【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2025年5月15日

【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 2025年5月15日

開催概要

開催日:2025年5月15日
開催場所:オンライン

当日のアジェンダ概要

  1. 前回からの事業所毎の課題や取り組みの進捗等(グループホーム①/グループホーム②)
  2. 支援内容についてのご家族からの依頼に関する相談、共有(定期巡回)
  3. 高浜将之委員長の総括

当日の定例レポート

当日の定例ミーティングでは、参加者のアドバイスを受け、チームで新しい支援を実施した結果がグループホームより報告されました。

また定期巡回からは、虐待の可能性がある依頼内容について共有されました。

委員会では、虐待が疑われる際の対応などについて、参加者より多く意見が出され、有益なアドバイスが提示されました。

前回からの事業所毎の課題や取り組みの進捗等

グループホーム①

<前回からの進捗>

・顧客創造活動
2025年5月初めに新規の相談が1件ありました。入居は6月末予定です。
キーパーソンが海外に居住しており、本人ともども施設見学はまだありません。ご家族が帰国するタイミングでの契約を目標にし、それまで丁寧にやり取りを続け、新規のクライアント獲得も進める方針です。顧客創造部との連携も継続しており、外部との関りを通じてグループホームの課題も少しずつ見えてきている状況です。
・チームビルド
引き続き、土屋の理念・方針の浸透を意識して取り組んでいます。スタッフからは「それが土屋の方針だから」といった前向きな言葉が聞かれることもあり、少しずつチーム内で理解や共通認識が深まっている印象を受けています。また、「こんな場面ではどんな声掛けをしていますか?」「どういう方法でケアをしていますか?」など、実践的な意見交換も出てきており、介護の様子を観察するなど積極的に学ぼうとする姿勢も感じられます。元調理専属スタッフの介護職化も進行中で、3名のうち1名はすでに並行してケアの勤務を開始しており、介護未経験者は食事介助から取組むなど、それぞれの段階に応じて進めています。ただ、介護の基本である事故報告に他責傾向が見られるなど難点があり、事業所側として、緊急時の対応や報連相のフローチャートなど、リスクマネジメントに関してスタッフに周知しているところです。

こちらに関してはおおむね受け入れていただいています。

グループホーム②

<前回の課題>
74歳男性、アルツハイマー病(介護度1)。
週3回、各4時間ほど就労支援で作業所に通っており、今年に入って薬の調整もしています。

食事の前後などスタッフが忙しい時間帯に帰宅願望が出現して不穏な状態となり、その際には暴力も見られます。

<前回からの進捗>
前回のアドバイスを受け、1日食事を作らず、弁当に変更して様子を見ました。

スタッフが1日中付き添い、朝のMTGにも一緒に参加していただいき、その後近隣のスーパーに買い物に行きました。

そこからは隙間なく色々なレクリエーションをしていただき、昼食後は掃除などをしていただきましたが、2時ごろ、塗り絵をしていた際に不穏になられました。

色鉛筆を「自分のものだ」と仰り、スタッフが「みんなで使いましょう」と言ったことがきっかけです。

昼寝の後には状態が戻り、そこからもスタッフがつきっきりでフットケアマッサージなどもし、不穏になられることなく休まれました。

スタッフ皆で頑張って見守りましたが、1回不穏になられたことでスタッフの気持ちが少しダウンしてしまったところがあります。

また、毎回このようにつき添うのは無理だと思われるので、スタッフからは「仕事・役割を持つことで必要とされていると感じてもらう」「好きなことをやっていただき気分が落ち込まないようにする」「お話しを聞かせていただく」「外に出たい時には出てもらえるような環境づくりをする」などの意見が出されました。

空き時間に自分一人でもできて、集中できるようなものがあれば教えていただきたいです。

<質問による補足>

・機嫌が壊れてしまう少し前から様子が沈みがちでした。
ただ、気持ちが沈んだから帰宅願望が出るのか、帰りたいから気持ちが沈むのかはわかりません。
・塗り絵の際はスタッフが2人ついていましたが、そのうちの1人がキッチンで用事を始め、スタッフ1人で対応していた際に不穏な状況となりました。
・最近、作業場での居眠りが多くなったと聞いています。
作業の途中で寝てしまって困っているとのことですが、帰宅願望があるという話は出ていません。

