【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2024年7月18日

【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2024年7月18日

開催概要

開催日時:2024年7月18日
開催場所:オンライン

当日のアジェンダ概要

  1. 現在一番対応に困っているクライアントについての検討・ディスカッション

当日の定例レポート

当日の定例ミーティングでは、「現在一番対応に困っているクライアント」について、まずは各事業所から概要と課題が提示されました。

出席者より質問も多く出され、検討・ディスカッションは次回以降に持ち越される形となりました。

<現在一番対応に困っているクライアントについての検討・ディスカッション。>

デイホーム

<概要>

〇80代女性・アルツハイマー型認知症。ほぼ見守りが必要。

利用頻度は週1回(週3回の利用だったが、認知症の進行で、先月から他の認知症対応型デイサービスに週2回通っており、トータルで週3回となっている。)

<内容>

当事業所を利用して1年ほど経つが、ここ半年は利用拒否がよくあり、声掛けを工夫してもなかなか利用につながらない。

「用事がある」「行きたくない」などと言われたり、色々な理由を付けられてよく休まれることがある。

<質問による補足>

・利用拒否に関しては、利用日にお迎えに行き、その場で拒否される。
やり取りは長い時では10分くらいかかるが、それでも難しい場合がある。

・利用になっても、家の鍵や息子さんのことが気になるなどで、1時間ほどで利用が終了することもある。

・当事業所での過ごし方は、スタッフとの会話やレクリエーション、機能訓練や入浴が主。
何もしない時間があれば、色々と思い出すことで不安になられるので、時間を過ごせる工夫をしている。
自主的に集中して好きなことをするなどはあまりない。

・当事業所を利用中に「用事がある」などと帰宅の意向を示すのは、突発的で、何もしていない時が多い。

・入浴に関しては、以前はスムーズに行えていたが、3か月ほど前から拒否が出てきている。

<課題>

以前は受け入れていた介護やデイサービスを、なぜか半年~3か前から徐々に受け入れなくなってきた。

<感想>

利用拒否が認知症の進行によるものか、環境変化によるものかの分析が気になる。

どのような中核症状があるかを元に推察することが必要。状況の変化や経過を見て、さらに事例を紐解いていければと思う。

グループホーム

<概要>

〇60代男性・アルツハイマー型認知症。

声掛けや見守りをすれば、大体のことは自身でできる。着衣に一部支援が必要。

<内容>

1か月ほど前に入居された方で、「帰らせてください」「私は駄目なんです」など強い口調で言われ、出口を探したり、他の方の部屋に行き口論になることがある。

また、実際に外に出て行かれて探しに行くこともあった。
“ひもときシート”を使用して職員で話し合いをしている。

ご本人としては「ここはどこなのだろう」「安心できる場所なのか」という「不安」が強いと思われる。
そうしたことから、「一番苦しんでいるのはご本人である」と考え、肯定的な言葉がけをしている。

女性スタッフが「怖い」と委縮してしまうところがある中で、平常心での対応も試みたものの上手くいかず、スタッフの肩を叩いて呼んだり、声が激しくなることもあり、医療職などに相談して薬を調整してもらっている。

それでも、面会や他の利用者の訴えが多いなどで周りの環境が賑やかになった際や、コミュニケーションにずれが生じた時、注意された時など、環境の変化で気分が変わってしまう傾向も見受けられるため、感情の起伏をなだらかにするような対応を取るなど、色々と試している。

<質問による補足>

・スタッフは、声を荒げられたり、行動を止めた際に手を出されるなどで、「どうすればいいのだろうか」と迷いのある状態が続いている。

・介護経験が長いスタッフは、ご本人の状態に関して、認知症の面よりも精神的な部分が多いと感じている。

・介護経験の短いスタッフが多く、入所したばかりで落ち着かない状態の方の対応に慣れていない。

・自分を否定したり、卑下することが多いので、スタッフから「現役時代に、認知症の症状により、周りから色々なことを言われていたのではないか」という意見も出ている。

・ご本人も色々と楽しくお話しされることもあるが、大声で笑うなど盛り上がると、その後、静まった際に不安が引き起こされる。

・興奮状態になった際の具体的な出口や支援の統一としては、楽しくもなりすぎず、落ち込みすぎずというように、気分が波にならないような対応を心がけている。

それでも気分が変わってしまった際には、周りの人とトラブルにならないように付き添って、ご本人の気持ちが納得するまで、スタッフ皆でその行動を見守っている。

<課題>

当事業所が、ご本人にとって安心できる場所になっておらず、そこが一番解決したいポイントとしてある。

<感想>

・“ひもときシート”まで使用して、話し合いをしているのがすばらしい。

・「帰らせてください」「私は駄目なんです」などの発言は、不安から焦燥感に駆られて興奮状態になってきている状態と思われる。

・ご自身が認知症であることを分かられているのかが気になる。

定期巡回

<概要>

〇男性。腸閉塞のため人工肛門を増設し、退院後の今月よりサービスを開始

<内容>

増設された人工肛門の痛みが継続しているので、胸に麻薬を貼っている。

それでも痛みが続く場合は頓服の痛み止めを服薬するが 副作用で強い吐き気が出るので緊急通報装置を鳴らされることがよくある。

ただ、介護でできるところがどうしても少なく、介護職員も痛みの理由の判断ができないので、バイタルを測定してそのまま訪問看護(訪看)に相談して指示を仰ぐことしかできず、そうしたことより、最近はご本人も緊急通報装置を鳴らさずに、直接訪看に連絡するようになってきた。

