【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2025年4月17日

【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2025年4月17日

開催概要

開催日:2025年4月17日
開催場所:オンライン

当日のアジェンダ概要

  1. 前回の課題の進捗(グループホームの入居率・チームビルディング)
  2. クライアント支援における課題相談(グループホーム)
  3. 高浜将之委員長による総括

当日の定例レポート

当日の定例ミーティングでは、前回の課題に関して、新たに実践的な顧客創造活動やチームビルディングの提案が数多く出されました。

相談者からは、着実にアドバイスを実行していく意気込みが感じられたほか、参加者から新しい相談も報告され、委員会メンバーによる有益なアドバイスが多く示されました。

1.前回の課題の進捗(グループホームの入居率・チームビルディング

<前回の課題>
2025年1月よりM&Aで土屋グループの子会社となったグループホームです。
1ユニット9床の事業所で、現在2床のみ埋まっている状況です。

クライアント数の増加を第一の課題に掲げていますが、アテンダント同士の関係性も最優先の課題となっています。

<前回からの進捗>

顧客創造:
ユニットで埋まっているのが2床のみと、現状変化ありません。

相談も1件もなく、厳しい状況の中、「どうにか、誰でもいいから」という思いで顧客創造に励んでいます。

顧客創造部と密に連携を取り合っているほか、ホーム内の修繕や清掃が必要な箇所の手入れをしています。

今後とも、ホーム内の清潔を保ちつつ、顧客創造をしっかり進めていきます。

チームビルディング:
土屋グループの子会社となった後も、「土屋の社員」という意識がつかめていない方も数名おられます。

ただ株式会社土屋の理念の浸透や、皆で同じ方向・ゴールに向かって進むという意識の変化が目に見えて現れていると感じるので、来月のMTGでは1つでもいい報告ができるように頑張ります。

<質問による補足>

・現在入居している2名の方は介護度4で、常に車椅子上で生活されています。
・見学者から「ここに親を入れて話し相手がいるのか、楽しめるのか」という不安が感じ取れるので、そうした際には「現状2名だからこそ、早くなじめて生活しやすい環境になっています」というご説明をしています。

・個人的に今後も忘れずに大切にしていきたいのが「自由さ」です。

当初グループホームは介護施設という認識でしたが、認知症について勉強する中で最も衝撃を受けたのが「グループホームは施設ではない」ということでした。

入居者さんがお風呂に入りたいときに入り、ご飯を食べたいときに食べる。
その方の生活だからこそ、その方が決める。

「自由に生活できる」という入居者さんの意思、尊厳を尊重することが強みだと考えています。

・感染症の影響で、面会・外泊・外出制限のあるグループホームが多々見受けられますが、当グループホームは外泊の制限もなく、アポなしで面会もできます。人数制限もありません。

<委員会メンバーよりコメント>

▸顧客創造について

・グループホームという生活の場を期待して来られる方は、入居者の方々が家事や買い物をして生き生きと生活されているイメージを持たれていると思いますが、まだ2名ということでそことのギャップがあり、それが課題のような気もします。
・当グループホームにお邪魔して、すごく温かい感じが印象的でした。
・ホーム長の人間性が伝われば、見学もどんどん増えて契約につながると思うので、今は焦っているかもしれませんが、「絶対に大丈夫」と自信を持って顧客創造を続け、スタッフにも「大丈夫」と言い続けるとよいと思います。

・事業所の様子を可視化するのもいいと思います。

入居者さんが食べたいときに食べている場面の映像などを撮りためて、営業先で見ていただくことで具体的に伝わりやすいと思います。

・グループホームは一時期開設ラッシュの時期があり、今はどの自治体でも頭数が足りて空きが出てきている状況にあります。

その中で自分のグループホームを選んでもらわなければいけないところに来ていると思っています。

そのためには、「家族を任せるに値するかどうか」という評判が大切ですが、まずはケアマネさんがその入り口になるので、ケアマネさんに「ここならいいよ」と思ってもらう必要があります。

