【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2026年2月19日
開催概要
開催日:2026年2月19日
開催場所:オンライン
当日のアジェンダ概要
- 現場や記録で使用する文言を考えよう(小川委員長)
- 地域活動について(定期巡回)
- 沖縄プロジェクト(定期巡回)
- 「失敗から学ぼう、気軽に語ろう」第2弾
当日の定例レポート
本定例会では、記録用語の見直し、地域活動の推進、沖縄新規開設プロジェクト、失敗事例の共有を行いました。
日常的に使う「認知」「徘徊」などの言葉を問い直す視点が提示されたほか、認知症対応などの事例から、失敗を言語化し学びに変える組織文化の重要性を再確認しました。
現場や記録で使用する文言を考えよう(小川委員長)
日常的に使っている言葉を、改めて見直してみる
介護の現場では、例えば次のような言葉をよく使っていると思います。
- 「認知」
- 「徘徊」
- 「問題行動」など
記録や申し送りの中で、当たり前のように使っていると思いますが、入職して間もない方などは、これらの言葉に違和感を覚えることがあるかもしれません。
しかし、使い続けているうちに、だんだんと慣れてしまう――そういう側面もあります。
だからこそ一度、「この言葉、本当にこれでいいのだろうか?」と立ち止まって考えてみたいと思っています。
例①:「認知低下」という言葉
記録の中に「本日、認知低下が強く、食事介助に拒否があり、食べられませんでした」という一文があったとします。
この文章を見たとき、どんな利用者像が思い浮かぶでしょうか。
- 認知症がかなり進行している方なのではないか
- 説明しても意味が通じないのではないか
- 話が通じない人なのではないか
私たちは日常的に使っているため違和感が薄れていますが、経験の浅い職員や新人の方がこの文章を読んだ場合、そのように受け取る可能性は十分にあります。
例②:「徘徊」という言葉
例えば記録に、「23時から2時まで居室外を徘徊」と書かれていたとします。
「徘徊」という言葉は、
- 危ない人がうろうろしている
- 危険な状態
- 止めなければならない問題行動
といったイメージを持たれやすいので、ご家族が記録を見てショックを受けるかもしれません。
しかし実際には、「トイレを探していた」「家に帰る時間だと思い、出口を探していた」など、その方なりの理由や背景があるはずです。
それを省いて「徘徊」という一語で表現したとき、あまり良いイメージでは受け取られない可能性が高いと思います。
まとめ
「この言葉はどうなのか」、それを問い直すことは非常に重要です。
今、現場で使っている言葉の中で、
- いつも使っているけれど、少し違和感がある
- 本当はあまり良くないのではないかと思っている
- 別の言い方にできないかと感じている
などがあれば、それを皆さんとともに考えていきたいと思います。
地域活動について(定期巡回)
開催予定日:2026年2月24日
研修テーマ:「地域とつながる道を考える~困ったときに頼れる関係はどうすれば作れるのか~」
地域活動とは
「地域活動」と聞くと、ハードルが高い、忙しくて時間がない、という印象を持つ方が多いと思いますが、地域活動は「業務の一部」にできるものです。
そして、誰かのためにしたことが、巡り巡って自分に返ってくるものであると思います。
今期のロードマップ
- 2025年12月:第1回アンケート
- 2026年1月:第2回アンケート
- 2月:キックオフ研修・地域活動事例の発表
アンケートについて
第1回アンケート結果(管理者層以上:35名)
質問内容:「地域活動に関心がありますか?」
関心はあるが時間がない:17名
関心なし・知らなかった:1名
第2回アンケート結果(管理者層以上:34名)
質問内容:「地域活動の経験はありますか?」
経験なし:13名
結果分析
多くの方が地域に溶け込むことの意義を感じていることが分かりました。
ただし、「時間がない」という課題は大きく、委員会としてもサポートが必要だと感じています。
アンケート結果を受けて
地域活動は、行政主催の大規模イベントや認知症カフェの開催といった、大きな取り組みだけを指すものではありません。
