【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 5月分

【高齢者地域生活推進委員会】定例レポート 5月分

開催概要

開催日:2026年5月21日
開催場所:オンライン

当日のアジェンダ概要

1 地域活動について
2 第3回 現場や記録で使用する文言を考えよう(坂本副委員長)
3 若年性認知症の事例

当日の定例レポート

当日の定例会議では、日々の実践の中で無意識に使われている表現が、どのような意図や背景を持ち、また周囲や利用者にどのような影響を与えているのかについて検討しました。

あわせて、共生型デイサービスにおける声かけや関わり方の違い、若年性認知症の事例を通じて、本人視点に立ったケアの重要性についても振り返りを行いました。

地域活動研修について

先日の研修で第3回が終了し、先月は27名の方にご参加いただきました。

アンケート結果

アンケートでは以下のような意見が寄せられました。

  • 子ども食堂を1年間継続している点が素晴らしい
  • 高齢になることで活動量が減り、地域との関わりも希薄になる中で、若い世代との交流機会を作る取り組みに共感した
  • 子ども食堂の開設を検討しているので、情報共有が非常に参考になった
今後の取り組み

本研修を通じて「地域活動に取り組みたい」と回答した事業所を、現在委員会がサポートしています。後日、途中経過の報告とリアルな声を発表します。

第3回 現場や記録で使用する文言を考えよう(坂本副委員長)

1.「頻コール」について

定期巡回の記録の中に、「頻コール」という表現を使っているケースがありました。
夜間に同一利用者から3回程度のコールがあったという状況です。

定期巡回では通常、コールが頻繁に鳴ることは少ないため、夜間に3回というのは確かに多いケースです。

本来であれば「コールが3回あった」と事実ベースで記録するところを、「頻コール」と表現してしまう背景には、職員の心理的な影響が含まれている可能性もあります。

例えば、対応のために現場へ向かっている途中で再びコールが鳴るなどで負担感が高まり、「勘弁してほしい」といった感情が、無意識に記録表現へ反映されてしまったのかもしれません。

ディスカッション

・現場では「頻コール」という言葉がよく使われます。
また、「不眠」という表現についても頻繁に用いられる傾向があります。

しかし実際には、「19時頃に就寝し、3時頃に起床した」といったケースもあり、一定の睡眠時間が確保されているにもかかわらず「不眠」として扱われていることがあります。

このように、職員の主観によって「頻回」「不眠」といったレッテル的な表現になっている可能性があります。

・「頻コール」と記載された背景には、忙しい時間帯に同じ人がコールを何回も鳴らすという、やや感情的な“吐き出し”として表現された側面もあると思います。
・「頻コールでモーニングケアができなかった」といった形で、業務ができなかった理由付けや自分自身を守るための表現として使っていた可能性もあると思います。

・職場のLINEグループなどでは、「尿失禁が多かった」「おむつの当て方が悪かったのではないか」「衣服がびしょびしょだった」といった投稿が見られることがあります。

そこには、自分の苦労を周囲に理解してほしいという負担感のアピールや、「業務が立て込んで終えられなかった要因は利用者側の状況にあった」といったニュアンスを含ませる意図が込められている気もします。

・「頻コール」「不眠」「尿失禁が多かった」といった表現が、業務が終わらなかった理由づけや言い訳として使われる場合、それを受け取る同僚側にとってはストレスや負担感として感じられるように思います。

・「尿失禁が多い」といった記載は、新人職員に対して嫌味のような形で伝える際に、記録として残されていたように感じます。

・前の職場(労健)で、「夜間ナースコール二十何回」といった記録が残されており、そこからは、単なる事実の記載というよりも、職員自身のイライラを鎮めるために回数を細かく数えているような、やや執着的なニュアンスを感じて怖い気がしました。

「頑張ったね」「大変だったね」といった承認を求める心理が含まれているとも感じて、そうした関わり方をしたことがあります。

2.排泄時等の表現について

デイサービスという環境上、排泄に関する表現についても配慮が必要だと感じています。
例えば「排便があった」「排尿があった」といった表現をそのまま大きな声で伝えると、他の利用者が気にしてしまうことがあります。

また、女性利用者の生理に関しても同様で、「ピリオド」「コート」「ハルン」などの言い回しを使う工夫を行っています。

コメント

・例えば飲食店では、トイレに行く際に「1番行ってきます」、休憩に入る際に「3番行ってきます」というように、直接的な表現ではなく番号でやり取りすることがあります。

こうした形で直接的な表現を避け、簡略化された言い回しを使うことによって、周囲にもわかりづらくなると思います。

・私のデイサービスでは、入浴の案内についても大っぴらに伝えず、「〇〇さん、次お風呂ですよ」と耳元でお誘いする形を取っています。

というのも、介護度が比較的軽い利用者の中には、「あの人は家でお風呂に入らないのか」「こういう場所でお風呂に入るようになったらもうおしまいだ」といった否定的な捉え方をする場合もあります。