数あるグループホームの中で、ケアマネさんの頭に真っ先に自分の顔を思い浮かべてもらうことが重要だと思います。

私は上司からよく「とにかく利用者さんと地域に出ること。認知症になってもこれだけ自由に生きていけることを積極的に見せていってほしい」と言われていました。

そうすれば、地域で暮らしている姿をみなさんに見てもらえて、「あそこ楽しそうでいいよね」と地域の人に思ってもらえます。

時間のかかる顧客創造ですが、長期的に見れば、それが大事なことだと思っています。

▸チームビルディングについて

・見学があった際には、みなさんで「こんにちは」「ようこそいらっしゃいました」という気持ちを言葉や態度で現わすことが大切だと思います。

それをすることで現場に一体感が生まれると思いますし、お客様を前にして上手く話せない時には、ご入居者が楽しんでいる様子を撮影した写真を使うのもいいと思います。

・職員に「ここの事業所の売りはなに?」と期限付きで考えてもらい、みんなが説明できて、同じように思える形を作り上げることでチームがまとまると思います。

・事業譲渡という経緯もあり、アテンダントの中に土屋の理念、介護保険、グループホームに関して腑に落ちていない方がおられ、ホーム長が苦労しています。

その方に対してホーム長も一生懸命時間をかけてくれていましたが、MTGで「そこに時間をかけても結果が出ないことが多いので、土屋の理念に共感して変わっていくことに前向きな人たちをとにかく大事にしよう」ということになりました。

その人たちが事業所のレベルを引き上げてくれる中で、最終的に変われなかった人がどう自分を見つめるか、そのタイミングで関わっていくと効果が出ると思います。

・見学があった時に、チームでどういうお迎えの仕方をするかの作戦会議をするのもいいと思います。

私のグループホームの売りは、毎日お昼ご飯をみんなで調理するところなので、その時間帯に見学に来ていただき、時には参加もしていただいています。

スタッフに見学者がどのような方かを共有して、私がご家族の対応をして、スタッフにはご本人と調理をしてもらうなどの役割分担をしています。

そうした分担があると、チーム感が生まれると思います。

・ホーム長の負担軽減のために、ナンバー2となる人を作っていくのもいいと思います。

また、一緒に物事に取り組んでくれるスタッフの数を増やすことで、あまり馴染めていない人もしぶしぶ輪の中に入って来ることもあるので、そうした方々の母数を増やすことから始めるのもよいと思います。

2.クライアント支援における課題相談(グループホーム)

<相談内容>
74歳、男性、介護度1の方です。帰宅願望が毎日3~4回あり、不穏な状態になられます。

フロアから出て行かれようとするので、お声がけなどで戻っていただくよう促しますが、手を振り上げるなど威圧的な態度を取られます。

体に触ると振りほどこうとされ、スタッフが叩かれることもあります。
その対応に20~30分かかり、スタッフの手も取られるので苦慮しています。

<質問による補足>

・不穏になられる時間帯は食事前後です。

・入居は約1年前です。

当初はコロナ禍でほとんど室内にいらっしゃいましたが、その頃からクローゼットに閉じこもったり、手を振り上げたりもされていました。

不穏の時に声を掛けると、物に当たって蹴飛ばしたりする状態ではありましたが、それが強くなったのは今年に入ってからです。

・もともとは一人暮らしでしたが、数年前から3年ほどご家族と暮らし、そこからケアハウスに移られたとのことです。

ただ、そこでも自分でできることが少なくなってきて当グループホームに入所されました。

・良い状態の時もあります。
すごく穏やかにレクリエーションに参加されたり、買い物に一緒に行ったりもしています。
・最近、訪問診療に来ていただき、薬の調整中です。
弱い薬から始めて、3月に増量しました。ここしばらくは穏やかですが、様子見中です。
・作業所に週3回通われています。そうした時は、「今日はお昼から仕事がありますよ」と言うと安心される感じです。

