【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 4月分
開催概要
開催日:2026年4月16日
開催場所:オンライン
当日のアジェンダ概要
1 地域活動について
2 現場や記録で使用する文言を考えよう(小川委員長)
3 その他(相談や情報共有)
当日の定例レポート
当日の定例会議では、地域活動の捉え直しや、現場記録における言葉のあり方についてディスカッションが行われました。
「穏やか」「誘導」「当たり・外れ」といった日常的に使用している表現を見直し、事実に基づいた具体的な記録の重要性を再確認しました。
また、若年性認知症の事例共有を通じて、役割づくりや関わり方の工夫について意見交換が行われるなど、分野を超えた横のつながりの中で、より良い支援の在り方を探る機会となりました。
地域活動について
前回の振り返り
参加者:22名
アンケート結果では、「地域活動のそもそもの考え方が変わった」という意見が非常に多く見られました。
従来は「外部に出てイベントを実施すること」や「事業所間で協力すること」が地域活動であるという認識が強くありましたが、実際には「日々の支援そのものの中にも地域活動が含まれている」という気づきが多く共有されました。
このように「地域活動」という共通言語を一人でも多くの関係者が理解することは、事業所内のマネジメントやチームビルディングの強化にも大きく寄与すると考えられます。
現在の地域活動の伴走状況
現在、「地域活動をやってみたいが、まだ実施できていない」という事業所に対する伴走支援を進めており、今期の目標として「地域活動ゼロイチ(0→1)の達成」を一事業所でも多く実現することを掲げています。
一方で、現時点では十分に伴走ができていない状況もあり、今後は取り組みの強化が必要です。
具体的な施策として、定期巡回サービスの枠組みを活用しながら、地域のサービス提供事業所と横のつながりを強化する仕組みづくりを検討しています。
その一環として、地域のローカルラジオへの参加を企画しており、現在は出演に向けて問い合わせを行っている段階です。
ラジオを通じて地域情報の発信を行うとともに、サービス提供事業所のゲスト出演を通じて、地域課題について共に議論できる場の創出を目指しています。
現場や記録で使用する文言を考えよう(小川委員長)
≪ディスカッション≫
1.「穏やか」という表現について
・記録で多用される「穏やかに過ごされている」という表現について、「何に対して穏やかなのか」「どのように穏やかなのか」が分かりにくいと感じました。
家族の立場で読むと、「何が穏やかなのか」が気になるため、状況が具体的に伝わる記録が必要だと思います。
例えば「本を読みながら、笑顔で過ごされている」など、その場の様子が分かる書き方が大切だと感じています。
・率直に言うと、「穏やか」という言葉は「職員にとって手がかからない状態」を表している場合が多いと感じています。
介護職側の視点が主語になっている表現になりがちであると思います。
・「穏やか」や「落ち着いて過ごされている」といった表現は現場でよく使われていますが、話を聞く中で、笑顔や行動など、
「どのように穏やかなのか」を具体的に書くことの重要性を改めて認識しました。普段何気なく使っている言葉の中に、同様の課題が多くあるのではないかと感じます。
・「穏やか」や「落ち着いている」という言葉は、特に認知症ケアの現場で使われがちだと感じています。
こうした気づきを現場にどう浸透させるかについては難しさもありますが、まずは記録において「主観ではなく事実を書く」ことを意識するよう伝えています。
・記録の中で「穏やか」と書いてしまう背景には、「何もしていなかった」という状況を表現している場合もあると感じました。
しかし、家族の立場で見ると「関わりがなかったのではないか」「放置されていたのではないか」と受け取られる可能性があります。
そのため、具体的な行動や様子を記録する必要があると感じました。
・何もしていないように見える時間であっても、ご本人がその過ごし方を選択している場合もありますし、逆にご本人が何も発信しないことで職員側の関わりが不足している場合もあります。
記録を書くこときっかけにそのような状況を振り返り、次の関わりや行動を考えていくことも重要だと思いました。
2.「誘導する」という表現について
・「誘導」という言葉は、「何も分からない人を導いている」というような印象を与える可能性があると感じました。
また、「どこへ、なぜ誘導するのか」が文面から見えにくく、本人の意思が反映されているのか分かりづらい点にも違和感があります。
そのため、「ご案内する」といった表現の方が適切ではないかと感じました。
・「誘導」や「徘徊」といった抽象的な言葉ではなく、「どのような行動をしていたのか」を具体的に記録することが重要だと感じました。
例えば、「どこかへ向かおうとしている様子があった」「困った表情でお腹をさすりながら歩いていた」など、その行動の背景が伝わる書き方が必要だと思います。
・こうした言葉をどのように現場へ伝えていくかについては、記録様式を活用する方法が有効だと感じました。
行動・状態などの事実と、それに対する気づきや推測を分けて記載することで、より分かりやすく伝えられるのではないかと思います。
・「トイレ誘導」という言葉については、日常的に違和感なく使用していました。
「お手洗いに行きますか」と声をかけ、本人の意思を確認したうえで導くという意味であれば、問題ないのではないかと思います。
・「誘導」という言葉は、本人に対して直接使うというよりも、職員同士の会話の中で使われることが多い言葉ではないかと感じました。
そのため、対外的な表現としては「ご案内」といった言葉に置き換える方が望ましいのではないかと思います。
・過去に「トイレ誘導」という記録表現について、「トイレ案内ではないか」と指摘を受けた経験があります。
「誘導」という言葉が抽象的に使われているのか、本来の意味で使われているのかが分かりにくい点が課題だと感じました。
言葉の使い分けや細分化も必要ではないかと考えました。
・これまで記録では「誘導」という言葉を使用してきましたが、家族や本人に対して説明する際には「お連れする」といった表現を使っています。
