【異端の福祉 書評】土屋に復職したのには理由(ワケ)がある / 高野美智子(ホームケア土屋 滋賀)

土屋に復職したのには理由(ワケ)がある / 高野美智子(ホームケア土屋 滋賀)

私は現在の土屋の前身の頃に入社させて頂き2021年8月に一旦退職致しました。看取り迄のクライアントの方が救急搬送後、数ヶ月見通しが立たず、再開か終了か待機していましたが、生計と待機の板挟みになり仕方なく退職し、直ぐに重心施設で強度行動障害、指定難病の施設で音楽療法のピアノ奏者等兼務し充実していました。

ある日、前会社で担当し待機待ちしたクライアントの御逝去の一報が入り、退職の身でお参りの伺い確認を上長に取り、お通夜へ参りました。DVに起因する過酷なその方の人生の最後は花の一輪すら無し、お坊さん無し、装束無し。見慣れたパジャマ姿で縮こまってベッドに横たわって居られました。居から1週間で退去と野良猫殺処分の通達の言葉のみ、2021年12月、虚しく寒い夜でした。

私がこの業界に入る前は建設会社の社長の妻で活発な為、大型免許から1級船舶免許で水面はプレジャーボート、陸は外車を乗り回す馬鹿女だったと思います。ある日大きな事故に巻き込まれ京大病院に半年、うつ伏せ固定、全身管だらけバルーンもつけ、散々な目に合いました。その後未亡人になり、介護福祉の講義や講習、勉強会で基礎から学び、この業界へ入りました。現在2023年1月開設の滋賀で再びお世話になっております。

高浜代表の著者(異端の福祉)の記述には共感する言葉が御座いました。
「道徳なき経済は犯罪であり経済なき道徳は寝言である」(二宮尊徳)
高浜代表曰く、職業選択もやり甲斐だけでは食べていけず、報酬だけの仕事も虚しすぎる。

私の父は作曲家・音楽院長で、慈善の心に嘘はないが社会奉仕が勝ちすぎて家族をお忘れで残念な人でした。「社会課題をビジネスで解決する」の視点が欠落していました。

2023年1月1日滋賀開設で、当社で47都道府県が揃われ、土屋に出戻った私は従業員の増大に驚くと同時に、大きな展開を維持継続は大変だろうなと正直痛み入る気持ちになりました。土屋の企業ピラミッドがこの先も揺るぎないモノにするには、ピラミッドの土台の現場勤務の1人のスタッフとして、人間関係が希薄になりゆく傾向の世の中で「心の足並み」は揃っているのかな?と疑問に感じる事が御座いました。

私の尊敬する元プロ野球選手で、青少年育成に携わる野球部監督の取材時の紙面掲載の言葉が有ります。「心は古く 技術は新しく」。人の心は時代が変わっても人としての心を育てる。その上にスポーツが有ると。この心の在り方を表して居られるのです。

介護の世界は人対人の距離が1番近い職種と言えます。心の姿・心の立居振る舞いの美しさが土屋のバリュー①の古本氏のお話にもある「品位をもって」の核心にも通ずるのではないでしょうか。人間性豊かで美しい心を共に育む事が介護の資質向上に繋がり、その上に技術や知識を伴えば企業としての土屋ピラミッドは「砂の城」から風雨に打勝つ確固たる組織力を持って維持継続し、更に発展していけるのではないでしょうか。

古い「福祉は清貧であれ」を「福祉は心美しくあれ」、これを私の信条としています。全ては心から始まるのです。

さて、今夜も訪問です。一度は生計の為仕方なく土屋を離れた隙に、最期まで寄り添えず消えてしまったクライアントの命。一輪の花すらない虚しい空間で、その方の心の支えだった5匹の野良猫さんは、あのお通夜に居合わせた5社のヘルパー5人の各家庭で元気です。

そして私の横にもその野良猫さんが今日もニャーンと鳴いてます。私流のせめてものお詫びなのです。前会社でのこの心残りがあるから復職して支援を続ける意味が有るのです。何処かの誰かの「心のビタミン」でありたいから今日も支援に向かうのです。心の足並みが揃う時、私の思いは成就するかもしれません。

さて、今日のあなたの心の色は 透き通っていますか?

関連記事

TOP