デイホーム土屋 たいわ
退院後の入浴支援と不活発化防止の支援
年齢 | 80歳代 |
性別 | 男性 |
要介護度 | 要介護1 |
生活拠点 | 自宅 |
ADL | A2 |
認知症生活自立度 | Ⅰ |
検討プロセス
令和4年に脳梗塞のため入院し同年11月末に退院。退院後、自宅での入浴が困難となり、デイサービスでの入浴支援を求め当ホームでの利用が始まった。しかし、Kさんは会社の社長や各種組合の理事長、町会議員等を歴任した地元の名士であり、そのためか、ご自身の身体的後退を容易には受け入れられず、ホームでの入浴は一筋縄ではいかなかった。
《職場のリーダー》
プライドの高い利用者様なので、強い拒否をされたらアプローチが難しい。あの手この手で声かけをするが入浴が実現しない。一時的に入りそうになるものの、すぐにかたくなに拒まれてしまう。お手上げ状況です。
《上長》
あの手この手というのは声かけの言葉を変えただけではないのか。言葉に偏ることなく、もっと身体的に総合的に伝わるよう、環境を変えてアプローチする必要があるのではないか。そして段階的に一歩ずつ組み立ててやってみましょう。
指摘したリスク
- ゆっくり、だんだんに進めてほしい。無理にもっていこうとすると拒否イメージが固定化する恐れがある。
- 浴室での様子観察(梗塞の再発危険)と転倒の阻止
実行プロセス
お湯になれる・お湯に親しむところから段階的にアプローチを始めた。
- ホールでの足浴の実施 いろいろの理由を伝え、ハードルの低い『その場での足浴』からスタートした
- 浴室へ足を踏み入れてもらう 実は当ホームはOさんが20年ほど前に自身の建設会社で建てたもの。浴室設備工事もご自身が手掛けた。そこで、設備の具合を見てほしいと相談し、浴室へ足を運ぶことに成功した。
- 浴室での足浴実際の浴槽に足浴水位の湯をはり、段差を利用して足浴していただく。浴室に実際に行って、その場に馴染む過程を重視した。
- 浴槽での入浴の実現
結果・結論
段階的にアプローチすれば強い拒否を突破できる
※現在、ホームでの入浴も功を奏し、身体機能も徐々に回復し、それに伴って認知能力も向上したかに見える。今年末の要介護認定で『自立』と出るのではないかという推定もある。モデル的な自立支援の事例となり得るのでは?などと考えるが、支援実践上は成功でも、経営的には複雑な想いとなりそうな展開である。
デイホーム土屋 下松
わからない事も多いが本人らしい生活を送って欲しい。
年齢 | 70代 |
性別 | 男性 |
要介護度 | 要介護4 |
生活拠点 | サービス付き高齢者向け住宅 |
ADL | A2 どれも一部介助を要す |
認知機能の状態 (認知症生活自立度) | M アルツハイマー型認知症 |
生活上の課題・要望等 | 本人:アルツハイマー型認知症の為、 自分の思いを言葉にする事が難しい。家族:精神科を受診しある程度服薬で イライラや怒りっぽい事も減っている。 わからない事も多いが本人らしい生活を送って欲しい。 |
検討プロセス
・アルツハイマー型認知症の後期症状がみられる。見当識障害・失禁・放尿・弄便・徘徊あり
・入居住宅でも失禁・放尿・弄便・徘徊もある また、他者の居室に許可なく入るなどの行為もあり居室に鍵をかけるなどのし対応している様子。
・病状発症前は洋楽(ビートルズ)などを演奏するバンドを組み演奏されていたとの事。ギターやピアノなどを担当される。
・長年会社務めをされたおり社交的であった。
・洋服や靴にもこだわりがありおしゃれな方だった。
・食べる事は好き
《生活相談員、介護職員》
・入居施設での生活で洋服に限りがあるができる限りおしゃれにできるように努める。髭そりや整髪など来所される度に実施。
・YouTubeなどでビートルズや洋楽を流す。
・季節の外出レクへ参加し季節を感じていただく。
・おやつレクや食事のレクを提供
・定期的なトイレ誘導の実施
《機能訓練指導員》
・できる範囲での簡単なストレッチ
・行動を制限せず見守り重視しながら歩行訓練へつなげる
・興味のある物・・・ボールや棒を使用した体操
実行プロセス
※アルツハイマー型認知症の後期症状あり 日々状況に変化あり
- 音楽・・YouTube等でビートルズや洋楽を流す。指でリズムをとり口ずさむなどの姿あり。穏やかな表情で落ち着いておられる。
- 定期的なトイレ誘導・・・観察の結果、失禁、放尿の際ズボンを気にされるような動作あり。その際にトイレ誘導に努める。失禁・放尿・弄便は減少した。
