活動報告
「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」
2回目の会合に参加
2022年3月末、当社代表取締役・高浜敏之が「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」(内閣府)に参加。様々な業種の男性リーダーとのネットワークを深めながら、当社におけるジェンダー平等と女性活躍の取組みを加速することを目的に、今回2023年11月、2回目の会合に出席しました。
高浜代表レポート
■ 会合で受けた衝撃
第1回の会合では、ジェンダー平等の取組みにおいて成果を上げている大企業の女性経営者の講演が中心でしたが、2回目の今回は参加者によるグループディスカッションが中心で、大企業の経営者、自治体の長、大学の学長等、そうそうたる男性メンバーが各グループに分かれて様々なテーマについて議論しました。
参加者は大企業等のトップということもあり、ある程度高齢の方が多く、一見ジェンダー平等に興味のない、いわゆる「ザ・権威」の方々ではありますが、その彼らがジェンダー平等への取組みに“本気”であることが印象的でした。正直なところ、見た目と発言のギャップに衝撃を覚えましたね。
随所で昔ながらの問題発言はあるものの、“ジェンダー平等なんて無理だ、難しい”とは全く思っておらず、その意識レベルには当社の経営陣も到達していないと思わざるを得ません。
■ ジェンダー平等を推進すると言わざるを得ない?
日本においては、今回出席されている65~70歳くらいの方々が、むしろジェンダーギャップを作ってきた人たちです。“日本社会におけるリーダーはみな男性が当たり前である”という流れを確立した人たちが、ジェンダー平等を推進する発言をされている。もっとも「言わざるを得ない」状況になっていると言った方がよいかもしれません。
その理由としては大きく二つ考えられます。一つ目が、「経済のグローバル化による労働者の流動化」です。日本はジェンダーギャップの達成率が相変わらず100位以下という、世界的にも遅れている国ですが、先進国から大企業に人材が流入する中で、「こんなこともしていないのか」と、直に問題提起がなされるわけです。まさに黒船襲来で、いわば「外圧」が非常に強い。それが内発的モラルとなり、危機感を伴って改革に向かっていると思われます。
二つ目が、「政治的圧力」です。日本は近年までアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国であり、経済力が落ちてきているとはいえ、依然として影響力は強く、プライドもあります。この中で、“威信を保つ”ことが政権側の考えにあると思います。国を牽引するリーダーは「恥ずかしい国ではありたくない、尊敬される国でありたい」と思っているはずですし、だからこそ内閣府主催の本会合が設けられたと考えます。
■ ジェンダー平等推進の最大要因
外圧ならびに政治的圧力が強いとはいえ、ジェンダー平等を推進する最大の要因は、昨今の「超人手不足時代への対応」と考えられます。少子高齢化が進む現在においては人取り合戦が生じ、人材を確保できないと会社がつぶれるというのが目に見えています。
その中で、すでに働いている人たち、つまりすでにある資産を奪い合うだけではなく、未就労の人たちにどう働いてもらうかが重要なポイントとなり、女性・高齢者・外国人の取り合い合戦が始まっています。女性を獲得できた会社は生き延びられるし、そうでない会社は滅びる。外国人、高齢者もまたしかりです。
こうした流れの中で、企業の競争・生存戦略の一つとして“女性に人気のある会社”になるためにもジェンダー平等を推進し、女性がキャリア形成できる、また女性がリーダーシップの取れる会社になることが必要とされていると思われます。
今回参加された企業の経営者は、海外から来た方に「搾乳部屋もないんですか」と言われ、赤面して急いで作ったそうです。「馬鹿にされるから仕方がない」というのも本音が垣間見えて面白かったですね(笑)
■ 日本企業の抱える問題
一昔前とは異なり、現在では同じポジションでありながら男性と女性で賃金格差があるという、いわゆる同一労働賃金に反している企業はもちろん見受けられません。一方で平均賃金を見ると、だいたいどこの会社も男性100に対して女性70という差が生まれています。
この理由としては、低いポジションであればあるほど女性が多くなり、上に行けば行くほど男性の比率が大きくなるために、結果的に平均賃金のギャップが生まれているからに他なりません。
当社も同様で、従業員全体では女性と男性の比率が6:4に対し、レイヤーが上がれば上がるほど男性比率が高まる構造になっていて、結果として平均賃金は女性が男性の70%ほどとなっています。
このギャップを埋めるには、現場で働く男性比率を増やし、マネージメント・管理部門の女性比率を増やす取組みを図る必要があることは、当社も他の企業も一致しています。とはいえ、当社においては困難だと言わざるを得ません。
というのも、当社では「女性に介助に入って欲しい」という顧客ニーズが高く、現場の男女比率が女性7割、男性3割となっていますが、これを同率にすると顧客ニーズに反することになります。
同性介護を進めると、人口の男女比率に比例して自然と現場のバランス比率が整い、賃金ギャップが小さくなる要因になるとは思われますが、道のりは長いと思います。
そのため、まずは相対的に難易度の低い「上位レイヤーにおける女性比率」を上げることに着手する必要があると考えています。もっとも、どの企業においても女性が上位ポジションに就きたがらない傾向があり、かつ女性の管理職昇進に後ろ向きな男性も多く存在します。
そこを解消するには、男性側においてはジェンダーギャップを埋めようとするエンパワーメントが必要であり、女性側においては“管理職になろう”とお互いを励まし合うようなエンパワーメントの場が必要だと考えます。
■ 役割分担の解消へ
今回の会議で最も大きな話題は「育休制度」でしたが、どの企業も育休はほぼ100%達成しています。とはいえ日数が1~2日と少ないところもあり、これをどう増やすかで皆さんも苦戦している印象はありました。
当社は給与1か月を会社もちで保障していますが、他にそんな企業はなかったので、その面で我々は進んでいるとは言えます。
制度の浸透に対しては各企業でそれぞれ頑張るべきではありますが、結果的に社会全体のジェンダーバランスが変わっていかないと、なかなかそれも難しい。
相変わらず男性が外で働いて、一定所得以上の家庭においては女性が主婦をするというような性別役割分業が維持されているために、女性もそこまで働くことに対するインセンティブがないこともあるわけなので、社会全体として男性がもっと積極的に育児を担ったり、女性の扶養控除は廃止し、主婦であるが故に得をするシステムをなくすことも選択肢に入れるべきだと考えます。そうして浮いた税収を別のことに使う方が理に適っている。
もっとも、これらは政治の仕事ですが、社会全体の形を変えていくためには、企業と社会構造の両方面から取り組まないと、一企業の取組み自体は空回りしてしまうリスクがあると思います。
■ 最後に
今回の会合では、中堅企業からの参加は当社のみでしたが、この会の参加規約に制約はありません。中小企業や零細企業も入っていいはずですが、やはりジェンダー平等の推進は余力がないとできないために大企業が中心になっていると思われます。
中小・零細企業は生き残りかけて必死ですから「そんなことを言っていられない」と、悠長な問題に捉えられがちです。ですが、社会全体を変えていくためには大企業だけでなく中小企業の取組みも必要だと思うので、当社は引き続きジェンダー平等を推進していきたいですし、本会合に他の中小企業の仲間たちも増えることを願っています。