デイサービスは地域の一部でもあるので、「排泄介助」や「入浴介助」といった情報を不用意に共有せず、プライバシーに配慮する必要もあると感じています。

3.声掛けについて

共生型デイサービスでは、介護保険と障害福祉の両方の利用者がいますが、その中でスタッフの声かけの使い分けについて課題を感じています。

高齢者に対しては敬語表現で問題ないのですが、知的障害や自閉症のある方に対して同様の敬語表現を用いると、拒否的な反応や興奮につながるケースも見られます。

フレンドリーで簡潔な声かけの方が受け入れられやすい場合があります。

ただ、主に高齢者介護を経験してきたスタッフが障害支援の現場に入ると、この使い分けが難しく、対応に戸惑っている場面も見られます。

メンバーの質問に対する回答

・例えば30代の利用者であっても、知的な発達段階としては小学校低学年程度の理解レベルにある方もおり、難しい言葉や敬語を用いると萎縮して、会話が成立しにくくなることがあります。

そのため、理解しやすい言葉での声かけが必要になる場面があります。

また、名前についても「〇〇ちゃん」「〇〇くん」といった呼び方でないと自分のこととして認識しにくい方もいれば、逆に「くん」付けしない方が適している方もいます。

ただ、過度に馴れ馴れしい関わり方をすると、「この人には甘えてもよい」といった認識につながり、特定の職員への依存や、特定職員でなければ動かない、過度な注意喚起行動を引き起こすなどの可能性もあります。

・共生型として全体的に気をつけている点として、「座ってて」という声かけはできる限り使用しないようにしています。

場合によっては命令的・強制的に受け取られることがあり、介護現場では不適切な声かけや虐待的な対応として捉えられる可能性も指摘されてきた経緯があります。

代わりに、「腰掛けましょう」「そちらの椅子をご利用ください」といった表現に置き換えるようにしています。

コメント

・初対面の利用者さんにため口で話されるスタッフがいます。

介護職員には、初対面であっても距離が近く馴れ馴れしかったり、必要以上に身体に触れるような関わり方が見られることがあります。

優しい声かけやスキンシップが必ずしもすべての人にとって心地よいとは限らないと思います。

「介護の常識」は「世間の非常識」であるとも感じています。

若年性認知症の事例紹介

基本情報

60代女性で、若年性認知症の既往があります。6年ほど入居されたのち、コスト面より特別養護老人ホームへ移行されました。

ADLの経過

退去の2年ほど前は概ね自立してトイレ動作が可能な状態でしたが、認知機能の低下の進行も早く、退去前にはトイレの認識が難しくなり、紙パンツ内での排泄が見られるようになっていました。

それに伴い、不快感から自身で排泄物を触ってしまう行動も一部見られていました。

他の事項

・可愛いものや赤・ピンク系の色を好まれ、自力で移動可能であった時期には、他利用者の居室に入って、それらの物品を笑顔で持ち出す様子も見られていました。

一方で、他利用者側からは「なぜ自分の物を持っていくのか」といった怒りにつながる場面もありました。

アセスメント

職員のイライラが課題として挙がっており、「紐解きシート」を用いてアセスメントを実施しました。
その中で、職員側の困りごととしては「対応時にイライラしてしまうこと」や「本人の気分の浮き沈みが大きいこと」が挙げられていました。

一方、ご本人の主訴としては、排泄失敗時の「汚い、汚い」といった表現、また落ち込んだ様子で「わからないの」と訴える場面などが見られていました。

こうした状況に対し、紐解きシートを通じたケアにおいて、本人にとっての「快」をどれだけ取り入れられるかを重点的に検討しました。
具体的には、散歩や日向ぼっこ、入浴時に好きな音楽を流すなどです。

一方で、不快の軽減という観点では、「汚い」といった訴えがあった際には、可能な限り女性職員が排泄介助を行いました。

また、ご家族からの情報として、元来は「完璧主義的な傾向」があったとのことで、承認や共感、適切なスキンシップを心がけていました。

ケアのポイント

若年性認知症の方であっても、ケアの基本的な考え方は高齢者の認知症ケアと大きく変わらない部分が多いと感じています。

また、職員側が認知症の症状に対してイライラしたり、マイナスの感情を抱くことも、高齢者ケアと同様だと思います。

そのため、「介護者の視点ではなく、本人の視点で生活やケアを捉えること」が重要だと考えています。

一方、若年性認知症の場合は、施設内において他の利用者との年齢差が大きく、価値観の違いから疎外感、孤立感につながることもあると考えられます。

その点を踏まえながら、本人の視点に立って生活を振り返ることを重視したケアを行った事例になります。

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