【防災委員会】避難訓練レポート 岡山市視聴覚障害者の災害対応訓練を実施して

訓練レポート 岡山県岡山市中区 水島めぐみさん宅での災害対応訓練を実施して

岡山県は 2018 年西日本豪雨時に甚大な被害が発生した場所。中でも知的・発達障害 のある母子が逃げ場が分からず浸水した自宅で死亡したという例は有名である。障害が ある人の避難支援の在り方を改めて考える中で、土屋の社員であり、ご自身、ご主人、 ご子息の3名に視覚障害(ご子息は発達障害もあり)があり、ご自宅がハザードマップ で最大浸水想定で 5メートルから10メートル、想定される長期浸水期間は 12時間か ら1日の地点に居住される水島めぐみさんご家族と地域の人を結ぶ災害対応訓練を 2023年6月 14日(水)に実施した。 想定を急激な集中豪雨時と設定し“災害対応パーソナル BOOK~風水害編 p26-急激 な集中豪雨時の避難について”を用いて、水害への備えを学び、避難準備品を見直し、 訓練を実施した。(当日は、湿度が高く蒸し暑い時折雨の降る気象条件下、行われた)

ハザードマップ

 

1. 訓練実施に向けての準備

訓練に備え、必要な準備を2023年5月17日より電話・Zoomを使用し開始した。元々、水島さんは災害に対する意識は高めの方で、行政の出す点字の防災に関する冊子なども訓練に向けて読み、準備。 はじめに、土屋としての災害対策・対応の考え方を説明し、今から作成する BOOK の流れを聞いてもらう。作成の過程も、書き込みの仕方・聞き取りなどを動画で記録した。(一部、記録なし)

訓練日

2023.6.14

2. 訓練内容

当日は、普段支援に入っているヘルパー事業所やいつも付き合いのあるご近所の方の 参加は叶わなかったが、水島さんの地域の民生委員さん、実際の避難先になる福祉避難 所、特別養護老人ホームさつき園の方ご参加。土屋のメンバー6名も6参加、それぞれ、全体の進行役・安全確認・ご近所 A さんの役・動画撮影・静止画撮 影・メディア対応などを行った。メディアの参加も加えると総勢19名の訓練となった。 訓練にあたり、災害時の対応をするメンバーと見学人を区別する為、訓練メンバーに はヘルメットを着用してもらい、水害時の避難行動をすることにした。
◎次の日 6月15日に災害伝言ダイヤル「171」、Web 災害伝言板「171」を使用し た連絡連携の確認を水島さん発信でSDGs19推進部のチーム内で行った。

3. 訓練当日参加メンバー

水島めぐみ(当事者)、水島孝一(当事者家族)、水島隆貴(当事者家族)、藤村由利子 (民生委員)、特別養護老人ホームさつき園(2 人)、古本聡(土屋)、岡田千秋(土屋)、 外村優樹(土屋)、池田憲治(土屋)、古本由美子(土屋)、原香織(土屋)、飯田鉄弥(Gatari)、 メディア 6 名(RSK 山陽放送、KSB 瀬戸内海放送) 計:19 名

<風水害訓練>急激な集中豪雨時の災害対応

(広域避難はしない、近隣の福祉避難所へ避難するバージョン)

◎集中豪雨5・6時間前

  • ダイヤル天気予報「177」で気象情報を確認。線状降水帯の発生予測、5・6 時間後に 自分の地域に来ることを聞く。
  • 家族に予報を伝え、ご自身で避難する際の持ち物チェック開始(P16 思い出しながら)
  • スマホ・ガラホの充電状況の確認(音声にて充電状況が読み上げられる)