本来のサービスの流れとしては、介護職員が状況を把握し、情報をまとめた上で訪看に相談するのがセオリーだが、ご本人としては、すぐに指示をもらえるので訪看に第一報を入れている状況。

介護スタッフとしては、介護で何かできないものかと考えたり、寄り添うことしかできないという葛藤、無力感があり、スタッフも「もう少し私たちが寄り添ったら、私たちを頼ってくれるのかな」と思っている。

また、訪看の負担も大きくなってきたので、事業所として訪看と連携して、全体で上手くご本人を支えていけないかというのが課題になっている。

<質問による補足>

・以前は緊急通報装置が鳴らされた際は、ご本人から「痛みや吐き気がある。どうすればいい」という内容だった。

・日常生活で困っていることなど、介護の領域に関しても、訪看に頼むことが多くなっている。
例えば、痛みなどを訴えたついでに買い物を頼むなど。

・緊急で呼び出されるタイミング以外の、定期的な訪問は週3回で、掃除と買い物代行。週2回は訪看でストマの管理。

・訪問回数の介入を増やした方がいいのではと、ご本人に相談したが、あまり人に来てほしくないというところがある。また、情報共有を不快に思われる。

・退院は3週間ほど前。痛みのコントロールと、人工肛門の周りの皮膚の状態が安定したので退院したという経緯がある。

<課題>

ヘルパーさんの無力感・切なさのケア

<感想>

・ご本人目線では、希望が叶えられていて、良い体制が整っている。ヘルパーさんのケアが課題であれば、来てくれるだけで存在意義があると思われる。

痛い時にさすって欲しいとか、文句や不満を聞いてもらいたい時もあると思うので、そういうことを受け止める存在でいいと思う。

・介護保険サービスを始めたのが最近であるなら、サービスの理解ができていないところがあるのかもしれない。

小規模多機能

<概要>

〇80代女性・アルツハイマー型認知症。一昨年に脳腫瘍の放射線手術を受ける。

自宅で一人暮らしをしていたが、転倒による胸腰椎の圧迫骨折で入退院を繰り返していた。

娘さんが仕事の行きかえりに通って介護をし、他にも複数の事業所の訪問介護を利用しながら在宅で生活していたが、全額負担の部分が多くなったことで在宅継続が困難となり、当事業所の利用を開始。

<内容>

当事業所で歩行訓練や体操をし、下肢の力が強くなってきたのはよかったが、立ち上がって歩行器を使用しながら一人で移動しようとすることが多くなってきた。

排泄に行かれる回数も増え、膝折れの恐れがあるので、転倒防止で職員が付き添っている。

複数の職員がいる日中は問題ないが、夜勤・早朝帯にスタッフが就寝介助やコールで他のご利用者の居室に入る際、ご本人はテレビをご覧になっているなどでフロアにおられることが多く、スタッフの見守りがない間に、急な立ち上がりなどで転倒や事故につながらないか、心配な状況。

<質問による補足>

・コミュニケーションに関して、複雑な会話は難しい。
自分から話しかけることはあまりないが、話しかけられると「うん、うん」「そうね」など、二言、三言、言葉を返される。

たまに気が向くと歌を歌ったりなどし、穏やかに過ごされている。

・泊りを週の半分ほど利用している。居室環境については赤外線センサーを張っている。
ベッドから降りる際は、足が床につく前にセンサーが反応してスタッフが駆けつけている。
夜間の排泄はスタッフがついて移動している。

・居室の壁面に長いL字バーが付いている程度で、出入り口までのバーはまだ設置していない。
1人で動くのは難しいが、スタッフが傍についていないと、1人で動くこと自体が危ないような足の状態。

・プロテクターや帽子などは付けていない。

<感想>

ご本人に元気になっていただき、良いパターンが作れたと思う。あとはリスクマネジメントを作る必要がある。

グループホーム


<概要>

〇70代男性・アルツハイマー型認知症。ADLはほぼ自立。

・発案者がリーダーということですが、スタッフがリーダーの提案に乗ってくださるのは、いい関係が作られていることでもあるので、素晴らしいと思います。

60代半ばで認知症の診断を受け、1年ほど前から高齢者ケアハウスで生活。

就労支援所に週5日、デイサービスに週2回通っていた。今月より、当事業所に入居。

<内容>

入居後、毎日5時に起床し、身支度を開始。

とはいえ、見守りの観点から早朝からの外出が難しく、職員の朝食や他の入居者の支援後になることへの理解も困難な状況。

リロケーションダメージ(施設入居や引っ越し等、急激な環境の変化でストレスがかかることによって、心身に悪影響を及ぼすこと)が見られるため、その軽減が現在の課題。

<質問による補足>

・会話が一方通行で、キャッチボールが難しい。自分のことは話されるが、こちらの話を聴いてくれない。

・情報シートを現在収集中だが、心を開いてくれないので困っている。

・ご家族が心配し、泣いたり落ち込んだりするような感じで連絡がある。

<感想>

・リロケーションダメージは想定されることで、経過を見る必要がある。できることはされていると思う。

・対応策を進めて欲しい。

全体を通してのまとめ

各事業所がそれぞれに抱える課題を提示し、委員会メンバーから出された様々な質問に答えることにより、各事業所にとっても課題に対する捉え方が深められるミーティングとなりました。

時間に限りがある中で、今回提示された各課題についての検討・ディスカッションは次回以降に持ち越される形となりました。

 

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