やはり「誘導」という言葉は対外的な表現としては適さない可能性があると感じます。
3.「当たり・外れ」という表現について
・送迎時の会話の中で、「よく眠られていて当たりだった」といった表現が使われている場面がありました。
自身も過去に、排便の有無などを「当たり・外れ」と捉えてしまっていた経験があり、現場では起こりがちな感覚だと感じています。
本人もすぐに気づいて言い直していたことから、理解はしていても無意識に出てしまう表現であると感じます。
・過去に勤務していた施設で、入室時にご逝去されている場面に遭遇することが多く、それを「よく当たる」といった表現で使っていたことを思い出しました。
今振り返ると、もしご家族が耳にした場合には非常に不適切な発言であったと感じており、無意識に使ってしまっていたことに強く気づかされました。
・「当たり・外れ」という表現は現在はあまり使っていませんが、代わりに「便大会」といった言葉が現場で使われることがあります。
排便失禁が複数回続いた状況を指して職員間で共有する言葉ですが、こうした表現も改めて考える必要があると感じました。
・以前は「ビンゴ」といった言葉を使っていたことがあります。
こうした表現は、排泄対応などで業務負担が増えることに対するネガティブな感情を、少しでも和らげるための言い換えの側面もあると感じます。
職員のストレスを軽減する効果もある一方で、使う場面や相手には十分注意が必要であり、聞かれるべきでない相手に伝わることは避けなければならないと考えます。
・職員間でのストレスコントロールとして、こうした言葉が内輪で使われること自体は一定の理解ができるものの、それを公的な場や組織の共通言語としてしまうことは適切ではないと思います。
特に管理者の立場としては、公式な表現として認めるべきではなく、あくまで非公式な範囲に留める必要があると考えます。
また、どこで誰に聞かれているか分からないという前提を持ち、あくまで隠語として使用し、意図せず外に出てしまうリスクにも十分配慮する必要があると思われます。
その他(相談や情報共有)
相談①
特定の女性職員に対して、夜勤時に性的な発言を繰り返す男性ご利用者に関する共有事項です。
対応として、職員間で検討を行い、当該女性職員には「私は分からないので、明日男性職員に聞いてみますね」といった形で、やんわりと受け流す声かけを提案しました。
この対応を継続して実践した結果、不適切な発言や行動は徐々に減少し、現在は頻度が落ち着いている状況です。
ご利用者はもともと穏やかな性格であり、身体的接触などは見られていないため、今後もしばらくこの対応を継続しながら経過を観察していく予定です。
感想
・相手を否定せず、関係性を壊さない非常に適切な対応であると感じました。
ご利用者にとっては「二人だけの関係性」の中で発言や行動がエスカレートしていた可能性もあると思いますが、「男性職員に聞いてみますね」と伝えることで、その関係が閉じたものではなくなることを示しており、結果として行動の抑制につながっているのではないかと感じました。
双方を傷つけない、非常にバランスの取れた対応であり、大変参考になりました。
相談②
若年性認知症(40代後半・男性)のご利用者への対応についての相談です。
これまで高齢者対応の経験はあるものの、若年性認知症の方への対応は初めてであり、支援の難しさを感じています。
対象のご利用者は見当識の低下が見られ、施設内を歩き回ることが多く、活動への集中が難しい状況です。一方で、好きなアニメを視聴している際には一定の集中が見られます。
現在の課題として、活動範囲の拡大による落ち着きのなさ、食事量の低下による体重減少があります。また、デイサービスで眠っていることも多く、帰宅後に家の中を歩き回るなどでご家族も疲弊しています。
デイサービスでは、歩き回る行動に対して周囲の利用者から制止されることもありつつ、ご本人はそのやり取りを楽しんでいる様子も見られます。
また、以前はできていた活動(文字を書く、塗り絵等)が難しくなってきています。
こうした背景から、有効な関わり方や事例について情報をいただければと思います。
感想
・若年性認知症は、体力があることや進行の速さ、また経済的・家族的な課題が背景にある点が特徴であると感じています。
基本的には認知症の中核症状による生活の困難さという点は共通しているものの、年齢特有の課題への配慮も必要だと考えます。
・アニメ視聴などの受動的な活動だけでなく、本人が主体的に関われる活動や役割を持つことが重要ではないかと感じました。
誰かの役に立ち、「ありがとう」と言われる経験が、社会とのつながりや自己肯定感につながるのではないかと考えます。
・当事業所の事例として、50代の若年性認知症の女性が入居されています。
入居当初は数か月部屋に引きこもり、生活に楽しみを見出せずにいる様子でしたが、この方に対して役割を持っていただくことで大きな変化が見られました。
具体的には、若くて体力もあるので、配膳や洗い物などの役割を依頼し、実施後に感謝を伝えることで、居場所に対する安心感や主体性が高まり、朝から挨拶をして施設内を回ったり、自ら「何かできることある?」と職員に尋ねるなど、生活意欲の向上につながっています。
総括(小川力信委員長)
今回の定例ミーティングには、複数の方が初めて参加されました。
新たなメンバーにご参加いただけたことに感謝するとともに、こうした場が広がっていることを大変心強く感じています。
この定例ミーティングは、高齢事業を担うメンバー同士が横のつながりを持てる貴重な機会であると感じています。それぞれ異なる現場や役割の中で業務にあたっているものの、目指している方向性は共通していると感じます。
支援においては、「どのような関わりがその方の当たり前の生活に寄与できるのか」という視点が重要であり、この点を共有しながら取り組んでいくことが大切だと感じています。
今後も、参加者同士のつながりを大切にしながら、それぞれの現場や関係者と連携し、土屋の高齢事業をより一層発展させていきたいと思います。














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