土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)
私は大学卒業後、22歳から43歳まで21年にわたり小売業に携わってきました。最初の3年はアクセサリーの販売、残り18年はインテリアの販売です。店舗スタッフ→店長→営業課長→事業部長→取締役といった感じで昇進し、業務内容も店舗運営管理から業態開発、人事、総務、商品開発、貿易など、多岐にわたって経験させていただきました。
小売業の目標はただ一つ、常に前年売上を超え、予算を達成することです。さらにいえば、売上の中からより多くの利益を生み出すということになります。しかし商売は栄枯盛衰。常に右肩上がりの企業など、そうそうありません。経緯は割愛しますが、私が勤めていた会社も例に漏れずといった状況になりました。
そこで私は転職を決意して退職したわけですが、当初の転職活動先に介護福祉関係の会社は一切含まれていませんでした。まさか自分が介護の仕事をするとは頭の片隅にもありませんでした。今までの経験を生かして小売業もしくは営業職で探していました。しかし転職活動を進める中で、また同じような仕事をやり、数字に追われる日々を送るのか?それは自分の人生にとって意味のあることなのか?というモヤモヤした気持ちも抱いていました。
有給休暇がフルにあったため、私は久々に実家へ帰省していたのですが、そこには90歳を過ぎた祖母がいました。今まで両親の祖父母とも母を中心に介護しており、滅多に帰省しない私が介護にかかわることはありませんでした。
久しぶりに会った祖母は驚くほど老化が進み、私の記憶の中に存在する祖母はいなくなっていました。夕食の時、祖母の隣に座った私は、何もすることができませんでした。排泄介助、デイサービスの対応、訪問看護の対応、通院・・・
仕事もなく、家でダラダラと過ごすだけの私は何もできず、仕事をしている母が介護もこなしているのです。社会どころか家族の役にすら立てない自分に唖然とし、初めて介護というものと対峙するきっかけになりました。
「転職するなら社会貢献できる仕事がしたい」と強く思うようになり、あらためて求人を見返すことにしました。そこで見つけたのが訪問介護事業を行う会社の本社人事募集でした。これなら介護にも携われるし、前職の人事の経験が生かせると考え、すぐに応募。そこからはトントン拍子で事が運び、あっという間に就職が決まりました。
まずは現場での経験が必要とのことで、資格を取得して訪問介護を始めることになったわけですが、介護職の奥深さにどっぷりハマり、充実した毎日を送っています。今は事業所の管理者をさせていただいていますが、小売業の店舗運営と非常に近いものがあり、今までの経験も最大限に活用しながら介護福祉の世界を楽しんでいます。
ただ、内定から入社までの2週間は、未経験から来る不安と、命を預かる責任の重さに押し潰されそうになり、何度も辞退の電話をしようと考えたのはここだけの話です。
最後になりますが、転職してみてわかったことは、どんな仕事も根底は同じということ。やる気と覚悟さえあれば知識や技術はあとから身につく、未経験を言い訳にしたら自身の成長はないということです。
介護業界に転職して良かったと感じると同時に、もっと多くの人に介護職のやりがいや深さを知っていただきたいと思います。
荒井 大樹
ホームケア土屋 関東