【北京研修レポート⑥】『人類史上最大の高齢化に挑む中国から学ぶ:北京視察ツアー参加報告』入江真大/一般社団法人 土屋雉翔会 理事長

『人類史上最大の高齢化に挑む中国から学ぶ:北京視察ツアー参加報告』入江真大/一般社団法人 土屋雉翔会 理事長

2025年6月24日から27日にかけて、中国北京の医療介護・認知症ケア最前線視察ツアーに参加いたしました。

中国は60歳以上の高齢者人口が約3億人(総人口の21%)に達し、2035年には4億人を超える予測となっており、人類史上最大規模の高齢化に直面しています。

中国政府は「9073政策」(高齢者の90%在宅、7%コミュニティ、3%施設ケア)という明確な国家戦略を推進しており、その実行力とスケール感は圧倒的でした。

長友養老サービスグループ(民設民営)では、総床数10,000床の大規模CCRC(Continuing Care Retirement Community:継続的ケア付きリタイアメントコミュニティ)モデルを展開していました。

職員対利用者1:2.6の手厚い配置と、家族を「仲間」として位置づける協働関係の構築が印象的でした。

龍振養老サービスグループ(公設民営)では、地域密着型のNPO運営モデルを見学し、荷物集配拠点併設など地域拠点機能を取り入れたリハビリが特徴的でした。

恒復健之家(公設公営)では、医療と介護の融合、データ可視化システムなど、テクノロジーを活用した先進的な取り組みが展開されていました。

最も驚いたのは「スマート養老」という国策のもとでの大胆なデジタル化です。

IoT、AI、ビッグデータを活用したリアルタイムケア管理は、人材不足への解決策として大変参考になりました。

このツアーには全国各地から医療・介護・福祉分野の専門家35名が参加し、佐々木淳先生(悠翔会理事長)や加藤忠相先生(あおいけあ代表)をはじめとする業界リーダーから多くの示唆をいただきました。

特に印象深かったのは、各地の専門家と土屋グループとの具体的な連携の可能性です。

ブイキューブ社とは過疎地のオンライン診療に関する有益な議論ができ、沖縄の知花朋弥先生とは土屋ナーシングプラスに関する情報共有を行いました。

また、LIFESCAPES社の鈴木良先生とは、Brain Machine Interface技術を活用したリハビリ後の生きがい創出や就労支援について、土屋グループ全員で活発な意見交換を実施しました。

さらに、コミュニティナース育成の第一人者である矢田明子先生とは、今後はれのくに在宅クリニックへのコミュニティナース派遣について具体的な相談を行うことができました。

在宅医療・訪問診療を重視する当院において、家族との協働関係構築、テクノロジー活用による効率的ケア提供、地域多職種連携の強化など、今回の学びを実践に活かしていきたいと考えています。

また、今回のツアーで築いた全国の専門家との人的ネットワークを活用し、10月7日の当院開院イベントでの多職種連携講演や、土屋ケアカレッジでの講師招聘など、具体的な協働事業の発展も期待されます。

世界最大の高齢者大国として人類史上例のない課題に挑戦する中国の現場視察を通じて、国家戦略の明確化、デジタル技術の積極活用、多様な運営形態の並存など、日本とは異なるアプローチから多くを学ぶことができました。

今後も国際的視野を持ちながら、地域でより良い医療・ケアを提供できるよう、全国の専門家ネットワークを活用しつつ、取り組んでまいります。

株式会社土屋について

株式会社土屋は、高齢者や障がい者の方々がより良い生活を送るための介護サービスを提供し、また、さまざまな社会的ニーズに応えるための事業を展開するトータルケアカンパニーです。

■会社概要

会社名:株式会社土屋
所在地:岡山県井原市井原町192-2久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜敏之
従業員数:2,766名
設立:2020年8月

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