【高齢者地域生活推進委員会】第5回 勉強会レポート 2026年3月19日

【高齢者地域生活推進委員会】第5回 勉強会レポート

テーマ

なぜ?高齢者がレクリエーションの参加を断る理由(わけ)~ その気持ち、一緒に考えてみませんか? ~

開催概要

日時:2026年3月19日(木)17:00~18:00
講師: 坂本孝輔氏(認知症専門の介護福祉士)

~単なる娯楽ではなく、心身を「レクリエーション=再創造(Re-create)」する視点~

レクリエーションの語源は「リ・クリエイト」。
病気や生活で消耗した心身を回復させ、明日を生きる活力を取り戻すプロセスである。

単なる楽しい暇つぶしだけではなく、「心身の活気を取り戻す」「友人が増える」「社会に戻る」という変化こそが目的なので、ゲームやエンタメといったものはそれを叶えるための手段の一つ。

本人の自発性を引き出すには、まず支援者が「安全基地」となり、信頼関係に基づいたアプローチを行うことが不可欠である。

研究結果では、下記のような結果が…

社会参加して地域生活をしている人 (参照:Glass et al., 1999)

・身体機能が維持できる
・生活機能が維持できる
・死亡率が低い

孤立している人 (参照:Holt-Lunstad et al., 2010)

・不安や機能低下を呼び起こす
・放置することで、更に孤立する
・(社会的繋がりが弱い人は)死亡リスクが約1.5倍高い

1.レクリエーション拒否の背景と心理的障壁

「やりたくない」という言葉の裏には、自尊心の維持や失敗への不安が隠れている。

・ 子供扱いへの抵抗 : 幼稚な内容が自尊心(品格)を損なうと感じる。
・ 失敗への不安と恥 : 過去の自分と比較し、人前で失敗することを恐れる。
・ 対人関係のストレス : 知らない人が多い(関係性が希薄)場所への抵抗感。
・ 意味の欠如 : 「なぜ…それを行うのか」という納得感の不足。

2.「子供扱い」と「童心にかえる」の違い

支援者は相手の尊厳を奪う関わりを避け、無邪気さを引き出す技術を持つ必要がある。

・ 子供扱い : 相手を未熟な存在として扱い、品格を損なう行為。
・ 童心にかえる : 気心知れた関係の中で、失敗を恐れず心から楽しむ「大人の嗜み・特権」。

3.レクリエーションによる社会復帰への3ステップ

集団活動が難しい場合は、1対1の関わりから段階的に進める。(まずは信頼できる人をつくる)

・ Step 1 : 1on1による信頼の回復:信頼できる人が人間不信を払拭し「安全基地」を作る。(愛着理論)
・ Step 2 : グループ参加:集団の中で所属感を実感し、他者と同調する楽しさを知る。
・ Step 3 : 地域・社会復帰:役割を獲得し、孤立リスクを解消。寿命の延伸に繋げる。

4.クライアントの心を動かす技術(心理学的アプローチ)

・いいひとメソッド信頼関係を構築し、ケアの成功率を高めるための技術。
・ユマニチュード (ケアの準備)短時間で安心感を与えられる方法。
・自己決定理論の活用「関係性(仲間・尊重)」と「自己効力感」を満たし、「自律」的な決定(行く!)を導く。
・ザイオンス効果(単純接触効果)接触回数を増やし、拒否感を安心感へ変える。(10回で好意度MAX)
・ゼロ秒コミュニケーション業務の合間のハイタッチやジャンケン等、短時間の接触で心の壁をとかす。
・I(アイ)メッセージ「レクの時間です(事務的)」ではなく、「(私が)あなたに来てほしい」と個人の願いで伝える。「あんたのたのみなら…」となる。

【結論】

レクリエーションの本質は「社会復帰へのプロセス」である。
集団に参加できない人に対し、居室を訪れるスタッフとの心地よい時間は、それ自体が立派な「1対1のレクリエーション」である。

孤立は死亡リスクを1.5倍高める。
まずはスタッフが「いいひと」として信頼の土台を築き、社会と繋がる第一歩を共に踏み出すことが重要である。

「何を言うかより誰が言うか」、「何をするかより誰とするか」 が大切!

以上

第5回勉強会ポスター

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