例えば、グループホームで隣室同士の交流を促すことや、独居高齢者に声をかけること、玄関掃除をするといった日々の小さな行動も、立派な地域活動です。
実は、日常業務の中にすでに地域活動が含まれている場合もあると思います。
「何か大きなことをやらなければならない」と感じている方が多い印象がありますが、本研修では、小さな取り組みも地域活動であり、その積み重ねが巡り巡って自分たちに返ってくる、というメッセージをお伝えしたいと考えています。
そして、“無自覚に取り組んでいる行動にも価値がある”という「気づき」につなげていきたいと思っています。
なぜ地域活動に取り組むのか
地域包括ケアシステムには「自助」「互助」「共助」「公助」の4つがあります。
私たちは主に「共助」の領域ですが、地域活動によって「互助」(ご家族や近隣の方によるサポート)の領域ともつながることができます。
それにより、新たな支援の視点、モチベーション向上が可能になります。
管理者目線と介護者目線でのメリット
*地域活動により、顧客創造、働き方のメリハリ、新しい視点=「気づき」を獲得できます。
事例紹介(グループホーム)
内容:アテンダントが近隣小学校周辺でゴミ拾いを実施。それにクライアントが共感し参加。
・クライアントの社会参加意欲向上
・アテンダントのモチベーション向上
・ステークホルダーからの評価向上
*小さな行動から、大きな価値が生まれました。
まとめ
地域活動は背伸びしなくていい。小さなことからでいい。
楽しむことが大切です。
そして、「余裕があるからやる」のではなく、業務としてやりくりをすることが大切です。
地域活動はすぐに成果が出るものではありませんが、結果として「困ったときに助けてくれる関係」が築かれます。
月に3時間でも積み重ねれば必ず成果につながります。
誰かのための行動は、巡り巡って自分に返ってきます。
事業所内だけでなく、地域にも「困ったときに頼れる仲間」を増やし、一緒に地域活動の輪を広げていきましょう。
参加者からのコメント
・私自身、かつては地域活動について特別な意識を持っていませんでしたが、視野を広げてみると、地域で活動していくことも私たちの大切なミッションの一つだと感じるようになりました。
こうした文化が組織の中に根づいていけば、とても素晴らしいことだと思います。
大切なのは、小さなハードルを一つひとつ越えていくこと。
それを上司やリーダーがきちんと認め、承認する循環をつくること。
その積み重ねが文化として定着していくのだと思います。
「なぜやるのか」ということを常に意識しながら取り組むことを、私の会社でも大切にしたいと感じました。
・今、社内で検討している取り組みがあります。
事業所周辺の街路樹の下が草で覆われているので、行政の許可が得られれば、草取りをして花の苗を植えてみようと考えています。
そこが私たちの花壇のような存在になり、日々の手入れの中で町の方との会話が生まれるきっかけになればと思っています。
ゴミ拾いだけでなく、花で町を彩るのも面白い地域貢献の形だと思います。
沖縄プロジェクト(定期巡回)
背景
2026年3月1日に、沖縄にて新事業所が開設するにあたり、「これまでの事業所開設とは少し異なる動きをしてみよう」という取り組みです。
これまでの開設では、どうしても管理者に負担が集中しがちでした。
そこで今回は、
- 管理者だけに任せるのではなく、マネージャー陣も含めてサポートする
- これまでの開設経験を活かす
という体制で取り組むことにしました。
目的
- 管理者の過度な疲弊を防ぎ、適切な事業所運営を実現すること
- 会社全体のキャリアアップの流れを止めないこと
具体的な取り組み
- 市場の正しい調査
- 多くの方に集まっていただけるイベントの開催
- 勉強会の実施
- 事業所の特徴の周知活動
今後の展望
開設から半年を目標に、黒字化を目指しています。
今回の取り組みで成果が出れば、他の定期巡回事業所にもこのモデルを展開し、サポートしていきたいと考えています。
「失敗から学ぼう、気軽に語ろう」第2弾
①グループホームより
取組内容:毎週1回、豪華ランチまたは豪華ディナーを提供する
グループホームにて食材料費が比較的多く余っている状況があり、ご入居者の皆さまからお預かりしている食材料費をできるだけ無駄なく活用し、すべて還元していこうという取り組みを、昨年11月〜12月頃からスタートしています。
