【北京研修レポート④】『中国・北京医療介護・認知症ケア視察ツアーに参加して』五十嵐憲幸/取締役

『中国・北京医療介護・認知症ケア視察ツアーに参加して』五十嵐憲幸/取締役

この度、「専門家と行く 中国・北京の医療介護・認知症ケア最前線 視察ツアー」に参加し、中国の高齢者ケアの現状と課題について貴重な学びを得ることができました。

このツアーでは3つの異なる運営形態の施設を視察しましたが、民間企業、NPO団体、国有企業それぞれが展開する多様なアプローチを通じて、中国の介護福祉の実態を理解することができました。

特に印象深かったのは、北京長友養老サービスグループが朝陽区の公園内で展開するCCRC(継続的介護付きリタイアメント・コミュニティ)モデルです。

自立型の頤院から要介護者向けの雅院、そして認知症専門の慧院まで、高齢者の心身の状態変化に応じて継続的なケアを提供する体制が構築されていました。

特に慧院での入居者2名に対しスタッフ1名という人員配置のもとで居室にトイレを設置せず、社会参加を自然に促す設計や、薬物に頼らず寄り添いによってBPSDを改善させる実例は、非常に参考となりました。

また、龍振養老サービスグループの地域密着型サービスでは、効率的な運営やオンラインショッピングの荷物集配拠点を通じた地域住民との自然な接点創出など、既存インフラを最大限に活用した工夫が印象的でした。

国有企業が運営する恒復健之家・自如では、「急性期後の回復期と生活期」に焦点を当てた医療・介護融合モデルを実践し、AIを用いたリハビリと伝統的な鍼灸治療の併用や医療保険を積極的に活用しているなど、最新技術と制度活用の巧みな組み合わせが見られました。

これらの施設を通じて特に感じたのは、中国の効率的な考え方とスピード感です。

投資額400億円による5,000床の展開、260地域での20万人へのサービス提供、そして先進技術の迅速な導入など、日本では考えられないスケールと速度で事業が展開されていました。

また、同行いただいた「悠翔会」の佐々木淳先生や「あおいけあ」の加藤忠相社長による現地シンポジウムでのプレゼンテーションも大変参考になりました。

国によって制度や文化的背景は異なるものの、高齢者をはじめとするケアが必要な人たちへのサービス提供における本質的な課題は共通していることを実感しました。

そして何より貴重だったのは、多様な専門分野で活躍される参加者の皆様との交流です。

医療・介護の現場リーダーから、テクノロジー企業の経営者、研究者、行政関係者まで、それぞれ異なる視点から中国の介護現場を分析し、議論を交わすことで、単一の視点では得られない深い洞察を得ることができました。

今回のツアーを通じて、まだまだ日本の福祉が進んでいる分野がある一方、中国の効率性とスピード感には目を見張るものがあることを実感しました。

今後は、視察で得た知見を自身の活動に活かしながら、参加者の皆様との交流を深め、共にケアの発展に向けた取り組みを継続して参りたいと思います。

制度や文化の違いを超えて、高齢者の尊厳ある生活の実現という共通の目標に向かって、国際的な協力と相互学習を重ねることの重要性を改めて認識した貴重な体験でしたが、参加メンバーが不在であっても業務を支えてくださる皆様のおかげでこのような体験ができたということに深く感謝の意を表したいと思います。

ありがとうございました。

 

株式会社土屋について

株式会社土屋は、高齢者や障がい者の方々がより良い生活を送るための介護サービスを提供し、また、さまざまな社会的ニーズに応えるための事業を展開するトータルケアカンパニーです。

■会社概要

会社名:株式会社土屋
所在地:岡山県井原市井原町192-2久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜敏之
従業員数:2,766名
設立:2020年8月

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