貧困問題対策委員会の活動について
日本の貧困の現状
日本の貧困の現状 現在、日本では「相対的貧困」(国や地域で、大多数よりも貧しい状態にあること)が社会問題となっています。
「2022(令和4)年 『国民生活基礎調査の概況』によると」日本の 相対的貧困率は15.4%であり、約6人に1人(約2000 万人)が貧困状態に陥っています。 中でも、ひとり親世帯の貧困率は 44.5%と非常に高く、その半数が貧困状態であるとされています。
また子どもの貧困率も 11.5%と、約1割の子どもが貧困状態にあります。貧困により満足に食事がとれず、孤食となる場合もあり、就学を諦めざるを得ないケースや、周りとの落差で傷つくこともある中で、貧困は心身の成長に重大な影響を及ぼしかねません。現状の過酷さから将来に希望を持てず、自己肯定感を失うこともあると考えられる中で、子どもの貧困は解決すべき重要な問題と捉えています。
委員会活動への思い
私自身、幼少期から貧困家庭で育ちました。父も母もおらず、ひもじい思いや恥ずかしい思いを何度も経験してきました。ただ、当時を振り返ると、それはそれで幸せでした。その中で頑張ってくれている祖父母がいましたし、電気代が払えずに真っ暗闇の中、ろうそくの灯りだけで家族皆でご飯を食べたことも、それはそれで楽しかったんです。
もちろん、「どうして自分の人生はこうなのか」と思うことはありましたが、早い段階で「これが僕の人生なんだから、仕方がない」と受け入れてもいました。幸い、私はそんなに大きく道を踏み外すことはありませんでしたが、そうではない人も世の中にはいます。非行、万引き、窃盗、暴力…それも追い込まれて、そうせざるを得ない状況に陥ることもあると思い ます。
貧困問題対策委員会では、そうした人たちの支えになるべく、活動したいと考えています。家族にも、誰にも頼れない子どもや若者たちの頼れる先、相談できる場所。そのようなつながりを持ちたいと思っています。
また、子どもは社会に出るまでに学生生活を通じて様々な勉強をし、社会経験も積み、社会リテラシーが身についてくることで、いざ社会に出た時にそれを応用して、社会的な一般常識なども感覚的に吸収していけると思います。
けれど適切な教育を受けられず、孤立を深める中では、こうしたリテラシーの欠如が原因で、 大きな間違いに発展することもあります。例えば、詐欺にあったり、犯罪に巻き込まれたり、 あるいは知らず知らずのうちに犯罪に加担し、結果的に重い罪を背負うことにもなりかねません。
こうしたことを避けるためにも、社会リテラシーを養うことは重要ですし、信頼できる人間に出会うことが何より大事だと思っています。個人的には信頼でき、相談できて、共に考え てくれる、こういう「いい感じのお兄ちゃん」になれればと思っています。 貧困であれ何であれ、自分が経験したことは、人生にとってマイナスなことではないと信じています。「若いうちの苦労は買ってでもしろ」とはよく言われますが、厳しさをむしろプラスに捉えてほしいですし、今の自分の苦しい状況を乗り越えて、将来の自分に希望をもってほしい。
そのためにも私たちが少しでも支えになれたら嬉しく思います。
貧困や苦しい状況を味わった人だからこそ言えること、できることがあると感じるので、一 人一人が自分自身の人生を歩む中で、自分の経験を糧とし、宝物として捉え、自分が社会に出た際には、かつての自分と同じように困っている人を助けて欲しい。この機縁がそうしたきっかけになればと願っています。
目的
当社 Purpose 「つながりあい ささえあう 場の創造」、ならびに Vision「オールハッピーの社会の実現のために永続するトータルケアカンパニーに進化する」の理念を実現すること。信頼できる人と出会えるかどうかは、その人の人生を大きく左右するポイントだと考えています。そのために、決して見過ごすことなく、「つながりあい、ささえあう」活動を実践します。
短期的な取組み
10代の孤立を解決する認定NPO法人「D×P」への協力支援を予定
認定NPO法人「D×P」は、「ユキサキチャット」という、困難な状況にある10代に向けて、 LINEでの相談窓口を設けています。その中で物資の提供も行っていますが、その作業に人手を要していることもあり、まずはそのお手伝いを考えています。 また、貧困家庭ではパソコンやタブレットを購入できずに学習面や就職面で不利な立場となるケースも見られます。こうした「デジタル格差」は貧困の連鎖を助長しかねないことから、当社ではパソコンを寄贈する予定です。
長期的な取組み
認定NPO法人「D×P」との関係の深化による10代の若者のさらなる援助と全国展開
認定NPO法人「D×P」が、大阪ミナミの「グリ下(道頓堀のグリコ看板下)」近辺で開所しているユースセンターは、居場所を求める若者たちがそこでごはんを食べたり、ゆっくりしたりと安全に過ごせる空間となっています。長期的には、そこでのお手伝いを始めたいと考えています。 また、「D×P」の方針である全国展開という目標に合わせて、当社も各地で「D×P」とコ ラボしながら、子どもや若者の貧困にアプローチしたいと思っています。
貧困問題対策委員会
委員長 宮本武尊