今回のチャレンジ:お寿司の提供
「豪華メニュー」として、少し良いお値段で、ネタも大きくて美味しいお寿司を提供しました。握り寿司のほか、鉄火重やちらし寿司などのお重メニューもあり、種類も豊富です。
本来であれば、お一人お一人にご要望を伺い、メニューを選んでいただくのが理想だったと思います。
しかし今回は時間の都合もあり、私の判断で、
- 握り寿司:約5食
- お重物(ちらし・鉄火重など):約5食
という形で半々に注文しました。
起きた“失敗”
「好みが分かれるかな」「お重物を選ぶ方もいるかな」と想像していたのですが、実際は皆さん、「握り寿司がいい!」という結果でした。
そのため、握り寿司に希望が集中する状況になってしまいました。
ここが今回の失敗でした。
失敗からの学び
この経験を踏まえ、来週は改めて、お一人お一人に食べたいものを選んでいただく形で提供しようと考えています。
参加者からのコメント
自炊が多いことが一番の要因かもしれません。
そこで、「少し高級なもの」「ちょっとした贅沢」を取り入れることを考えていますが、月に一度お寿司を注文したとしても、食材料費が余っていく状況です。
そのため、単に注文するだけでなく、職人さんをお呼びするような形もありなのではないか、と考えたりもしています。
何がうまくいかなかったのかを言葉にできれば、それが次の成功につながるからです。
私たちの事業所では、半年に1度「失敗報告月間」を設けています。
ミーティングで「今日の私の失敗はこれです」と必ず一つ発表し、みんなでコメントしています。
そうすると、「あの人は気づいていないのかな」と思っていたことに、実は本人がちゃんと気づいていたことが分かります。
言葉にして次のアクションを示すことで、周囲も安心します。
小さな失敗をさらけ出すことが、みんなの安心にもつながるので、心理的安全性の面でも、とても良い取り組みだと感じています。
②過去の経験より
私は20数年間、施設系で勤務してきました。
その中で一番大きな失敗だったと感じている出来事があります。
新しく入所されたクライアントの方が、なぜか最初から私にだけとても心を開いてくださっていて、入所初日からいろいろなお話をするなど、良い関係を築けたと感じていました。
ところが、その日の夕方に「財布がなくなった」とおっしゃったんです。
その方は認知症がかなり進行している状態で、一緒に財布を探して、最終的には無事に見つかったんですが、翌朝、廊下ですれ違った際に、その方から突然、「この泥棒が」と言われたんです。
おそらく、ご本人の中で、私が財布を取って隠したという記憶に変わってしまったのだと思います。
認知症があるので、時間が経てば忘れるのではないかとも思っていましたが、そのことだけは忘れられることがなくて、結果として、私だけがその方への支援をうまく行えなくなってしまいました。
それが私にとって一番大きな失敗だったと感じています。
参加者からのコメント
顔を覚えてもらっているからこそ起きることもあると思いました。
ご本人の短期記憶の影響で、記憶が入れ違ったり、組み違えたりしてしまうことがあるのではないかと感じています。
けれど、頭ではそう理解していても、実際に「その方と顔を合わせる」となると、こちらもつらくなる部分があります。
とはいえ、施設系の現場ではどうしても顔を合わせざるを得ないので、そのあたりの難しさを改めて感じながらも、もし私だったら、きっと次の日も、自分で自分の背中を少し押しながら、その方のところへお話しに行くのだろうな、と思いながら聞いていました。
認知症のある方が、一番信頼していた職員を「盗った人」と思い込んでしまうことは、実は珍しくありません。
私の身近な事例では、その出来事をきっかけにデイサービスを変えてしまったご入居者もいました。
その方が、「信じていたのに」と泣き叫びながら事業所に飛び込んできたことは忘れがたいです。
どうすれば防げたのか、今でも答えは見つかっていません。
だからこそ、簡単に「失敗」と言い切れない、心残りのある出来事でもあります。














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