・薬の量が変わった理由としては、激しい帰宅願望と、その際の暴力的な行動が酷くなってきたことがあります。

薬を増量して2週間ほど経ったあたりで居眠りが出始め、乱暴な部分は落ち着きましたが、現在は元に戻っています。

・今回、1日中付き添ってみて、スタッフから「1度不穏にはなったけれど、やってみて良かった」との声は上がっています。

状態も酷い時よりは帰宅願望も少なかったので。

・今回の取組み前後で、意識が変わったスタッフはいます。
ただ、クライアントへどう関わるかなどは、みなの協力が必要だと思います。

・通常は、朝昼に食事を作る時間帯があり、スタッフも1人減るので、つきっきりというわけにはいきません。

午前中の買い物やレクリエーション、午後の入浴、散歩などでは付き添えますが、他の入居者さんもいらっしゃるので、1人につきっきりというわけにはいかないです。

その際には、ご本人が好きなYouTubeを見ていただくなどしています。

<参加者からのコメント・アドバイス>

・1日の中で機嫌が壊れたのは1時間だけで、帰宅願望もそれほどではなかったということなので、非常に上手くいっていると思います。

ただ、それに対してポジティブに「良かった」と思える職員と、それほど響いていない職員がいるというところが課題だという気がします。

・食事は職員さんがメインで作られていますが、利用者さんと一緒に作るというようにすると一石二鳥な感じがします。

お掃除や色んなことをしている中で穏やかな時間が続いていたと思うので、簡単な調理作業のお手伝いなどをしていただくと、スタッフが手薄になる時間帯に役割を持って関わってもらえると思います。

支援内容についてのご家族からの依頼に関する相談、共有(定期巡回)

ご家族からご依頼があった内容が、性的虐待等に当てはまるのではないかと思っています。
お尻に傷があるクライアントですが、なかなか改善が見られず、傷も広がっている状況です。

1日中座っている状態でもあり、円座や、横になるなどのご提案をしましたが、ご家族からは受け入れていただけない状態です。

現在の支援はトイレ誘導と、その後にお風呂場でおしもを流し、パットやパンツを穿くというものですが、ご家族はパットをしていることで通気性が悪いのではないかと思われていて、訪問員に対して“パンツを穿かずにパットもせず、椅子に座って膝にバスタオルをかけてほしい”という内容の相談がありました。

ただ、おしもを出している状態というのがネグレクトや性的虐待に該当する恐れがあるので、先日行政に相談しています。

それが虐待と認定されれば、そのような支援ができない旨をご家族にお伝えしようと思っていましたが、行政からも“それをするからには医師の指示が必要”ということでした。

また、認知症のあるクライアントでもあり、“そうした支援をしなければいけない理由が必要”という回答もいただいています。

今のところご家族からそうした依頼は受けていませんが、現在も傷は悪化しているので、今後依頼される可能性もあります。

その場合は医師にお伺いしたいとは思っていますが、ご家族が訪問診療もお断りしていて、私たちも医療との連携ができていない状況でもあり、どうすればいいか困っています。

<質問による補足>

・ご家族が思う介護のあり方と、私たち介護職員や医療の考える介護道がなかなか一致せず、現場の混乱が引き起こされています。

ご家族も現場の訪問員に直接相談し、訪問員もお断りすることが難しい現状です。

「介護保険上、○○はできないです」というご説明をすると寄り添ってくれないと捉えられてしまい、逆に共感・同調すると「このヘルパーさんはいい人だ」というようになり、ケアマネジャーも含めて管理やマネジメントがしづらい状況になっています。

・ご家族には、ご本人がずっと座っているのも傷には良くないと思うので、「午前中だけでも横になる時間を作ってみませんか」というご提案はしましたが、理解を得られていません。

<参加者からのコメント・アドバイス>

・非常に難しい内容だと思いますが、まずはご本人の尊厳を大事にして何が最適かを考える必要があると思います。

行政の方が言われたように、医学的に見て、それが必要だという根拠があるかというところも大切だと感じます。

・本質は、「それをすべきか、せざるべきか」ではなく、それに対して「どうご家族の理解を得たらいいのか」ということだと思います。

・例えば1週間くらいショートステイに行って、そこで看護師や介護職のケアの下、除圧して過ごしてみて症状が改善すれば、ご家族にも気づきをうながせるかもしれません。

<新たな議題~ショートステイ拒否問題~>

・管理者
以前、ご家族がショートステイの見学に行って、利用の許可はいただきましたが、契約の段階で「めんどくさい。契約書は書かない」と仰られ、結局ショートステイも利用されていません。

<参加者からのコメント>

・本人が受けられるはずの治療や支援を、家族が断ってしまっているので、地域包括支援センターに報告しなければいけない案件だと感じます。

・以前、似たようなケースがありました。

寝たきりに近い方でしたが、ご家族がすべての介護サービスを断っていたので、サービス自体を受けることができず、パット交換もしっかりとはできていない状態でした。

医療的な処置も必要になってくるところでしたが、ご家族は「私が全部やってるから問題ない」と言い張っており、事業者が何もさせてもらえない状況で、地域包括支援センターから当事業所(定期巡回)に相談がありました。