- 季節のレクへの参加・・・歩行訓練目的や気分転換で外出の機会を作った。外部の刺激を受け季節を感じ、いつもと違う雰囲気で過ごされていた。不穏な行動などは見られなかった。
- 整容・・・・髭剃りの実施。気持ちよさそうにされる。奥様より何着か服をお預かりし入浴後に着替えていただだいた。表情も違って仕草も紳士的であった。
- 食事・おやつ・・・食事レクやおやつレクへの参加を促す。見ているだけだったがたこ焼きやおはぎなどぺろりと召し上がっていた。
- 個別機能訓練への参加行動を制限する事なくできる範囲で身体を動かしておられた。
実行・結果
デイを利用し始めてから、表情も良くなりCMも驚いておられた。入居住宅でも失禁・放尿が減っていると報告あり。始めは発語もはっきりしなかったが、単語もはっきりとしてきている。アルツハイマー型認知症を発症されてから、初期症状・中期症状に対する服薬と支援の工夫で心理状態や行動が落ち着いてきている。
デイホーム土屋 熊本
自分の山へ行きたい
年齢 | 84代 |
性別 | 男性 |
要介護度 | 要介護2 |
生活拠点 | 自宅 |
ADL | 自立 |
認知機能の状態 (認知症生活自立度) | 認知症 |
検討プロセス
「何かやりたいことはないか?」を訪ねると「俺の山に行きたい。心配なんだ。」と話される。以前はバスに乗り行かれていたが、現在は認知症の進行も始まり行けていない。周りの敷地に迷惑を掛けていないか、植えているミカンや木がどうなっているのか不安の声が聞かれる。朝の送迎時も山の事が気になりデイへ行くのも拒否がある。(一人暮らし)
実行プロセス
- 山の場所を聞き職員が山の状況を見学。
- ケアマネへ状況説明し日程を決め行きたい旨をつたえる。
- 日程を調整
- 決行
結果・結論
・山へ行くと安心された様子になられる。行けた事で表情が変わり連れて行ってもらえたことに喜ばれる。心配の声が減り安心されデイ利用されている。
・送迎時もスムーズに出てこられるようになった。
・デイ利用時も山への訴えは減った。
・周囲の方とも穏やかに過ごされている。
デイホーム土屋 吹田
脳梗塞を3回発症しているため、独居生活に不安がある
年齢 | 80代 |
性別 | 女性 |
要介護度 | 要介護1 |
生活拠点 | 自宅 |
ADL | ほぼ自立・要見守り |
認知機能診断・状態(認知症生活自立度) | なし・Ⅰ |
検討プロセス
右側半盲・右不全麻痺(上肢)自宅での転倒歴あり、頭部に傷を負い出血したまま、来所したこともある。何かあっても家族に報告されることを嫌がる傾向にある。自分からはSOSを出さないため、入念な観察とコミュニケーション、見守りが必要である。
入浴時に「胸にしこりがある」と話されるが、誰にも言わないでほしいと希望される。
実行プロセス
スタッフも確認し、しこりを発見。本人にこのままにしておくことはできないと、時間をかけて説明をする。本人が納得してくれたため、ケアマネジャーに連絡し、家族とコンタクトを取ってもらう。
結果・結論
ケアマネジャーが家族に連絡、受診をした結果、乳がんと判明。入院、手術を経て、寛解となり、現在も変わりなく、1人での生活を続けることが出来ている。入浴時は個別対応となり、今困っていることや、体調の変化など聞き出しやすい状況であるため、話しやすい雰囲気づくりを努めていく。
デイホーム土屋 名東
「花を飾りたい」と要望される利用者様者への対応
年齢 | 94才 |
性別 | 女性 |
要介護度 | 要支援2 |
生活拠点 | 独居(同じ敷地内に息子様夫婦が暮らしている) |
ADL | 自立 |
認知機能診断・状態(認知症生活自立度) | なし |
検討プロセス
利用者様「殺風景だね?」と利用者様がおっしゃいました。
職員「そうでしょうか。」と返答しました。
利用者様「今度、花を持ってくるわ。」とおっしゃいました。その場はそれで収まりました。
次のご利用の日利用者様「約束通り、持ってきた。」とおっしゃいました。
職員「あ、ありがとうございます。」
事業所のリーダー達
「せっかくいただいたので、飾りましょう。」と言うことになりました。
上長
「私も持ってくる、私も。私も。とならないように注意をお願い致します。」回答あり。
実行プロセス
すぐに花瓶を用意して花の形を整えて、飾りました。
結果・結論
ご本人様の要望通り、花を飾り付けさせていただきました。2,3人の方がお花を持ってきてくださいました。飾る場所が少ないため、それ以上持ってきていただく方はありませんでした。