生きた足跡が誰かの道標に / 櫻井純

土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)

はじめまして。5月より本社のマーケティング部チームSDGsでお仕事させていただいてる櫻井純と申します。

さて、指定難病の病名、あなたはいくつご存知でしょうか?その疾患の当事者の方と触れ合ったことがあるでしょうか?

2014年5月23日に「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立したのをきっかけに、5月23日は難病の日に登録されました。

私は四肢の筋力低下・嚥下障害・構音障害・感覚障害を引き起こす慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)。足や下腿・手・前腕などの四肢遠位部の筋肉が萎縮し、同部位の感覚を障害するシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)。いずれも治療法の確立や原因が解明されていない複数の指定難病・障害の当事者です。

これまで病気に左右され、難病の告知を受ける度に、何度も人生の方向転換を余儀なくされ、生活制限を経験しました。生きる希望を見失いかけながら早く楽になりたい気持ちと、 何とか助かりたい気持ちの葛藤の連続の人生。
治療を受けるためにこれまでの仕事や役割を失い、環境の変化に対応ができず、ずっと引きこもりの時期もありました。

治療法が確立されていなくて原因解明がまだされていない病気と向き合うにはどうしたらいいのか?
学会や患者会に参加しながら難病との付き合い方を学び続けてきた結論は、「今を必死に生きる覚悟」。

最初に病室で起業した旅行会社は、「誰でも、好きな時に、好きな場所へ」を目指して。企業や教育機関での講演活動は、各種障害や多様性の理解を広げ、誰にでも優しい社会を目指すもの。失語症者向け意思疎通支援者の活動は、自分自身が話せなかった恐怖や見えない障害を抱える方の心に寄り添いたい気持ちから。

治療リハビリを続けて体調管理しつつ、誰かの支えになれるよう自分以外の障害や病気について専門性を高めることに注力してきました。生きた学びを伝え、価値を社会に提供することで誰にとっても優しい社会を目指して日々チャレンジを続けています。

どれも闘病生活の中で体の自由が奪われ、日常生活で自分の意志や生き方が制限される悔しさ、不自由からの学びや経験が原動力。進行していく難病症状の苦痛や、障害による不便さは年々感じるようになりましたが、命あるうちに次の世代に気づきを託したい。

きっと誰もが、突然人生の困難に陥ることなんて想像もしていないでしょう?でもある日突然、その日はやってきます。身体の自由が奪われ、言葉も話せず、病院から出られず、度重なる難病の告知から将来への希望を見失いかけた日々。

涙する私に医療者が言ってくれた言葉。「誰でも最初は難病1年生、分からなくても不安になっても当然なんだよ」。病気が進行するたびに涙する私を病室で励まし続ける言葉、回復を願って処置してくださる医療者の優しさに支えられて生きています。

特に一生涯かけて難病や障害と付き合っていく方を支える重度訪問介護に関わる会社で、私が達成したいことはたくさんあります。
当たり前に地域で一緒にお仕事や生活が可能となるような働き方を実現し、幅広い視点で一緒に数多くの社会的課題を解決していきたい。

常に病気に生活が障害され支援を受ける私も何か人の役に立ち、みんなと生きがいを持って安心して働けるように応援してください。

各種障害や病気への理解が浸透し、きっといつか治療法が確立されるまで、関わるクライアントや地域の幸せを一緒に形作っていけたら。

難病患者や障害者が安心して安全で夢をもてる時代が来ることを願って、初めてのご挨拶とさせていただきます。またどうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 

◆プロフィール
櫻井 純(さくらい じゅん)
1987年 兵庫県加西市生まれ

櫻井 純(さくらい じゅん)
1987年 兵庫県加西市生まれ

12歳で急性散在性脳脊椎炎を発症。26歳で10万人に1人程度の割合で発病する慢性炎症性脱髄性多発神経炎を発症。29歳でシャルコー・マリー・トゥース病の診断を受ける。

常に治療リハビリが必要で一般就労が難しい状態から社会参加への強い想いを持ち、2016年難病障害当事者が運営する旅行会社櫻スタートラベルを起業。当事者目線で障害や疾患に配慮する旅行や働き方の取り組みが、産経新聞 ・The Japan Times・朝日新聞で紹介される。ジャパン・ツーリズムアワードビジネス部門(ユニバーサルツーリズム)連続入賞。

重複障害による筋力低下・感覚低下・激しい痛みがあり、現在も年間約120日程度入院やリハビリを継続。難病や障害の相互理解を促す活動として講演活動・失語症者向け意思疎通支援を行う。目に見えない障害や複数の難病と向き合う当事者の立場から、誰もが希望を持てる優しい社会づくりを目指す。

 

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