【第7期 高齢者地域生活推進委員会】第10回 勉強会レポート
テーマ
チームづくりのしくじり先生 ~チーム崩壊の原因は「あいつだ!」と思ったときに考えてほしいこと~

開催概要
日時:2026年8月27日(木)17:00~18:00
講師:坂本孝輔氏(認知症専門の介護福祉士・株式会社くらしあす代表)
~組織変革の出発点として「心理的安全性」を考える~
介護現場では、掲げる理念と職員の実感が乖離すると、組織が内部から機能不全に陥ることがある。
坂本氏は介護職として29年の経験を持ち、2012年の起業当初から「利用者の幸せを追求し、職員が活き活きと働く職場」を目指していた。
しかし2017年には、定員10名のデイサービスで年間9名が退職(離職率50%)いう深刻な状況に直面。
リーダー自身は専門的な研修や自己研鑽に取り組んでいたものの、現場との間に大きな隔たりが生じ、社内研修を行っても十分に受け入れられない状態となった。
本勉強会では、実際の事例を提示しながら
深刻な大量離職 → リーダーの行動改善 → 学習行動の増加 → 離職率低下 → 大幅売上UP
に至った経緯と改善に向けて実施した方法について語られた。
1.「影の支配」と心理的安全性の欠如
心理的安全性とは、罰や拒絶を恐れず、質問・相談・ミス報告ができる状態である。
これが失われると、職員は「利用者のため」より「特定の人に嫌われないため」に行動するようになる。
坂本氏の組織では、リーダーと現場の信頼が崩れ、「インフォーマルリーダー=影のボス」が現場を支配し、利用者本位ではない対応も常態化していた。
問題を「困った職員」の個人問題ではなく、リーダーシップと組織構造の問題として捉える必要がある。



2.リーダー自身の「盲点」と自己認識 “帰属の錯誤(心のクセ)”
組織の問題を他者の性格や能力のせいにし、自分の行動の影響を見落とすことがある(帰属の錯誤)。
坂本氏も当初は特定の職員がいなくなれば改善すると考えたが、退職後も離職が続いたことで考えを改めた。
「ジョハリの窓」による自己分析では、自分では「話しかけやすい」と思っていた一方、職員からは「心理的安全性を脅かす存在」と評価されていた。
良い理念も信頼関係がなければ届かず、組織再建の第一歩は、自分自身の行動を客観的に見直すこと。
変えられるのは、まず自分自身である。
3.組織を再生させる「1mmの行動変容」 小さな行動に意味がある!
坂本氏は性格そのものを変えるのではなく、目的のために行動を選び直した。
- ポジティブな反応の徹底: 職員に話しかけられたら笑顔で応じる
- 話しかける仕組みの義務化: 1日1回は必ずリーダーに話しかける仕組みをつくる
- 肩ポン・ルール: 事務作業中でも呼びかけに感じよく応じる
といった小さな行動を継続した。
その結果、再び行った「ジョハリの窓」で、職員から「リーダー資質」「傾聴力」「親切さ」などの評価が向上し、質問や相談、ミス報告が増え、ケアの質向上、ストレス軽減、離職率低下へとつながった。
現在は年間離職がほぼゼロとなり、稼働率や評判、売上の向上にも結びついている。
4.「心理的安全性」は馴れ合いではない
心理的安全性は、単に職員同士が仲良く何でも言い合えることを意味するものではない。
専門職が集まる組織において、必要な意見や指摘を率直に伝えることができ、安心して「質問」「相談」「ミス報告」を行えるように環境を整えることが重要である。
最後に
明日から : 自分たちで選んだ「行動」を“いつ・誰に・どの場面で1回やるか …? ”決めて実行しよう。
という、すぐに実践に結びつける意識付けがあり、勉強会は終了した。
【結論】
今回の勉強会では、組織再生に必要なのはビジョンや研修だけではなく、リーダー自身の日々の小さな行動変容であることが示された。
他者のせいにせず、自分の行動を見直し、質問・相談・ミス報告を「学習行動」として歓迎することが重要である。
「名前を呼んで挨拶する」「話しかけられたら手を止める」といった小さな積み重ねが、信頼、心理的安全性、ケアの質、離職率低下、経営成果につながることが示された。














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