「毎日数回訪問して、1回でもいいので入れたら入ってほしい」ということで、なんとかサービスが始まりましたが、定期巡回の利用開始後に、ご家族が「いらないので終わりにしたい」と断り始めました。

そこで、ケアマネと包括と市で話し合いが持たれましたが、市からは「虐待の認定をしているので、加害者の言うことは聞かないでください」とのことでした。

「ご家族が何と言おうと、これは虐待なので、定期巡回が安否確認などで入れないのであれば措置に入ります。だからどんな理由を使ってもいいので、入ってちゃんとケアを提供してください」と包括と市から言われたので、我々はご家族にかまわず、1日1回は陰洗と水分補給で入っていたことがあります。

後ろ盾をもらうというか、行政からきちんと虐待の認定をしてもらった上で進めていくのも、事業所としては自分たちを守れると思いますし、最終的にはご本人のためのケアだというところが一番大事だと思っています。

包括の方からも、「ご家族へのケアではなく、本人へのケアなので、介護職として訪問する上で苦しいかもしれないが、突っぱねて欲しい」とはずっと言われていました。

こうしたことを、どうアテンダントに伝えるかは難しいですが、きちんと体制を作った上で、事業所としてすべきことをするという方向に持っていくのが大事だと思います。

・今回のケースは、現場としてはご利用者に適切なサービスを提供したいにもかかわらず、そこでストップをかけるのがご家族であり、ご家族の思う介護のあり方が阻害要因になっていると受け止めています。

もしかすると、ご家族に精神的な疾患がある可能性も考えられるので、しかるべき機関に相談するのが大事だと感じました。

ケアマネも含めて、そのあたりを検討できれば、別の方法も考えられると思います。

・私も在宅をしている時代が結構長かったんですが、目を疑うような大変なご家庭や、信じられないような状況の方も多々おられました。

やはり事業所だけではなく、周りを巻き込んで、色んな機関と一緒に協力・相談しながら進めていくのが一番いいと思います。

確かに、ご家族さん自身が何らかの疾患を抱えている可能性もあり、そういったご家庭に限って入れていただけないこともありますが、なんとかつないで、みんなで協力して連携を取ると、少し動けるかもしれないと思います。

どうしても何もできないお宅もありましたが、そこは行政の判断が最終的にありました。

・我々事業者から見て、課題があって介入が必要なご家庭こそがサービス拒否されたりすることもありますが、我々が対応できる次元を越えているところは、様々な機関と連携して、皆でそこに関わっていける体制を作ることが改めて必要だと思いました。
・管理者より

現段階で行政や地域包括に相談はしているので、私たちができることは今まで通り続けさせていただき、できないことはお断りをしていく形が、この先もずっと続くと感じています。

本人の不利益にならないように動いていきたいと思います。

【高浜将之委員長による総括】

まず、グループホームの事例では、個人的には取組みは大成功だと思います。

今までご本人が不機嫌になったり、調子が悪くなってしまう状態が100だとすると、その100が0にはならなかったとしても、50ほどにはなっていたと思います。

もちろん0にするのが一番だとは思いますが、仕事上難しい面もあるので、極力その部分を減らすことが我々のできる最大限の努力だと思います。

そういう意味では、「こうすれば減らせる」というきっかけは第一歩としてはつかめたと思うので、今後も「どうすればご本人が不安にならないタイミングを作れるか」という形で、継続的に考えていただければと思います。

第一歩としては実りあるきっかけになっていると思いますので、今後も引き続き応援していきたいと思っています。

定期巡回のケースでは、八方ふさがりになっている状態だと感じます。

本来、クライアントの支援のためであるはずのものが、どちらかというと、ご家族に振り回されていて、ご家族さん自身が色んな課題を抱えていると思います。

ただ、入居系と違って、在宅では利用者さんだけでなく、ご家族もクライアントではあります。

契約しているのはご本人でしかなくとも、ご家族を含めてどう関わっていくかがポイントになると思っています。

皆さんが仰っていたように、厳しい環境がいろいろ整っているとは思いますが、定期巡回がつながり続けていることは、クライアントを孤立させないという意味ではすごく重要ではないかと感じます。

事業所側としては思うような支援もできず、振り回されていますが、今のところ、ご家族さんも文句は言いながらも、定期巡回のサービスを終えようとはしていないので、定期巡回が社会の介護リソースと結び付いている唯一の部分だと思います。

このままいくと、ご本人の状態がどうしようもないところまで行きかねない気もするので、なんとかつながりを持ち続けて、我々がちゃんと察知して、行政や地域包括と連携しながらクライアントのサポートをし続けることが、我々に課された非常に重要な役割だと思います。

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