◎集中豪雨 4 時間前

  • その日、支援に来る予定のヘルパー事業所へ状況を伝える
  • もう一つのヘルパー事業所にも状況を伝える(電話)
  • TV/ラジオを併用して情報を取りながら、ご近所にも連絡
  • ご家族分の避難準備ができているかを声掛け。(支援者 A さんが来てくださる)
  • 最初にご自身でチェックした避難バッグに足りないものが無いかを支援者Aさんと 改めて確認する。
  • 水のうの設置 トイレ(水のう)、お風呂(バスタブ中(ゴム栓+水溜める)、 排水溝(水のう))、洗面所(ゴム栓+水溜める)、シンク(水のう)
  • ダイヤル天気予報「177」で気象情報の確認。ご家族にも伝える。
 

◎集中豪雨2・3時間前

避難レベル3 避難に向けた行動開始

  • カッパを着る
  • ガス栓閉める、ブレーカーを落とす。
  • 避難バッグを持って玄関へ行き、スニーカー、ヘルメットを装着。
  • 玄関の避難先カードを上のポストの蓋の裏に設置。
  • 家の裏手にある、水道の元栓、給湯器のスイッチをOFFにする。
  • 玄関の鍵を閉め、出発前に福祉避難所さつき園へ電話する。受入れOK確認。

◎集中豪雨2時間前

避難開始

  • 荷物を背負い、支援者に同行してもらい、さつき園へ向かう。
  • さつき園に到着、スタッフの方に会えたら、支援者は自分の避難のため、帰宅する。

※今回の訓練では、上の階に昇る、避難生活の部分は省いています。

◎災害が去り避難指示の警報も解除

帰宅に向けて

  • 自宅周辺、自宅からさつき園の間の道に危険が無さそうか、近隣の方に電話で聞く。
  • 危険がなさそうな事が分かったら帰宅に向けた準備。
  • 藤村さんが迎えに来てくださり、ご家族3人と藤村さんの4人で帰宅。
  • 帰宅後は、水栓・ブレーカー・ガスを元に戻し、水のうを撤去。避難バッグに詰めた ものを元の位置に戻す。

訓練終了

 

課 題

・ご近所の方の協力を増やしたい。
・水のうが意外と大変だった。水のうの設置を 1 人でも出来るようにしたい。 (空いたペットボトルに水を入れて置き、その水をトイレなどに予めおいて置き、水の うに使用。ビニール袋も一緒に保管。)
・洗濯機の排水溝からの逆流に関して(引き続き調査)。
・水の元栓の位置の確認。(水の元栓の場所が分かっていなかった)
・避難先カードをヘルパーに作ってもらう。
・避難する時に一番後ろがお父さん、息子さんが左右に動くので左右に動く、お父さん も周りの状況が分からないので、最後に歩く殿(しんがり)が必要。
・先頭を歩く介助人も杖などで道を確認する必要がある。(水が溜まっている時は)
・先導をする人から順に、逆「く」の字になって連なって歩く。
・先導してくれる人の対応によっても歩きやすい歩きにくいがあると思うので、今回先 導してくれた藤村さん以外でも体験をしてみると良い。
・ご家族にも水害時にはスニーカーを履く、ということを共有したい。
・避難バッグに常に入れておくもの、その日入れるものを分かるようにしておきたい。
・カッパを着るタイミングとガス・電気を止めるタイミングは入れ替えた方が良い。

おわりに・・・

今回の訓練では、水島さんの地域の民生委員さんが参加、コロナ禍で民生委員の交代があり、会う事が出来ていなかったが、今回の訓練をきっかけに偶然会う事ができた。当事者の地域でサポートするメンバーが動くことの大切さを感じた。近隣住民・地域(自治会長さんや自主防災組織)との連携を更に強化していきたい。

メディア取材

この模様は、
RSKイブニングニュース
KSB瀬戸内海放送の当日夕方のニュースで放送されました。
各社のWEBサイトにも掲載されています。

RSKイブニングニュースはこちら

KSB瀬戸内海放送の記事はこちら

YouTube動画

避難訓練の模様をまとめた動画を作成致しました。
災害対応パーソナルブックの利用の仕方なども載せております、ご参考にして下さい。

TOP