土屋ブログ(介護・重度訪問介護・障害福祉サービス)
Wikipediaによると「怒り」とはこんなもの。
怒り
人間の原初的な感情の一つで、様々な要因・理由で起きるもの。(中略)怒りというのは「危険にさらされた」という意識・認識に起因している。身体的なこと、有形なことがらに限らず、自尊心や名誉などの無形のことがらまで含まれる。
怒りの原因は、人生のステージ、年齢層ごとに異なった傾向がある。
幼児のうちは身体的な拘束。子供になると、厳格な規則であったり、自分に注目してくれないこと。青年期や大人になると、怒りの要因は社会的なものになってくる傾向がある。大人では例えば、(権利の)剥奪、(他人からの)不承認、いつわり・欺瞞などといったものが怒りの要因となる。
(2021年5月7日 (金) 03:26 URL:怒り – Wikipedia )
このように書かれています。
個人的には怒りは「危険にさらされた事」以外に「傷ついた事」からも起因するように思います。では、怒りをうまく表現できない人の特徴について
・違和感が怒りである事にそもそも気づいていない。気づくのに時差がある
・怒りの根源が傷ついた事であるという事に気づけていない
・人のちょっとしたことで多くの情報を読み取ってしまう(HSP)
・争いが怖い
・いい人を演じてしまう
・道化を演じてしまう
・無くなってしまう事への恐れがある
深掘りしていきましょう。
・違和感が怒りである事にそもそも気づいていない。気づくのに時差がある
会話中にズキっとすることがあっても、それが何なのかに気づかない、あるいは気づくまでに時間がかかる傾向があります。
これまでの経験で「傷ついた」ことを自分の中でちゃんとフィードバックできていないため、うまく怒りに変換ができなかったりします。
・怒りの根源が傷ついた事であるという事に気づけていない
何か「怒り」は感じるけれど、それが実際には「傷ついたこと」という事が原因であることに気づけていないことも多いです。
こちらも「怒り」の感情を抑圧する環境にあったため、ちゃんとフィードバックされていないから認識されません。
・人のちょっとしたことで多くの情報を読み取ってしまう(HSP)
人の言動や表情から必要以上の情報を読み取ってしまうため、自分が他人のちょっとした怒りに敏感になりすぎるため、逆に自身で表現することができなかったりします。
・争いが怖い
争いによって起こる怒りのぶつかり合いや人の怒号などに敏感すぎるため、正当な主張をすることで争いになるくらいならと逃げてしまう傾向があります。
・いい人を演じてしまう
こちらも他者の反応が怖かったり、争いに発展する事を恐れているのが原因。
本来なら自分の正当な権利を主張すべきところも、生きグセのようなもので、強い主張に対して否定ができない性質があります。
・道化を演じてしまう
こちらは幼少期の環境が大きく影響しています。
親の争いを常に見ていたり感情に振り回される環境下に育つと、自分が道化を演じる事でその場を和ませることが身についてしまって、同じような状況下で反射的に道化を演じてしまう傾向があります。
・無くなってしまう事への恐れがある
何かに執着してしまうと、人生がゼロベースである事にフォーカスできないので、うまく怒りの表現はできないと思います。
あくまでも傾向的な特徴であって、メンタルの状態によっては特徴の現れ方には振れ幅はあると思います。
状況と自分自身の心の紐づけが上手くいっていなかったり、何かに執着している時は、特に表現が下手くそなような気がします。
まずは感情の紐づけと執着を捨てることが「怒り」や「傷ついた」を適切に表現するために必要です。
また、アンガーマネジメントが言及されるようになりましたが、多く勘違いされているように思います。
アンガーマネジメントは、怒り=すべて悪、つまり悟れというわけではありません。むしろ適切な怒りは前向きに捉えよ、とされています。
偉大なる哲学者はかつて言いました。
誰でも怒ることはできる、それは簡単なことである。しかし、正しい人に、正しい程度に、正しい時に、正しい目的、正しい方法で怒ること、それは簡単ではない。
──アリストテレス
一方でこうも述べています。
怒りはしばしば道徳と勇気との武器なり。
──アリストテレス
適切な怒りまで抑圧してしまうことは、ストレスを溜め込むことに繋がります。また、正しく怒りを表明することで場の改善をはかる、受けた損害を回復するなどが不可能になってしまいます。
日本はよく同調圧力が強いと言われますし、実際規律正しさと裏表でムラ社会的な右倣えは存在します。
怒りはよくありません、というワードはしばしば被害者に向けて発せられることがあります。しかし、正しい怒りまでを他者の利益のために抑圧することは不要です。
君の怒りは君のものだ。そんなことがあったのならば、君は怒っていい。それもまた君だ。そう言える関係性は大切なものです。
マイナスのみに捉えられがちな感情も、その人を構成する大事な要素。
喜怒哀楽のすべてがその人をかたち作っているのだから。
藤岡 真人(ふじおか まさと)
ホームケア土屋 中国