【異端の福祉 書評】介護業界未経験者の私が【異端の福祉】を読んだ感想 / 近藤和美(ホームケア土屋 金沢)

介護業界未経験者の私が【異端の福祉】を読んだ感想 / 近藤和美(ホームケア土屋 金沢)

衝撃の連続でした。
身近にあるのに謎の壁があり、密室の中で行われている世界だった介護業界。
メディアでは事件や事故ばかり取り上げられていて、“大変そうだなあ”と、ますます遠い世界の話だと思ってこの年まで生きてきたことを恥ずかしく思いました。

閉鎖的な業界なのではなく、閉鎖に追いやってきた現実を知る事ができた事で、私はこの業界へまっすぐ飛び込む勇気をいただきました。

この本の中で高浜代表の生き方がリアルに描かれていて、頭の回転の速さ、プロボクサーを志す恵まれた体力、大学を辞め、また目的に向かって受験しなおす決断力と行動力。
介護業界の将来を見据えたブランディング等、全てにおいて圧倒されました。

心の疲弊に気付かず生活保護を受けるまでボロボロになったところからの社会復帰、そして介護系ベンチャー企業立ち上げ。
人生の大切な場面で描かれるキーパーソンの奥様との物語も、いつか本にして欲しいなと思いながら読み進めました。

重度訪問介護事業の会社設立が2020年8月という、直近の出来事だった事にまたもや衝撃を受けました。

そこにはキーパーソンとなる人物が奥様以外にもたくさんいらして、その方たちがここぞというタイミングで高浜代表の後押しをしてくれて目的に向かって全力投球するところ等は、アベンジャーズの映画さながらの興奮を覚えました。

一都六県の利用格差は最大18倍もあり、利用者ゼロの市区町村が約3割という現状を打破するべく行動を起こしていて、それもビジネスにしていくところは、目に見えない敵を倒し、声にならないSOSを出している人々を救うヒーローの様です。カッコイイ!

本を読んでいく途中に以前、映画で『こんな夜更けにバナナかよ』を娘と観に行ったことを思い出しました。
その時に感じた違和感、疑問がいくつかあります。

なぜ家族がいるのに一人暮らしをしているのだろう。
なぜ、こんな大変な介助に賃金が発生せず、ボランティアだけで行っているのだろう。
なぜ、人工呼吸器を付けたら医者は外せないのか?

それが本を読み進めるにつれ、すべて解消されていくのを感じました。

人工呼吸器を拒否する難病患者7割が生きる選択をするためには、社会の課題、人材確保という、分かりやすいのに未だ解決まで時間がかかる問題について、情報が浸透していないというのも要因の一つに考えられます。

ただ、情報があればいいというものではありません。実際に自立生活をしている方の生の声が一番いい情報だと思うのです。

土屋のネットワークがあれば、たくさんの方とお会いして、自立生活を選んだ方から見る社会制度についてや、カスタマイズされた車椅子やベッド、お部屋等の紹介。リアルな声だけではなく、介護職のリアルな意見等を動画にすることで、誰かの後押しになるきっかけ作りになるのではないかと感じました。

ネットだけではなく、簡易新聞やチラシを制作し、ご近所や関係施設に投かんすることで周知を図りつつ、人材確保とご利用者獲得に繋がればいいなと思います。

ひとつの動画やチラシがきっかけで
『家に帰りたい』
そう思ってくれたらどんなに嬉しいか。その実現に向けて精一杯動く事が出来る人たちがいるという事がどんなに励みになるか。

自宅での生活の不安材料を解消し、自分らしく過ごせるためのお手伝いにプロとして携わっていく。この関係性が当たり前の世の中になるべく、これから日々勉強していこうと思います。

【社会課題解決と営利追求を両立する】
つい最近までこれが当たり前ではなかった事を知れた私はラッキーです。
高浜代表の歩む人生は10年後には社会や道徳の本に掲載されているかもしれません。
0だったものを1にする凄さをたくさんの人が目にすると思います。

介護の利用で人生が変わったご家族のエピソード、社員6人のエピソードも見ごたえがありました。
私にとって【異端の福祉】は、介護職未経験ということが負い目なのではなく、介護職未経験ならではの自分の観点も武器の一つになると思えた本です。

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