【貧困問題対策委員会】レポート 土屋とD×P ~若者の貧困問題に対して企業は何ができるか~

【貧困問題対策委員会】レポート 土屋とD×P
~若者の貧困問題に対して企業は何ができるか~

開催レポート

貧困問題対策委員会では2025年2月27日、孤立するユース世代(13歳〜25歳)の支援を行う認定NPO法人D×P (大阪市中央区、以下D×P)理事長の今井紀明氏を招き、

企業による若者の貧困問題への支援の可能性や、企業とNPOとの連携、当事者の声をより活かした支援のあり方を探るべく、イベントを開催しました。

「若者の貧困問題に対して企業は何ができるか」をテーマに開催された当イベントでは、市区町村の議員や自治体、大学関係者など、総勢144名の方にご参加をいただき、

D×Pの支援内容、企業とNGOとの連携のあり方、企業が果たせる役割など、さまざまなトッピクスが取り上げられました。
質疑応答でも多くの質問が寄せられ、実りある盛況なイベントとなりました。

認定NPO法人「D×P(ディーピー)」公式サイト:https://www.dreampossibility.com/

登壇者

  • 今井紀明 氏(D×P理事長)
  • 宮本武尊(株式会社土屋 貧困問題対策委員会 委員長)
  • 司会:澤田由香(CSR委員会推進室 副委員長)

開催概要

目的:企業とNPOがどのように連携し、若者の貧困問題に取り組めるかを考える
開催日: 2025年2月27日
開催場所:オンライン
対象:外部ならびに土屋グループ全従業員

テーマ

「若者の貧困問題に対して企業は何ができるか」

  1. 企業としての若者の貧困問題に対するアプローチ
  2. 若者の貧困問題における企業の役割
  3. D×Pの支援に対する企業側の具体的なサポート
  4. 支援に取り組むことへの企業側のメリット
  5. NPOと各所の連携のポイント
  6. 質疑応答

イベント概要

1.企業としての若者の貧困問題に対するアプローチ

当委員会委員長・宮本からは、企業としてのアプローチについて、まずは経験・知識ともに豊富なNPOとの関りを持つことが良いのではという見解が出されました。

今井氏によると、ここ数年、大手企業のみならず中小企業の経営者からも同様の問い合わせが増えており、企業側から「我々も何かしなければ」との思いが非常に高くなってきているのを感じるとのことです。

2.若者の貧困問題における企業の役割

企業の役割として、今井氏よりそれぞれの企業のもつ独自のネットワークの有効性が挙げられました。

NPOだけではなかなかリーチできない若者たちがいる中で、D×Pでは連携しているカラオケ店舗でのポスター掲示に効果が見られることから、

企業とNPOとの連携においては、企業側の持つリソースや社会的なつながりをいかに使っていくかが、高い社会的価値をもつとされました。

3.D×Pの支援に対する企業側の具体的なサポート

数多くの支援活動を行うD×Pへのサポートとして、当社および当委員会でも寄付や食料支援活動への社員ボランティアの派遣を実施していますが、その他にも宮本より雇用面(資格取得や職場体験)からの支援提示がなされました。

今井氏よりは、職場体験の価値もさることながら、若者に自立を促す取組みの一つとして、パソコンの購入が金銭的に難しい若者に対してパソコンを寄贈することでベーシックな生活環境を整えることの必要性が挙げられました。

これについては、当委員会でもパソコンを寄贈する予定であることから、今後の流れについて話が交わされました。

また、社会の中で居場所やつながりがそぎ落とされて続けている現状がある中で、現在NPOや地域の方々がそれらを再構築している途上にあり、D×Pも10代の孤立の解消のために寄付を元手に居場所づくりの活動をしているとのことです。

そうしたことから、今井氏は企業のできることとして、とりわけ“寄付の重要性”について述べられました。

さらに、NPOでは人材のリソースも不足していることから、最近、D×Pでも企業側からの出向に向けた取組みを始めているとのことです。

D×Pでは主に、財務系・物流面でのCFO的な人材不足が課題のため、企業側からの出向により財務面の確立や業務効率化を図っており、

そうしたことから企業側としてのサポートとして、ひと・もの・お金・実業の部分など、様々な側面があると語られました。

4.支援に取り組むことへの企業側のメリット

当委員会では先日、D×Pの現場で配送物の仕分け作業を行い、社員から「モチベーションが向上した」と声が多く上がっています。

こうしたことから、宮本より、企業が長く支援に携われるポイントとして“モチベーションの向上”が提示されました。

今井氏も、NPOと連携することで当該企業の社員の“自社に対する誇り”や“満足度”の向上、採用への影響も耳にしているほか、出向により自社の課題発見の声も上がっているとのことで、それが企業側にとってのメリットだと感じるとのことです。

企業側においては“新しい視点・キャリア・ビジョン”を見出すことができ、NPO側にとっては“社会への価値発見”を感じられることから、双方がいかにより良い方向性を目指しつつ連携・活動できるかがポイントだと述べられました。

5.NPOと各所の連携について

D×Pでは現在、地域の枠を超えて行政とオンライン相談などで相互支援を行ったり、教育機関やコンビニエンスストアと連携して学内や店舗にポスターを掲示しているとのことです。

今井氏によると、地域によっては地縁が強すぎることもあって他県のNPOの方が相談しやすかったり、相性などもあるため、当事者が自分の道を見つけるためにも、

多様なNPOのあり方、二重三重のセーフティーネットという網目のような支援など、地域を越えた連携が一つの価値と考えられるとのことです。

6.質疑応答

質疑応答では、「社会の再構築をいかにしていけばいいのか」、「行政による若者の貧困対策の必要性」、「支援団体を立ち上げるために仲間を集める方法」、「子ども食堂に足を運んでもらうには」など様々な質問をいただき、

今井氏はこれまでの経験や現在の取組みを交えつつ、ポイントや方法について具体的かつ実際的な回答をくださいました。

本イベントは、若者のリアルな現状とそれに対するD×P今井氏の取組みや考えを通して、企業がいかに社会課題の解消に向けた支援を行えるのかについて、貴重かつ実践的な指針がもたらされる場となりました。

【貧困問題対策委員会委員長・宮本武尊よりご挨拶】

若者の貧困問題は社会全体の課題であり、企業が持つ多様なリソースは、その解決に不可欠です。
今井理事長のご講演は、単なる慈善活動ではない、企業と若者双方にとって持続可能な貢献のあり方を提示してくださいました。

雇用創出、職場体験、IT支援といった具体的な提案は、若者の自立を促す上で重要な鍵となります。

当委員会としては、今回の議論を踏まえ、企業がそれぞれの強みを活かし、より効果的な支援策を講じられるよう働きかけてまいります。

D×Pさんをはじめとする関係機関との連携を強化し、若者が希望を持てる社会の実現に向けて、委員長として尽力していく所存です。

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