですが、そのうちの約30%、300名弱がALSの方々の支援となっています。実はこの事業の出発点である2015年に川口さんと再会しています。

当時はALSの方々の支援が足りておらず、支援するためには3号研修を受ける必要がありましたが、この研修をしていたのが川口さんの事業所だけでした。

そこで私や妻、その他初期メンバー数名が川口さんの研修を受けて、この事業を始めたというところでは、川口さんは実は実質的な「土屋の生みの親」であり、私たちの事業自体、「土屋モデル」だと思っていたのは実は勘違いで、「さくらモデル」だったということを再確認させていただきました。

そして川口さんとはもう一つ、驚くような機縁があります。当社の社名「土屋」は、東京都中野区にあった「土屋産婦人科」がクローズされたことより、そこを改修して、その場所から福祉事業を始めたことに由来しますが、川口さんはその産婦人科で生まれていた。

まさに、自分の子どもから親が生まれたような輪廻転生感もあり、ここまでいくと偶然を超えた運命めいたものも感じています。

また同様の想いを、入江先生にも感じています。半年前、妻のごり押しで、約束をキャンセルしてまで向かった“無人島”で入江先生と出会い、本イベントが設けられたというところでは、ここにも偶然という枠を超えるような機縁があったと思っております。

そして我々は常々、医療依存度の高い方の支援をしていくためには、自分たち福祉分野だけだと心細いこと極まりないということで、医療看護の方との連携を切に望んでいたこと

もあり、この度、入江先生には土屋グループのメディカルアドバイザーにも就任していただきました。

本イベントも、「日本の福祉モデルは世界に類を見ない」というお話がありましたが、私たちは岡山という地で、「日本に類を見ない、ベストオブベストのモデルを作っていこう」という思いでおりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

株式会社土屋について

株式会社土屋は、高齢者や障がい者の方々がより良い生活を送るための介護サービスを提供し、また、さまざまな社会的ニーズに応えるための事業を展開するトータルケアカンパニーです。

■会社概要

会社名:株式会社土屋
所在地:岡山県井原市井原町192-2久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜敏之
従業員数:2,766名
設立:2020年8月

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