【高齢者地域生活推進委員会】第3回 勉強会レポート
テーマ
突然怒り出す人への対応 ~アンガーマネジメントとBPSD~
開催概要
日時: 2026年1月29日 (木)18:00~19:00
講師: 坂本孝輔氏(認知症専門の介護福祉士)
~「感情の爆発」という結果だけを見ない視点~
認知症の人が突然怒り出す現象を、単なる性格の変化や「不穏・暴言」という言葉で片付けてはならない。
その背景には、自らの感情を制御する機能の低下や、周囲に理解されない一次感情の蓄積がある。
介護者が「アンガーマネジメント(感情処理)の代行者」として、本人のプライドや孤独感に寄り添った要因分析を行うことが、安心できる環境作りの第一歩となる。
・アンガーマネジメント… 怒らない為の方法ではなく、怒りの感情をうまく処理すること
・BPSD…自動感情調整がうまく働かなくなり、自分にとっても不利益な行動
1.認知症における「怒り」(BPSD) 本来:怒り=生存に役立つ感情
認知症の人が突然怒り出す現象は、単なる性格の変化ではなく、脳の機能障害に伴う「BPSD(二次感情・怒り)」の一つとして理解する必要がある。
2. 認知症介護における「あるある対応」とその限界
現場で突発的な怒りやBPSDが発生した際、多くの介護現場で無意識に行われている対応には、長期的に見て深刻なデメリットが存在する。
よくある不適切な対応例
• 正論による説得: 感情的になっている相手に説明で納得させようとするが、聞き入れられず逆効果となる。
• 安易な静止: 理由を聞かずに「座ってください」「お茶をどうぞ」と落ち着かせようとする。これは本人にとって「軽く扱われた」という感覚を強める。
• 距離の確保: 刺激を避けるために接触を減らしたり、「腫れ物扱い」にしたりする。
• 属性への帰属: 「元々の性格だから」「元教師だから」と、個人のキャラクターや職業歴に原因を押し付け、深い分析を避ける。
• 不十分な記録: 「不穏」「暴言」といった結果のみを記録し、背景にある原因の深掘りを行わない。
不適切な対応がもたらすデメリット
本人: 分かってもらえないという不信感の蓄積、安心できる場所・人の喪失、自尊心の低下、レッテル貼りによる孤立。
職員: 根本解決に至らないためのBPSDの反復、緊張とストレスの増大、無力感によるやりがいの喪失、特定職員への負担集中。
BPSDを理解するために覚えておいた方が良いこと(事例より)
出来事:自分や大切な人の危険、プライド(尊厳)を傷つけられた、信念·期待を裏切られた
一次感情:不安·混乱·不快・寂しさ·焦り·恐怖
それを解決するために、
二次感情:として、怒り(BPSD)が発生
言葉でうまく伝えられないもどかしさが、攻撃的な態度として表れていることを認識しなければならない。
解決方法:その人らしい像と出来事、感情に配慮したケアをする
※ケアが必要なのは「BPSD」そのものではなく、その原因となった「出来事」と、それによって生じた「一次感情」である。
【結論】
認知症介護における「質の高いケア」とは、目に見える問題行動をどうにか抑制することではなく、自ら感情コントロールができない当事者の代わり、環境調整や接し方の工夫を通じて、当事者のアンガーマネジメントを代行すること。
そして、現場で起きていることを冷静かつ客観的に確認し、本人の身に起きている「出来事」と「感情への影響」をチームで整理する。
一度の対策で解決しない場合もあるが、分析とトライアルを繰り返すことで、当事者本人が居心地のよい居場所となるように環境や人間関係を構築していくことが求められる。
















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