<委員会メンバーよりコメント>

・環境に対するご本人の信頼感が薄いと思われます。場所と人に信頼が置けていないからこそ出て行こうとされる。ご本人との信頼関係をどう作って、自分たちをどう信じてもらうかが必要だと思います。

・食事の前後は職員さんが忙しい時なので、その方への目配りやアイコンタクト、コミュニケーションが減っていると思います。

それで落ち着かなくなっている可能性があると思います。

なので、その慌ただしさがご本人に伝わらない環境を作ったり、その時間にご本人と職員が一緒になって、その方が集中できるような作業を行ってもいいと思います。

私のグループホームでは、そういう方には調理に入ってもらっています。
そうすると、集中できる仕事があり、職員とずっと一緒にいられるので。

職員も怒られたりするのは大変ですし、どうせ人手を取られるのなら、穏やかに過ごしてもらえるための時間に人手を使うほうが、お互いにとっていいと思います。

・作業が一旦途切れた時に不穏になられるということなので、自分がすることがあれば穏やかだけど、周りが慌ただしい時に「自分も何かしないといけないんじゃないか、でも目の前にすることがない」という不安もあるのではと思います。

以前、食事と分かると帰宅しようとする方がいらっしゃいましたが、コミュニケーションを取った結果、食事の代金を払えないからということが分かりました。

その時は「すでに頂いています」とお伝えすることで落ち着かれましたが、なぜそうした状態になるのかをコミュニケーションの中で探っていくのがいいと思います。

<追加相談>

ご本人の機嫌のいい時に、「ここはみなさんの暮らしている家です」と言うと笑ってくださいますが、不穏な時にそういったことを伝えてもよいものでしょうか?

⇒この方は、恐らくスタッフの間でも怖がられていると思います。

そうすると、必然的にご本人とスタッフのコミュニケーションやアイコンタクトの機会が減っているとも思われます。

そうした中で、そういう人たちに「ここはあなたの家です」と言われても頭に来るだけだと思うんです。

それを言っても納得してもらえる関係性を作ることがとても大切で、その指標として85%ほどの関係性を目指すことが必要になってきます。

なので、現状の関係性はどのくらいか、それを60%、70%、80%にもってくにはどうしたらいいのか、そこを考えることが必要だと思います

【高浜将之委員長による総括】

まず1件目のグループホームの件ですが、M&Aをして2~3か月で軌道に乗るのはなかなかないことなので、そういった意味ではかなり順調に来ていると思います。

短期的ではなく中長期的な視点で、人材面を踏まえつつ進めていただければと思っています。

2件目のグループホームの件では、食事作りなどを一度全部オフにしてみてもいいのではと思います。
1日、2日でいいのですが、日常を壊すのも一つです。

当グループホームでは食事作りを大切にしているとは思いますが、それで入居者さんと関われなくなって、落ち着かない状況を招くとしたら、それはある意味、自分たちのグループホームの生活にクライアントを合わせている状況です。

もしその時間帯に人手が空くと、ご本人が快適に過ごせるかもしれません。
試しに1~2日、出前やお弁当にして、その人とがっつり関わってみる。

その人がイライラすると多くのクライアントにも影響するし、スタッフもつらいと思います。
一度オフにすることにより、結局関わらないことが問題だということが明確になる可能性があります。

その方に関わることによって状況を改善できるんだとしたら、グループホームの生活自体を根本的に考え直してみるのも一つだと思います。

ぜひそのような形でご検討いただければと思います。
そして、当委員会の研修になるべく多くのスタッフと参加してもらうのがいいと思います。

日々仕事をしていて大変だったりすると、どこに注力を置くかよりも、どう1日を終えるかに視点が向かいやすくなります。

現場以外の学びは自分自身のしていることを客観的に見直す機会になると思います。

我々も現場の悩み等々について、少しでもサポートできたらと思っていますし、そうした悩みに対しては一切批判するつもりはないので、積極的に参加して相談していただければと思います。

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