社内公募企画第10弾「クライアントの素敵なところ」 / 川邉会美(ホームケア土屋 大阪)

私が4年前に2006年に国の制度として認められた、社会保障制度の中で、障害者福祉にあたる「重度訪問介護」というサービスを知り、「株式会社 土屋」という会社に入社したことをきっかけに、「重度訪問介護」の歴史を学び、社会保障制度の中でも、「重度訪問介護」というサービスの奥深さを知りました。

社会保障制度という国の制度を利用した契約関係であり、なるべく感情移入してしまわぬよう、私的な感情を抱かないように支援に入るようにはしていますが、支援時間が3~5時間から10時間を超える夜勤勤務も対応している特殊性もあり、義理と人情味あふれる歴史もあり、“インテーク”という“出会い”から、“契約”という“ご縁”へと移り行く…そんな素敵なサービスのご依頼人様の「素敵なストーリー」を2つほどお聞きいただきたく存じます。

今はもう30歳を過ぎる2人のお子さんが子供の頃に使っていた、小さな小さなお茶碗を今も大切に使用されている母さんのお話です。

ここのご家庭に通い始めてもう2年半が経ちます。クレヨンしんちゃんやキャラクターの絵の入ったプラスティックの小さなお茶碗に、「一合分のご飯を炊いて、4つに分けて入れてね」と。ここへ来ると、ふと幼少期の記憶が蘇る…。

夕食を済まされたので、台所で洗い物をしている私に、そっと問いかけた「エミは、なんでこの仕事を選んだん⁇」その母さんは、いつもは名字で呼んでいるのに、この時だけ「エミ」と呼んだ。私は、「おじいちゃんの介護をしてあげられなかった後悔があったのも理由の一つかな⁇」と答えた。

先天性の難病をかかえており、入所生活中の次女さんの衣替えの準備をしていると、「私の手足が不自由なく動いてた時は、〇〇ちゃんをこの部屋で看てたから」と打ち明けてくれた。そうだったのかぁ…さぞかし大変だっただろうなぁ。

ここへ来て母さんと話をしていると、忘れたわけではないのだけれど、忘れてはいけない大切なことに気付かされる。出会えてよかったなぁ素敵な母さん、私の話も色々と聞いてくれてありがとう。

2つ目は、もう20年ほど在宅介護生活を送られている一人の女性のお話です。

ジブリのパズルや絵画に囲まれた中で、ご家族(ほぼご主人様一人)に大切に守られながら生活を続けておられ、結婚30周年の小さなダイヤの入った指輪が、白くて細い指に輝いていた。
「以前お話していた、記念日の指輪届いたんですね!」「とても綺麗ですよ。ほんとによかったですね♪」
かすかな表情筋(口輪筋)の動きで喜びの感情が窺える。

何度かご主人様に、〇〇〇が笑わないのは、なんでかわかる⁇と聞かれたことがあります。私は返答に迷いましたが、「それは、表情筋が…」と答えようとすると、「これは○○○が、俺に言ってくれたんやけど」、「私が笑わないのはなんでかわかる?笑いシワを作らない為なのよ。」と、おっしゃったそうです。なんて素敵な愛らしい心遣いなのでしょう。

指文字や動きにくい口輪筋をしっかりと動かす練習をしたり、「最近しんどい、がんばる」と指文字で伝え、涙を流されていた時もありました。○○○は、痛い思いいっぱいしたもんなぁと頭を撫でられ、安心したようにお休みになられる。こんな健気で可愛らしい女性に出会えて良かった。ありがとう。

 

川邉会美
ホームケア土屋 大阪

 

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