【高齢者地域生活推進委員会】第8回 勉強会レポート 2026年6月18日

【高齢者地域生活推進委員会】第8回 勉強会レポート

テーマ

認知症重度の方とどう向き合うか ~反応が乏しい方へのケアとモチベーション~

開催概要

日時:2026年6月18日(木)17:00~18:00
講師:坂本孝輔氏(認知症専門の介護福祉士)

~反応の奥にある意識へ届ける「コックピット・ケア」~

本勉強会では、声かけに対する反応が乏しい「認知症重度の方との向き合い方」についての「後半」として、表面的な反応だけで当事者を評価するのではなく、その方の内側にある意識や存在、感情を尊重しながら関わる「コックピット・ケア」の考え方の理解を更に深めた。

また、ケアを行う現場職員のモチベーション向上を目的として、「実践・方法論編」を実施した。

1.[第7回事例の振返り] 認知症ケアの現場で直面する「認知症重度の方への接し方」

事例

入居施設で生活する認知症重度の冬月さん(男性)を巡る、若手介護職員・加地君と葛城さん(共に介護歴2年目)の戸惑い、上司のイカリさんを題材にした事例。

課題

加地君に冬月さんのケアに「張り合い」を感じてもらうには、どうしたらよいか?

▸おさらい1 私たちが陥りやすい「本能的な捉え方」

人は、自ら意思を持って反応する対象には心の存在を感じやすく、反応が乏しい対象には心がないように捉えがちである。
しかし、重度認知症の方は、刺激を受けていないのではなく、受け取った情報を整理し表現する力が低下している場合が多い。

そのため、反応だけで判断せず、心や意識は存在しているという前提で関わることが重要である。

▸おさらい2 「コックピット・ケア」という考え方

第7回勉強会に続き、本勉強会でも、認知症当事者の身体には「パイロット(意識や心)」が存在するという考え方が示された。
介護職は身体や反応だけでなく、その奥にいるパイロットへ語りかける意識を持つことが重要である。

また、支援を必要とする人を支えることは、人類が育んできた営みであり、介護もその延長線上にあることを再認識した。

2.介護をする上での張り合い(みんなが避けるBPSD対応に積極的に取り組む)

相手に喜ばれているという実感

「ありがとう」「すごいね」「うまいね」といった言葉で、上司や同僚から認められたり感謝されたりすることは、モチベーションの向上につながります。

一方で、褒められない、認められない、感謝されない状況が続くと、モチベーションは低下しやすくなります。

このように、他者からの評価や承認によって生まれる意欲を「外発的動機づけ」といいます。

自分が“成長したい・力になりたい”という実感

「仕事を通じて自分の成長を感じられる」「反応がなくても伝わっていると信じている」

外からの評価や報酬ではなく、本人の中にある価値観·関心·やりがい·使命感などによってモチベーションが高まる状態を「内発的動機づけ」といいます。

外発的動機づけから昇華していく

外発的動機づけ(称賛・承認)
     ↓
成功体験の積み重ね
     ↓
本当の意味でのやりがいの発見
     ↓
内発的動機づけ(誇り・使命感)
     ↓
他者への還元(伝える・支える側へ)

3.反応の奥にある意識へ届ける4つの実践(小さな成果を見つけて内発的動機づけへ)

▸コックピットケアの実践

① 意識がある前提で関わり、その方の内側に存在する意識に敬意をもって声かけを行う。

② びっくり反射(防御反射)を防ぐ。

「驚かせないケア」で筋肉の緊張感をやわらげ、声をかけてから触れるなど急な接近や突然の接触を避け、不安や緊張につながる要素を取り除く。

③ アイコンタクトや穏やかな表情、優しい触れ方を通じ安心の記憶を積み重ねる(いいひとメソッド)。

わずかな反応も大切なサインとして受け止め、五感を駆使してその方との関係性を築くことにつなげる。

「あなたを気にかけています」を伝える。

④ 生活歴や趣味、好きだった音楽や思い出など、その方らしさにつながる情報を活用することで、意識への働きかけが可能となり、これまで歩んできた人生を尊重した関わりが、安心感や心地よさにつながる。

【結論】

認知症重度の方へのケアにおいて重要なのは、反応の強弱だけで判断しないことである。

身体の反応が乏しく見えても、その内側には意識や感情が存在しているという視点を持つことが求められる。

「コックピット・ケア」の考え方を通じて、当事者の心に働きかける姿勢の大切さを学んだ。

また、職員同士が支え合いながら実践を積み重ねることで、より質の高いケアと持続的なモチベーションにつながることを再確認した。

以上

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